政府、日本型IR(統合型リゾート)の枠組みを最終とりまとめ、滞在型観光モデルの確立へ

#IR

政府のIR推進会議(特定複合観光施設区域整備推進会議)は、2017年7月31日、これまで実施してきた会議を経て「日本型IR」が目指す全体像や制度の枠組みを取りまとめた。海外事例にもとづく規制(カジノ規制、弊害防止対策)などを整理したほか、「カジノ事業者に係る公租公課等」「カジノ管理委員会」「刑法の賭博に関する法制との整合性」といった項目立てでまとめたもの。

取りまとめた文書は「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~「観光先進国」の実現に向けて~」。以下、主要項目の概要を抜粋する。

日本型IRの全体像と枠組み

まず、「日本型IRの全体像」では、MICE施設や宿泊施設、レクリエーション施設などの集客施設にカジノを加えた「統合型リゾート(IR)」を、民間事業者が民間ならではの創意工夫を通じて設置・運営するのが前提であると解説。日本ならではの独自性と先進性をもって、国内外から誘客をおこなう一方で、カジノ施設を通じて高い収益を得、IR事業全体の採算性を担保することが必要としている。

公共政策としては、多様な魅力を持つMICEの一大拠点としてIR全体が経済エンジンとなりうると提示。日本ならではのショービジネスを育てることが滞在型観光モデルの確立にもつながるとしている。

枠組みとしては、「備えるべき施設の種類・機能」「推進法が定める"一体となっている施設"の要件」について説明。「カジノ施設(中略)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設」を構成するに際して、事業主体の一体性のみならず、地理的な一体性(単一の区画に集約して設置すること)も求めるとしている。

IR推進本部:発表資料より

世界最高水準のカジノ規制と依存症対策導入

カジノ規制とは、カジノ事業の廉潔性を確保するための制度的枠組みのこと。具体的には、厳格な免許制度の構築や参入規制が必要であるとして、以下のとおり「カジノ事業に係る参入規制の6つの原則」を提示。株主規制や委託先・取引先への規制も提示した。

カジノ事業に係る参入規制の6つの原則

  • 原則 a. カジノ事業免許に基づく廉潔性確保と厳格な規制
  • 原則 b. カジノ事業免許の主体を IR 事業者に限定
  • 原則 c. IR 事業者やその役員のみならず幅広く関係者の廉潔性等を背面調査により審査
  • 原則 d. 株主等について認可制等で規制
  • 原則 e. IR 事業者が行う取引(委託契約を含む。)についても認可制等で規制
  • 原則 f. カジノ管理委員会の体制を整備し、徹底した背面調査を実施

また、弊害防止対策としては、依存防止対策や青少年の健全育成を行うための規制を解説。ゲーミングに触れる機会の限定から、誘客時の規制、カジノ施設内での規制、相談・治療につなげる取り組みまで、多段階な対策が必要とする。青少年の健全育成については、主に広告・勧誘の制限と入場規制の観点から議論。例えば入場回数制限を設けたり、1日単位で入場料を賦課するといった方策を挙げたほか、マネー・ローンダリング対策、暴力団員の入場禁止などについても提示した。



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