東京五輪2020で旅行部門の公式パートナー3社を発表、特例に森氏「協力しながら競合して」

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの旅行部門におけるオフィシャルパートナーに、KNT-CTホールディングス、ジェイティービー、東武トップツアーズ(50音順)の3社が決定し、共同発表会が開催された。

スポンサーシップの契約カテゴリ―は「旅行業務およびナショナルトリップホスピタリティサービス(国内領域)」。契約期間は2016年3月31日~2020年12月31日。2020年東京大会までの夏季、冬季、ユースあわせて9つのオリンピック大会に関する日本代表選手団のパートナーとして、関係者を含む移動や宿泊のサポートを行なうとともに、2020年東京大会での世界各国からの選手、関係者、観戦者の受け入れを担う。

「1業種1社」が原則の東京2020スポンサーシップにおいて、3社共存の契約は今回が初めてのこと。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の森喜朗氏は、その理由について、先日発表された訪日外国人旅行者数の政府目標に触れつつ「範囲が広い」とし、国際オリンピック委員会(IOC)にも了承してもらえたと説明。「東京だけではなく、日本各地の経済効果を生み出していくためにも、3社に期待する役割は極めて大きい」と述べ、「協力しながらいい意味で競合してほしい」と語った。

共同発表会には旅行3社の代表が参加し、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるためのサポートに尽力すると同時に、「ユニバーサルツアーのノウハウを生かした観戦ツアーの企画やスポーツを通じた地方振興で貢献」(KNT-CTホールディングス代表取締役社長の戸川和良氏)、「スポーツを中心とする交流を広げる大きな機会。地方にいかに広げるかが旅行会社の大きな使命」(東武トップツアーズ代表取締役など、スポンサーシップを通した観光立国に対する役割の意気込みを語った。

ジェイティービー代表取締役社長の高橋広行氏は「『観戦+観光』を念頭に、大会前後を観光で回ってもらう流れを作りたい」と言及。訪日客数の政府目標である2020年4000万人、2030年6000万人について「今の流れからいうと可能。これくらい達成しなければいけない」とし、今年のリオデジャネイロ五輪の閉会式で「東京」コールがされた後に一気に高まる日本への注目を活かし、訪日インバウンドをさらに勢いのあるものにしていくことが当面の課題とした。

このほか共同会見には、日本オリンピック委員会(JOC)会長の竹田恒和氏、日本パラリンピック(JPC)委員会会長の鳥原光憲氏が出席した。鳥原氏はアクセシビリティをはじめとする大会環境の向上と大会を盛り上げるファンづくりがJPCの課題とし、「この観点からも旅行3社が公式パートナーに参画されたのが心強い」と旅行サービスの役割に対する期待を語った。

なお、今後3社は契約内容に即して同様の取り組みを行なうことになるが、3社共存に伴い発生する競合の仕方や協力・連携の有無についての発表はなかった。


【契約概要】

  • 契約プログラム:東京2020スポンサーシッププログラム
  • 契約内容:オフィシャルパートナー(旅行業務及びナショナルホスピタリティーサービス)
  • 呼称やマークなどを使用し、オリンピック・パラリンピックムーブメントの盛り上げや、日本代表選手の支援、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に貢献
  • 契約期間:2016年3月31日~2020年12月31日
  • 対象:
    • 大会
      • 第32回オリンピック競技大会(2020/東京)
      • 東京2020パラリンピック競技大会
    • 日本代表選手団
      • 第2回ユースオリンピック冬季競技大会(2016/リレハンメル)
      • 第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)
      • リオデジャネイロ2016パラリンピック競技大会
      • 第23回オリンピック冬季競技大会(2018/平昌)
      • 平昌2018パラリンピック冬季競技大会
      • 第3回ユースオリンピック競技大会(2018/ブエノスアイレス)
      • 第3回ユースオリンピック冬季競技大会(2020/ローザンヌ)
      • 第32回オリンピック競技大会(2020/東京)
      • 東京2020パラリンピック競技大会
  • 領域:日本国内

 

【オフィシャルパートナーの主なスポンサー権利】

  • 呼称・マーク類・関連素材使用権/リコグニッションプログラム/関連事業協賛権/商品・サービスのサプライ機会/マーケティングサポート等

※参考:東京2020スポンサーシッププログラムについて

  • オリンピックのスポンサープログラムは4つの階層からなり、最上位はIOCのオリンピックパートナープログラム(東京2020では、コカ・コーラ、アトス、ブリヂストン、ダウ、GE、マクドナルド、オメガ、パナソニック、P&G、サムスン、トヨタ、ビザの各社)。その他の3つの階層は国内向けのスポンサープログラムで、国内最高水準の東京2020ゴールドパートナー、東京2020オフィシャルパートナー、東京2020オフィシャルサポーターからなる。

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