ANAグループ決算、為替と事業拡大で費用増加、旅客増で増収減益 ―2014年3月期

ANAホールディングスは2014年3月期連結決算をまとめた。それによると、売上高は前年度比7.9%増の1兆6010億円となったものの、事業規模拡大による費用増に加え、為替の影響により費用の約4分の1を占める燃油費が前年度よりも約22%増えたことで、営業費用が同11.3%増の1兆5350億円に増加。これにより、営業利益は同36.4%減の659億円、経常利益は同44.2%減の429億円、当期純利益は同56.2%減の188億円となり、増収減益という結果になった。

ANAグループは2014年度、国内線旅客ではオペレーションコストの低減と需給適合の推進、国際線旅客では羽田路線の強化に伴う「首都圏デュアルハブモデル」の推進と事業規模拡大、LCC事業ではネットワークの充実と新規航空需要の開拓を進めることで収益性の向上を目指す。また、新たにボーイング787-9を導入し、機材効率を高めていく。こうした取り組みを通じて、ANAグループでは2015年3月連結業績見通しを、売上高1兆7000億円(同989億円増)、営業利益850億円(同190億円増)、経常利益550億円(同120億円増)、当期純利益350億円(同161億円増)と設定している。


【国際線】ビジネス、レジャーともに需要は堅調

旅客数は1%増の633万6335人、旅客収入は13.5%増の3953億円増収に

国際線旅客では、ビジネス需要、プレジャー需要とも堅調に推移。中国線では、中国発のプレジャー需要が回復したことにより、半日デモ以前の水準まで回復した。2013年9月から成田/ヤンゴン線の機材を大型化・デイリー化したほか、冬期スケジュールからアジア方面で機材の大型化を図った。商品面では、「ビジ割」「エコ割」などの割引運賃を全方面に設定し、日本発のプレジャー需要の喚起に努めた。

この結果、旅客数は同1%増の633万6335人と前年度を上回ったものの、座席キロ同9.2%増、旅客キロ同7.2%増と、需要の伸び率が供給の伸び率を下回ったため、利用率は同1.4ポイント減の73.9%となった。旅客収入は同13.5%増の3953億円。


【国内線】地方路線拡大と新商品展開で需要喚起

旅客数は3.8%増の4266万8588人、旅客収入は1.4%増の6751億円増収に

国内旅客では、ビジネス需要が堅調に推移したことに加え、プレジャー需要も着実に取り込んだ。期間中には、秋田/札幌線、成田/広島線を新規開設したほか地方路線で復便や増便を行った。商品面では、新運賃「旅割75」「旅割60」「旅割21」の設定や、「特割」「旅割」各種運賃の予約・購入期間を最大6ヶ月先の便まで拡大した他、「特割」運賃を全路線に展開することで需要喚起に努めた。

これにより、座席キロは同4.3%増、旅客キロは同4.2%増。利用率は前年度とほぼ同じ62%を確保した。旅客数は同3.8%増の4266万8588人。旅客収入は同1.4%増の6751億円となった。


▼LCCバニラエアの利用率好調、整備受託などで航空事業収入が2割増

旅行事業で訪日旅行の取扱高が過去最高を記録

また、2013年12月からエアアジア・ジャパンを引き継いで運航を開始したバニラ・エアの輸送実績については、国内線が旅客数11万9000人、利用率70.6%、国際線が旅客数7万5000人、利用率86.0%。バニラ・エア、整備受託などを含む航空事業のその他収入は同17.8%増の1791億円となった。

このほか、旅行事業については、国内旅行で東京ディズニーリゾートなどを目的とした関東方面への旅行需要の拡大し、海外旅行では「旅作」や「ANAワンダーアース」が好調に推移したほか、訪日旅行取り込み強化により取扱高が過去最高を記録したことにより、当期の売上高は同7.7%増の1,734億円となった。しかし、為替影響による海外旅行商品の原価上昇などにより、営業利益は同1.1%減の44億円となった。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…