民泊Airbnbが旅館業法上の「宿泊施設」との取り組みを本格化、国内3法人と提携、その背景を担当者に聞いてきた

民泊大手のAirbnb(エアビーアンドビー)は、ホテルや旅館など既存の宿泊施設と連携する取組みを本格化する。このほど国内3つの宿泊施設運営法人と提携。これまで、一般の個人宅をメインとしてきたが、旅行者が宿泊する施設の選択肢を増やしていくことで、同社ユーザーであるコミュニティに対して選択肢を拡張していく方針だ。

第1弾として提携したのは箱根、葛飾区柴又の宿泊施設、瀬戸内のNPO法人。箱根と瀬戸内の宿泊施設は2月23日から、柴又の宿泊施設は3月18日のオープン時からAirbnbに掲載される。

Airbnb Japan統括営業部長の長田英知氏はトラベルボイスのインタビューにこたえ、今回の提携について説明。「それぞれの宿泊施設とも地域のコミュニティーと密接な関係を持っており、Airbnbが掲げる地域創生への貢献という理念とも親和性が高い」と話し、今後も、一般的な民泊に加えて、既存施設によるリスティングも増やしていきたい考えを示した。家族旅行などでバケーションレンタルの世界的なニーズにこたえる方針だ。

今回提携した宿泊施設のうち、箱根仙石原の複合施設「NEST INN HAKONE俵石閣」は、老舗旅館「俵石閣」を2016年夏にリニューアルしたもの。まずは客室3棟のうち1棟をAirbnbで貸し出す。Airbnbゲスト向けのオリジナル体験として天然酵母を使ったパン作り(有料)も提供。併設のレストランで食事を取りたい場合は、別料金となり現地で支払うことになる。

NEST INN HAKONE俵石閣を掲載したAirbnbサイトページ柴又の「柴又FU-TEN Bed & Local」は、旧葛飾区職員寮をR-projectが再生したもの。オープン時には3部屋から貸し出しを始め、将来的には14部屋をAirbnbで予約できるようにする。柴又FU-TEN Bed & Localを掲載したAirbnbサイトページ

瀬戸内のNPO法人アーキペラゴとの提携では、高松の「北浜住吉古民家ステイ」と女木島の「瀬戸内ステイ」をリスティング。今後も24の有人島で宿泊可能なリスティングを開拓していきたい考えだ。

「瀬戸内ステイ」を掲載したAirbnbサイトページ

いずれも、旅館業法上の宿泊施設であるため、今春成立が見込まれる民泊新法の宿泊日数制限は適用されることはなく、年間を通じての貸し出しが可能。これまでも既存の宿泊施設側が登録する形式でサイトに掲載される施設が存在していたが、同社と提携という形でリスティングするのは今回がはじめて。国内で、Airbnbに対する理解度も上がってきたことから、宿泊施設側からのアプローチがあったという。

Airbnb Japan統括営業部長の長田英知氏

Airbnbはプラットフォームとして機能するため、宿泊施設も従来通り自由に登録することは可能だが、「提携によるリスティングについては、従来のP2Pではなく法人対応として独自の判断プロセスを適用していく。それなりのプロセスを踏むために、必然的にクオリティーは高くなる」と説明する。Airbnbへの掲載手数料は通常の民泊施設と同様に3% だ。

世界ではビラが約8万軒、城が約4000軒、島が約1000軒、シャレー(城など)が約300軒リスティングされており、一般の個人宅以外の個性的な宿泊体験も多い。また、文化的価値の高い場所も多くリスティングされていることから、「将来的には、自治体などの協力を得ながら、地方の文化的価値の高い場所も宿泊施設として積極的に開拓していきたい」と意欲を示す。海外では高級ホテルチェーンとして知られる仏シャトー&ホテル・コレクションが提携しており、国内でも様々な事例が増えていきそうだ。

Airbnbは昨年、新たに「Trips(体験)」をリリース。従来の宿泊に加えて、ローカル体験へとビジネスを広げた。「日本の旅館やホテルが提供しているおもてなしには高い訴求力がある。Airbnbの目標に掲げている『旅の体験の最大化』にも合致する」と長田氏。OTAと同じくオンライン上での予約になるが、地域創生と体験を全面に出して既存宿泊施設との取り組みを強化していく。

なお、同社では今春成立見込の民泊新法に沿った対応をする方針を明らかにしている。営業日数制限に対して、上限を超えた物件を非表示にする機能や一部自治体が採用している宿泊税の徴収・納付を代行するなど、サイト上に新たな機能を追加することを検討していくという。

取材・記事 トラベルジャーナリスト 山田友樹

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