
Eコマーステクノロジーの米Rokt(ロクト)社は、広告主および一般生活者を対象に「デジタル広告に関する意識調査」を実施し、調査結果をまとめたレポート「デジタル広告の実態とデジタルリテールメディアの可能性」を発表した。
この調査は、近年加速するブランド毀損リスク、ターゲティングの精度低下、広告のノイズ化などデジタル広告を取り巻く本質的な課題に対して、広告主と生活者の双方がどのような課題・懸念を抱いているかを明らかにするとともに、それらに対する打ち手としてリテールメディアがどのような価値を提供できるかを検証したもの。
デジタル広告が直面する課題の一つとして、「掲載面の信頼性」について調査。それによると、広告主の76.0%が「不適切な媒体や文脈に広告が表示されることに強い懸念を抱いている」と回答。また、72.4%が「広告が本当に人間に届いているか不安」と回答した。
一方、生活者の85.0%が「信頼できないウェブサイト上の広告を見かけたとき、その広告主に対して悪印象を抱く」と回答。表示される“場所”が、ブランドへの信頼感を左右していることがわかった。
また、ターゲティング精度について、広告主の70.8%が「ROASやCPAなどの広告効果が落ちてきている」と感じており、69.9%は「不適切なターゲティングがブランド印象に悪影響を及ぼしている」と回答した。
一方、生活者の82.3%は「なぜこの広告が自分に表示されるのか分からない」と回答し、79.2%が「無関係な広告に不快感を抱いた経験がある」と答えた。
CookieやIDFAなど個人情報取得に対する制限が強化されているなか、広告のターゲティング精度が急速に低下しており、自分にとって関連する情報ではなく、無関係の情報として扱われてしまう兆候が見られた。
広告疲れや広告のノイズ化については、生活者の87.9%が「ウェブサイトやアプリ上で広告が多すぎると感じた経験がある」と回答。さらに81.0%は、「広告が行動を妨げたことで、その広告主に悪印象を抱いたことがある」と答えた。
一方、広告主の74.0%も「広告疲れの進行により、CTRやCVRなど全体の効果が落ちてきている」と回答。75.8%が「自社広告がユーザー体験を損ねている懸念がある」と答えた。
報道資料より広告出稿ではリテールメディアが高い評価
調査では、このような課題に対して、リテールメディアが高い評価を受けていることもわかった。リテールメディアとは、ECサイトや小売店舗のアプリが外部企業向けに提供する広告媒体。観光産業では、航空会社やOTAのサイト内広告枠や広告配信システムの活用などがあげられる。
ブランドセーフティの確保では、広告主の73.9%が信頼できるECサイト内で表示される広告は外部ネットワークに依存せず「安心して出稿できる」と回答。
また、80.3%の広告主は、Cookieレス環境においても、ECサイトのデータを活用した精度の高いターゲティングが可能なため、ファーストパーティデータの活用を肯定的に評価。
さらに、79.1%の広告主が「購買行動中に表示される広告は好意的に受け止められる」と回答。商品を探しているタイミングで表示される広告は受け入れられやすいこともわかった。
報道資料より