グーグル(Google)は、レストラン、イベント、美容分野で導入しているGoogle「AIモード」によるエージェンティックAIの予約を旅行分野でも取り入れる計画の道筋を公表した。米サンディエゴで開催された「フォーカスライト・カンファレンス2025」で、同社グループ・プロダクト・マネージャーのジェームズ・バイヤーズ氏が語った。
エージェンティックAIは、最小限の指示で目的達成のために自律的に動作する機能。グーグルは、2025年11月にレストラン、イベントチケット、美容・ウェルネスの予約で、この機能を拡充。ユーザーの質問に対してAI「Gemini」が回答するAIモードで、条件に合った予約プラットフォームなどのオプションをリアルタイムで表示する機能の提供を開始した。また、将来的にフライトやホテルの予約もAIモードで直接完了できるようにする方針も明らかにしていた。
バイヤーズ氏は「具体的なスケジュールは、まだ示されていない」と前置きしたうえで、導入に当たっては2つの課題があると指摘した。
まず、体験をシームレスにし、決済をスムーズにし、付加価値を確実に提供するたための技術的な課題だ。バイヤーズ氏は「エコシステムとして機能し、体験としてまとまって機能する必要がある。これは今後数ヶ月で解決できると思う。長期的な課題になるとは思っていない」と明かした。
次に、ユーザーが何を期待し、何を望んでいるかを把握すること。バイヤーズ氏は、パートナーやエコシステムとともに学んでいくことが必要とし、「2026年は多くのことを学ぶ年になる」と話した。
そのうえで、「グーグルにとっての基盤は、ユーザーをサポートし、適切なパートナー、適切な価格、適切なタイミングをユーザーに紹介すること」と強調した。
グーグルはすでに、ブッキング・ドットコム、エクスペディア、マリオット、IHG、ウィンダムなどのパートナーと協力して、新たな体験構築に取り組んでいる。
また、エージェンティックAIについて、「収益源、エコシステムとの連携方法、誰が参加できるかを明確にする必要がある。グーグルは、透明性を重視し、可能な限りオープンにしていく考えだ」と続けた。
バイヤーズ氏は、エージェンティックAI時代の広告モデルについても言及。「一度にすべてを変える必要はない。使い慣れた広告フォーマット、使い慣れた入札モデルなどしっかりとした基盤で試してみて、それがユーザーやエコシステムにとって有効かどうかを確認し、それから適応させていく」と話した。
「文脈クエリ」で旅行者の行動や検索表示にも変化
AIの登場で、検索クエリ(検索ワード)が単語から文脈に変化するとともに、旅行者の行動と期待も変化している。そのなかで、旅行者はエージェンティックAIを使うことで、高価な旅行の買い物をおこなう際のストレスを軽減できる可能性がある。バイヤーズ氏は「想像もしていなかった場所に行ったり、仕事で行けそうになかったホテルを思いもよらなかった日程で予約したり。旅行の核となる体験をより良くするための方法は、様々ある」と指摘した。
最後にバイヤーズ氏は、AI時代の旅行業界にアドバイスした。
まず、「現在の基盤を放棄しないこと。顧客とのコミュニケーションをつなぎ止めることは出発点として非常に重要だ」と指摘した。また、LLM(大規模言語モデル)はニーズにあったコンテンツをマッチングさせるのに非常に優れているとしたうえで、「旅行者が求めているものを把握し、顧客の声や事実に基づいたコンテンツを活用しながら、あらゆる表現で自社のことを伝えれば、これまで検索結果で表示されなかったとしても、文脈クエリから表示される可能性がある」と話した。
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営する「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:GOOGLE'S AGENTIC BOOKING COMMERCIAL MODEL TO BE 'SIMILAR' TO CURRENT MODEL

