政府、「観光ビジョン実現プログラム2017」を発表、施策を「3つの視点」に集約

政府は2017年5月30日、「観光ビジョン実現プログラム2017(観光ビジョンの実現に向けたアクション・プログラム2017)」を発表した。明日の日本を支える観光ビジョン構想会議で2016年3月にまとめられた「明日の日本を支える観光ビジョン」2017年3月発表の「観光立国推進基本計画」を踏まえ、目標とする「2020年訪日外国人旅行者数4000万人」「訪日外国人旅行消費額8兆円」などの確実な達成に向けた今後1年間のアクションプランとして策定されたもの。

政府が開催した「観光戦略実行推進タスクフォース」や「歴史的資源を活用した観光まちづくりタスクフォース」を中心に議論されたテーマなどをベースに、大胆かつ新たな施策を盛り込んだものとなっている。

具体的には、先にとりまとめられた「観光先進国」を達成するために必要な3つの視点とそれらに紐づく実施項目に対して、タスクフォースで議論された(1)魅力ある公的施設の大胆な公開・開放など「観光資源の保存と活用のレベルアップ」、(2)歴史や文化だけにとどまらない新たな観光資源の開拓による「『楽しい国 日本』の実現」、(3)訪日プロモーションにおける国別戦略の徹底など「JNTOの大胆な改革」、の3テーマを加味して新たな施策にまとめた。

以下、今回発表された施策の概要を「3つの視点」に沿って抜粋する。

視点1.観光資源の魅力を極め、「地方創生」の礎に

  • 「魅力ある公的施設・インフラの大胆な開放」では、年間を通じて赤坂迎賓館や京都迎賓館を一般公開するほか、季節に応じた夜間公開や特別開館も推進。京都・桂離宮のガイドツアー回数や定員も拡充するほか、新たに外国人専用の英語ガイドツアーも設定する。
  • 「滞在型農山漁村の確立・形成」については、農山漁村における「農泊」に取り組む地域の目標値を"2020年までに500地域"に設定。農林漁業体験プログラムの解決に加え、古民家改修も支援する。さらに「古民家など歴史的な資源を活用した観光まちづくりの推進」では、重要伝統的建造物群保存地区や農山村地域を中心に、取り組み地域の目標値を2020年までに200地域に設定。上質な宿泊施設や飲食店を核とした再生・活用の取り組みを進める。
  • そのほか、「新たな観光資源の開拓」として、サイクリングなどの参加型コンテンツや伝統芸能などの参観型コンテンツの受け入れ体制整備を実施。美術館や博物館の開館時間延長の取り組みもさらに推進。新たな日本ブランドの確立に向け、多言語かつ一元的な情報発信も進める。

視点2.観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に観光産業の強化

  • 「観光関係の規制・制度の総合的な見直し」として、通訳案内士法や旅行業法の一部改正を実施。例えば、通訳案内士試験では内容を見直すほか、業務独占規制廃止後の質の維持・向上のために定期的な研修受講の義務化を導入。ランドオペレーターの登録制度の導入に加え、地域限定旅行業の業務範囲見直しなども進める。
  • 「民泊サービスへの対応」では、サービスの適正な運営を確保しながら観光旅客の来訪や滞在を促進する方針。「住宅宿泊事業法」の制定により事業者の届け出や登録制度を設置する。
  • 「産業界ニーズを踏まえた観光経済人材の育成・強化」では、トップレベルの経営人材育成拠点を一橋大学と京都大学の大学院段階に設置することを目的に、観光MBAの開学準備を推進。学校教育法を改正することで、専門職大学の創設もおこなう。

視点3.すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に

  • 「最先端技術を活用した革新的な出入国審査等の実現」では、審査待ち時間を活用してあらかじめ個人識別情報を取得するバイオカートの対象空港拡大を検討。爆発物自動検知機器などを新たに羽田空港等に設置するほか、高度なボディスキャナーを那覇や鹿児島を含む8空港に導入。日本人出帰国手続きでは、顔認証技術を用いた自動化ゲートの年度内導入も検討していく。
  • 「通信環境の飛躍的向上と誰もが一人歩きできる環境の実現」としては、防災拠点におけるWi-Fi環境を「2019年度までに約3万か所を整備」。事業者の垣根を超えた認証連携の仕組みやサービス提供を実施する。
  • また、「地方空港のゲートウェイ機能強化とLCC就航促進」として、"地方イン・地方アウト"の流れを創出。訪日誘客支援空港の認定を実施。羽田空港と成田空港では2020年までに空港処理能力をそれぞれ約4万回拡大するための施策を講じる。
  • 「クルーズ船受け入れのさらなる拡充」では、民間のクルーズ船社による旅客ターミナルビルと公共港湾施設の整備を組み合わせた取り組みを推進。例えば、民間企業には無利子貸付制度を提供するほか、岸壁の優先利用を認める仕組みづくりなども実施する。

アクション・プログラム全文は以下から参照できる。

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