トリッピース、2020年までに上場へ ― 石田CEO単独インタビュー(1)

旅行のメインフィールドに従来の旅行業界外から参入してきた起業家の活躍が目覚ましい。その最たる例が、ソーシャル旅行サービス「トリッピース」だろう。24歳の同社CEO、石田言行氏の実体験をサービス化したものが、“旅行離れ”といわれる若年層を見事に動かしている。その発想の源泉からビジネスの現況、業界展望までを石田氏にインタビュー。1回目はトリッピースのビジネスについて。

―まずは改めて、トリッピースを始めたきっかけを教えてください。

trippieceサイト

石田氏: ひとつに絞りきれないのですが、もともと起業志向があり、中学生の頃にはインターネットのサービスを作って「お金を稼ぐ」ことをしていました。大学では友人と国際協力系のNPO法人「うのあんいっち」を立ち上げ、その活動をしていた頃、一つのきっかけがありました。

ツイッターで「バンクラディッシュに行ってみたい」と呟いたら多くのリプライがあり、NPOで旅行会社に依頼してツアー化してもらいました。催行決定になったのですが、今まで1人や2人で行く旅行が多かったので正直、「ちょっと面倒くさいな」という気持ちになったんです。

でも、いざ行ってみると、すごく楽しい。趣味や興味が近い人たちと非日常の時間に浸る、これっていいなって思いました。帰国後も繋がっていて、やっぱり面白いなって思ったわけです。起業家として次は株式会社に挑戦したいと思っていました。この体験をサービス化することが一つのアイディアだと思ったのです。

トリッピースサイトより

▼ビジネスモデルは変化の可能性

「富士山は頂上が決まっていますが、僕らは決まっていません」

―創業から現在まで、ビジネスモデルや方向性に変化はありますか?

IMG_9177石田氏: ビジネスモデルはユーザーの旅行企画を募集し、それにある程度の人数が集まれば旅行会社にツアー化を依頼。旅行会社からのキックバックで収益を得ています。

2011年3月の創業時から変更点はありませんが、これがビジネスの根幹かというとそうではないと思っています。ウェブ業界では、スタートアップでは収益化より価値の提供が大切ですので、まずはコミュニティを作ることが重要でした。そこがだいぶクリアになってきたところです。

ただ、マネタイズのエンジンは作っておいた方がいいと思っていました。ですから、数ある選択肢の一つとして現状の運営をしている形です。このモデルは変わっていくかもしれないし、まだそこはわかりません。

―富士登山で例えると、今、どれくらいのところですか?

石田氏: まだ2合目~3合目。まずは5合目の中腹を目指していくという感じですね。

―5合目あたりに行くと何が見えている気がしますか?

石田氏: ビジネスの根幹部分は固まっています。ただ、富士山は頂上がありますが、僕らは決まっていません。とにかく足元がぐらつかなくなっているところを5合目としたい。

―その先が決まっていない頂上ですが、そこに行くと何が見えるのでしょうか?

石田氏: そうですね。基本的にはビジョンベースでサービスを作っているので、僕らが目指す一つの世界観が体現できているということでしょうか。「旅を通じて人を繋げ、国内外で分け合う」がポイントの一つかと思っています。

▼2014年10月には会員数20万人へ

「数値化できない領域を可視化していくことに興味がある」

―ビジネスの現状をお伺いしたいのですが、現在の会員数と今後の目標を教えてください

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石田氏: 今のところ会員数は約12万人、旅行者数は今月(5月)で約1500人。ゴールデンウィークの日並びが良くなかったのでこの結果です。夏は目標値で8月、9月に各5000名くらい。会員数は今のペースでいけば、今期末の10月には20万人になるだろうと思います。ボリュームゾーンは20代・30代で、8割がクチコミでの流入です。

旅行のコミュニティサービスでは相当大きい方になると思います。これより大きい会員数になるとフォートラベルさん。まずはこの規模を目指していきます。コミュニティの質が大切ですので、今は広げる段階ではないと思っています。

―旅行会社との提携状況は?

石田氏: 現在10社以上です。大手から専門会社までさまざまで、基本的にお声がけいただいた会社と提携しています。条件等は同じです。分かりやすく言うと、旅行会社さんのトリッピース支店がオンライン上にある、というイメージ。そういうものをどんどん構築していきたい。

―全旅行会社にインターネット支店があってもいいくらい?

石田氏: そうですね。もちろん、運営体制や旅行業登録等はきちんと確認します。契約だけではお互いに費用が発生することはありません。

―店頭販売はどう思いますか。

石田氏: 僕らはやりませんが、インターネットを使わない人も多いので必要性はあると思います。ただし、案内をするだけではもったいないと思います。

―O2Oはどう捉えていますか

石田氏: 現在のイベント以外にもやっていきますが、旅行販売は目的としません。オンラインとオフラインは役割が全く違うので、そこは切り分けていきます。

―オンライン旅行業界ではOTA対メタサーチに関心が集まっています。協業するならどちらでしょうか?

石田氏: メタサーチは、会社としても個人的にもあまり興味はないです。結局、検索できる領域に限られるので、基本的には数値化されていますよね。僕は数値化できない領域を可視化していく方に興味があります。協業はしていくと思います。OTAは十分あり得ると思います。

―それは訪日、英語サイトも?

石田氏: 英語サイトはまだ準備段階で、本格展開は夏以降になります。現地法人の運営ですので、OTAや旅行会社に繋いでいくと思います。実は、メタサーチかOTAかについては、あまりは考えたことはないですね。

―それは消費者が選んでいくということですか?

石田氏: そうですね。マーケティング勝負になるのではないでしょうか。航空座席やホテルは数が限られているし、システムも大差がないと思うので。難しいところですが、でもそういう意味では面白いですね。勝負のつき方、戦略に関しては興味があります。

▼2020年までに上場を目指す

「観光のカテゴリでメインプレーヤーでありたい」

自由な雰囲気が漂うトリッピース社内

―今後、一番伸ばしていく部分はどこでしょうか?

石田氏: 追っている数値としては旅行者数です。

―それは先ほどの山登りの話でいうと、5合目ぐらいで何名くらいですか?

石田氏: 国内発海外の市場でいえば、今の1800万人~2000万人の1%は取りたい。18万人くらい。そうすると旅行会社さんにとってのウエイトも大きくなる。僕らの存在価値がより明確化してくると思います。

―そのタイムラインはいつ頃でしょう?

石田氏: そんなに遠い未来ではないと思います。そうですね、2018年には達成したい。どこかで爆発的に加速度を上げなくてはいけない。それはタイミングが来たらやってくると思います。

―その先はどのような姿をイメージしていますか?

石田氏: 自分自身が描ける将来は今の段階では30歳くらいまで。その時ちょうど2020年。東京オリンピックが来るので、そこまでには上場したいと思っています。その先2、3年は日本が盛り上がっていると思うので、観光のカテゴリでメインプレーヤーでありたいという気持ちがあります。

30代後半になったら、次のことをしたくなる気がしています。それがトリッピースなのか、会社を離れるのかわかりませんが、自分は起業家でありたいという気持ちが強くあります。いい経営者がいたらバトンタッチするのは可能性としてありますよね。

>>> 次回へ続く

聞き手:トラベルボイス編集部 山岡薫

記事:山田紀子

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