米国のオンライン旅行市場から読む、今後の市場トレンドは?

フォーカスライトJapanの牛場春夫日本代表は、このほど旅行会社の経営者を対象に「米オンライン旅行市場の動向からみる日本市場の将来予測」と題した講演を実施した。同氏は、成熟する米国のオンライン旅行市場から日本市場が学ぶべき点や、そこから読み解く将来予測を紹介。また、旅行会社が取り組むべきモバイルの対応などを提案した。

牛場氏が紹介した米国のオンライン市場動向について、編集部がピックアップした5つのポイントは以下の通り(画像は牛場氏のプレゼンテーション資料を編集部が撮影したもの)。


1、サプライヤー直販が過半数に

多数のプレイヤーが存在する米国のオンライン市場。牛場氏が注目べき点として指摘したのはチャネル別の構成比だ。2012年の数値では、すでにサプライヤー側(ホテルや航空会社など)の直販が旅行会社を抜いている。これは、コールセンターを含む数値だが、オンラインで比較するとサプライヤーの直販が27%に対して、OTAを含む旅行会社が15%とサプライヤー側のシェアが大きい。ただし、リアルな商取引で比較すると、サプライヤーのコールセンターが28%に対して旅行会社が30%となっている。

2、海外展開やメタサーチ買収を積極化するOTA

拡大を続けるOTAの動きでは、きわめて少ないプレイヤーで寡占市場となっている。これを牛場氏は「北米のオンライン市場は成熟」しているためであると指摘。その結果、OTAがアジアなどの海外市場展開を強化したり、メタサーチ(複数の予約サイトなどを横断的に検索する機能)会社を買収するなどの動きが活発化するなど動きが活発であることを紹介した。

3、出張規定がなくなりつつある法人旅行

米国の法人旅行の新しい流れとして、個人を重んじるベビーブーマーが会社の中堅層になってきていることから、以下の傾向が顕著になってきていることを紹介。

  • BYOD(Bring Your Own Dwvice):私的IT機器の業務利用
  • オープン・ブッキングの増加:出張規定でなく個人の意向を反映した出張予約
  • 社員第一主義へ

こうしたことから、予算内で社員が個人の意向で出張予約を行う傾向が強くなっており、出張規定をなくしていく流れが顕著になっているという。旅行会社を介さない「シェアリング&ソーシャル」も好まれる傾向が強くなっており、グーグルの「Hotel Finder」 や「Flight Search」、個人宅の貸し借りをする「HomeAway」などが「旅行業に影響してくるはず」と指摘した。


4、モバイルのシェア、スマホ普及で2015年には27%に

過去には、検索が主で販売につながらないと言われてきたモバイル市場。しかし、スマホの普及で予約成約(コンバージョン)が向上している。フォーカスライトは、アメリカのオンライン市場に占めるモバイル販売シェアが毎年8〜9%拡大すると予測。2014年は18%、2015年には27%となるとしている。

なお、米国では2010年にホテルの間際予約サイト「HotelTonight」が登場して以来、モバイル・トラベル・エージェント(MTA)といわれる新しい業態が登場。牛場氏は、ホテルの予約は当日予約が30%あるというデータから「まさにモバイルにふさわしい」との見方だ。一方、航空券については50%以上が1か月前の予約といわれており「あまり関係しないだろう」との考えを示した。


5、顧客の「信頼」で伸びる在宅代理店

牛場氏は、アメリカの旅行会社店舗数と販売額についてAirline Reporting Corporation(ARC)のデータを紹介。データによると、米国ではオンライン化が進み統合整理などで実店舗数が減少した一方で実店舗の取扱額が増加した。2013年時点の数値では、ARC登録の実店舗は2001年比で6割減の1万3127軒であったが、航空券取扱額は内際合計で同8.8%増という結果がでている。

この理由について、牛場氏は「在宅エージェントが増えている」と指摘。これは、在宅の代理店方式の旅行会社が取扱いを伸ばしている実態があり、こうした代理店が「顧客の信頼が厚い」という。こうした米国旅行市場の現状は「顧客の信頼がある店舗は生き残れるということを示唆している」と語った。

なお、この講演はエース損害保険とエアプラスが共催した「旅行市場のオンライン化対策セミナー」で行われたもの。オンライン戦略を模索する検討する旅行会社の経営者が多数集まり、熱心に話を聞いた。

参考記事>>>

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。