旅行会社のツアー企画担当者が知っておきたい新たな表示規約の9項目、「早期割引」や「客室の景観」など

2014年6月、旅行公正取引協議会は公正競争規約の表示規約を変更した。景品表示法も改正(不当表示に課徴金導入が決定、来年から施行)された今、募集型企画旅行に大きくかかわる表示規約の変更点は注意が必要だ。また、新たな「告知広告」など旅行販売を行わず、資料請求や問い合わせを促す広告種類も新設している。

変更点は9つ。その他、2015年に事務局通達によって宿泊地表示の「特有の事象」に関する考え方が変わっている。このほど旅行業公正取引が開催した公正競争規約の説明会で解説されたポイントをまとめた。

*旅行業における表示規約の適用範囲は、日本国内で募集型企画旅行に関する表示。募集広告(新聞、チラシネットなどの広告)、説明書面(パンフレットなど)、その他の表示(募集広告に達しない告知広告(資料請求、予告広告)などに適用される。募集広告では12項目、説明書面は20項目の表示が義務付けられている。


その1:募集広告に満たない「告知広告」「イメージ広告」の新設

物理的にすべての広告が入り込まない場合(テレビラジオなど)、告知やイメージだけでの広告が可能になった。旅行契約の申し込みを受け付けない広告で、問合せや資料請求のみを求めるものやオンラインで詳細を閲覧することをもとめるもの。

将来の販売予定を紹介するものも含まれ、価格の下限と上限、海外であれば燃油の有無、それ以外は省略できる。ただし、掲載ツアーはこの広告でのお申し込みを受けていないこと、資料請求を促す文言が必要。


その2: 客室の景観に関する表示の新設(パーシャルオーシャンビュー)

客室の景観について、説明書類における必要表示事項でパーシャルオーシャンビューが新設された。従来は、オーシャンビューとオーシャンフロントの2種だったが、パーシャルオーシャンビューを新設することで、景観の違いを明確にする目的。

パーシャルオーシャンビューとは、客室の窓側から海の一部が見える/窓側からは見えないがベランダから海が(絶対に)見えることととし、海がしっかり見えないことを表記する必要がある。オーシャンフロントは、海辺に位置し、正面に海が眺められる部屋。オーシャンビューは、客室の窓側から視界のかなりの部分を海が占めている(51%以上)もの。いずれも、内容を同一視野に表示する必要がある。


その3:早期割引の旅行代金表示

説明書類で旅行代金を表示する際、これまではパンフレット内で割引後の金額のみを最高額を記載する必要があった。変更後は、割引前・割引後の金額併記が可能になった。パンフレット表紙でも、全日程で適用されていれば割引後の金額などの表示が可能になる。ただし、どちらの場合も「早期」の基準を旅行代金に近接した場所に表示する必要がある。


その4:旅行業公正取引協議会マークを説明書面に表示

説明書面の必要表示事項に「旅行業公正取引協議会マーク」が追加された。協議会としては、募集広告にも表示して欲しい意向があるという。


その5:温泉の表示

特定事項の表示基準で、温泉を主目的とした募集型企画旅行で「源泉」「天然温泉」「療養泉」に関する表記を変更。加水、加温、循環ろ過装置、入浴剤などを行っている場合は、その旨を明瞭に表記しなければならない。療養泉については基準値を維持しているのを確認したうえで表示しなければならない。


その6:「おすすめ」など推奨を意味する用語

特定用語の表示基準として推奨を意味する用語の取扱いが運用基準から施行規則に移動した。「推奨」「推薦」「推賞」などの用語の利用については、推薦人が事実に基づいて推薦をしていることが条件となる。これは、実際のツアーに同行した事実や推薦する根拠、体験をしていることなどがあげられる。


その7:「確約」「指定」の用語

特定用語の仕様基準として、「確約」「指定」などを新設し、従来からの呼びかけが運用基準から施行規則に移動した。「確約」「指定」の用語を使用する際は、わずかでも変更の可能性が考えられる場合は用語を使用できない。買い取り・デポジット支払いをするなどで内容を担保するシステムを構築していることが必要。


その8:不当な二重価格表示の禁止

従来、募集型企画旅行で相当期間(比較対象価格が販売されていた過半かつ2週間以上)販売されていた商品を値下げ可能としていた。トータルの販売期間は8週間までだった。

変更後は、同一の募集型企画旅行の旅行代金がいつの時点でどの程度販売されていたかを表示すれば値下げの表示が可能になる。値下げ期間限定も可能になる。


その9:その他(規約で使用される用語の整理)

「申込・問合せ先」 → 「申込先及び問合せ先」
「消費者」 → 「一般消費者」
「隣接箇所」 → 「近接した場所」
「明りょう」 → 「明瞭」
「すべて」 → 「すべて」
「割引制度」 →「割引の種類」


▼宿泊地表示の「特有の事象」の適用範囲広がる

「祭り」「花火大会」「世界遺産都市」など追加

様々な解釈があった宿泊地表示における「特有の事情」。手配困難な「特有の事情」がある場合に限り「AまたはB」や「Aまたは近郊」の表示が認められている。この「特有の事情」を2015年1月に事務局通達を発出、解釈を明確にわかりやすくした。

これまで、「特有の事情」の範囲はオリンピック、大型博覧会、スポーツ大会、コンベンションなどとしていたが、通達によって「祭り」「花火大会」などを追加。適用の範囲がひろがった。世界遺産登録の都市など中心市街地の開発が制限されている場合も「特有の事情」とされることになっている。

また、イベントや世界遺産登録都市などの理由で当該都市の宿泊施設を確保することが困しく、旅行日程上の利便性を高める都市である場合も「特有の事情」として認められる。こうした近郊表示をする場合の宿泊地について「旅行の主たる目的や日程を損なわない範囲の都市又は観光地、地域」であることも明確化し、表示の際は都市間の距離や利用運送機関の種類・所要時間を表示する必要があるとしている。

来年からは、表示規約の違反企業には罰則(課徴金制度や企業名の公開など)が厳格化することが決まっている。上記にまとめた変更のポイントは、簡易にわかりやすくしたもの。詳細は、旅行公正取引協議会が開催する説明会や、同会が発行するテキストで適格に把握しておくことが必要だ。

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

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