米航空各社の航空運賃は約23%上昇、燃料高騰で「搭乗率より利益率」を重視、各社の戦略と異なるアプローチとは?

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ロイター通信

米国の航空各社の中には、空席を埋めるために運賃を引き下げるのではなく、あえて空席のまま運航することを選ぶ航空会社もある。それは、燃料費が高騰するなか、計画的な価格設定と運航スケジュールを維持することで、利益を守ろうという戦略だ。

この戦略は、運賃の大幅な引き上げにもかかわらず需要が底堅く推移したことで、収益の大きな伸びにつながった。しかし、昨今の航空燃料価格の急騰で利益は圧迫されており、複数の大手航空会社が業績予想の下方修正を余儀なくされている。

米国のデルタ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空、サウスウエスト航空、アラスカ航空グループの経営陣は、旅客数の増加よりも利益率の確保を優先する姿勢を示している。

しかし、この方針は2027年に試練を迎えることになるだろう。各社の運航計画によると、供給座席数は増加する見通し。燃料価格が高止まりする中で旅客獲得競争が激化する可能性がある。そうなれば、今年実現したような大幅な運賃引き上げを繰り返すことは難しくなるだろう。

アメリカン航空の最高財務責任者(CFO)デヴォン・メイ氏は、ロイター通信に対し、「燃料価格が高止まりするなら、利益を確保するために、イールド(旅客1マイルあたりの収益)を引き上げ続けなければならない」と話した。

航空分析会社シリウムのデータによると、米大手6社は、国内線の供給座席数を第4四半期には前年同期比3%、2027年第1四半期には同3.8%拡大する計画。これは、2026年第3四半期のわずか0.2%増という伸び率から大幅に加速している。

米労働省のデータによると、2026年3から9月の7カ月間における米国の航空運賃は前年同期比で平均約23%上昇した。これは、消費者物価全体の上昇率(平均3.6%)を大きく上回る水準だ。

航空各社は、さらなる運賃引き上げを模索している。JPモルガンによると、ジェットブルー航空は、国内線の公表運賃を片道10ドル(約1570円)引き上げた。これに先立ち、その前週にはユナイテッド航空が同様の引き上げをおこない、サウスウエスト航空もそれに追随していた。

異なるアプローチ

航空各社は長年、運賃と搭乗率のバランスを調整しながら運営をおこなってきた。しかし、燃料費の高騰を受け、航空各社の経営陣は、座席の埋まり具合(搭乗率)を犠牲にしてでも、安売りを避ける姿勢を強めている。

ユナイテッド航空のコマーシャル部門責任者アンドリュー・ノセラ氏は、決算説明会で、同社のレジャー需要における搭乗率は、第3四半期に1.3ポイント低下したことを明らかにした。ノセラ氏は、この低下について「航空券価格の上昇に伴う、ある程度の需要の弾力性(価格上昇による需要減)が表れたもの」であることを認めた。

アメリカン航空でも、第3四半期の搭乗率は低下したが、旅客単価(イールド)は18%以上上昇した。メイ氏はロイター通信に対し、この結果は意図的なものだと明かした。デルタ航空のエド・バスティアンCEOも、同社は「利益率を重視した経営」をおこなっていると話している。

デルタ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空、サウスウエスト航空、アラスカ航空の5社を合わせると、第3四半期の旅客輸送量は1%未満の伸びにとどまったものの、旅客収入は前年同期比で約88億ドル(約1.4兆円)増加した。

この乖離は、現在の収益成長が、旅客数を増やすことよりも、1人当たりの旅客からより多くの収益を得ることに依存していることを示している。プレミアム商品(上位クラスの座席やサービス)の拡充や、旅客構成の変化も、この収益増に寄与した。

米運輸保安庁(TSA)が同四半期に米国内の空港で保安検査した旅客数は、前年同期比で2.9%減少した。これにより、航空運賃の上昇が旅行意欲を削ぎ始めているのではないかという疑問も浮上している。また、供給座席数の伸びが限定的であることや、LCCスピリット航空の運航停止も、旅客輸送量を押し下げる要因となった。

しかし、航空各社の経営陣は、需要は依然として底堅いと強調している。サウスウエスト航空のボブ・ジョーダンCEOはアナリストに対し、「運賃の上昇が、利用客数の減少を招いているわけではない」と話した。同社では、今年最初の9カ月間で平均運賃が約22%上昇している。

2027年は試金石の年に

記録的な収益を上げても、燃料費の高騰から利益を守り切ることはできていない。米エネルギー情報局(EIA)のデータによると、メキシコ湾岸におけるジェット燃料のスポット価格は、2月のイラン戦争が始まる前の1ガロン当たり2.43ドル(約382円)から、10月20日には4.63ドル(約727円)まで上昇した。

デルタ航空とサウスウエスト航空は2026年通期の業績予想を下方修正したほか、アメリカン航空は旅客収入が大幅に増加したにもかかわらず、通期で赤字を見込んでいる。

現在、各航空会社は事業拡大計画を再考している。アメリカン航空は2027年、大幅な成長鈍化を見込んでおり、メイ氏は、追加便の運航によって営業費用を賄えるだけの収益が得られるかどうかを再評価していると明かした。

サウスウエスト航空は収益性を犠牲にして成長を追求しないことを明らかにしており、ユナイテッド航空の幹部は、各社が発表した2027年の運航計画が実現しない可能性もあるとの見方を示した。

運航便数を減らすと座席当たりの運航コストが上昇する一方、運賃をさらに引き上げると、既に大幅な値上げを受け入れている旅行者の購買意欲を低下させるリスクがある。しかし、航空会社の幹部らは、供給量の規律を守ることで、収益を維持できると自信を示している。

※ドル円換算は1ドル157円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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