地方創生動画で島暮らしを訴求、人口半減の山口県周防大島町が「都会vs自然」を分割画面で比較表現【旅に出たくなる動画シリーズ】

本島となる周防大島(屋代島)と、その周囲に浮かぶ5つの有人島、25の無人島からなる山口県周防大島町。「みかんの島」として知られ、山口県のみかん生産量の実に80%を担っていると言われています。歴史的には、明治時代に多くの島民を移民としてハワイに送り出したことから、いまでもハワイとの関係は深く、夏には島中がアロハシャツでおもてなしをする「ALOHA Biz」なるプロジェクトを展開しているそうです。

今回「旅に出たくなる動画シリーズ」でご紹介するのは、その周防大島町定住促進協議会が作成した地方創生動画。観光PRというよりは、UIターン促進のためのプロモーションです。その構成は単純。画面を分割し、左側に東京の、右側に周防大島の生活を時系列で映し出し、それぞれを対比させることで、周防大町の豊かさを伝えています。単純だからこそ分かりやすいし、「いいところだなあ」と思わせる説得力もあります。ただ、個人的には、「最後のオチはちょっと違うなあ」と思ったりしますが。

ちょっと気になったので、周防大島のことを調べてみました。人口は1万7,199人(2015年10月国勢調査)。毎年右肩下がりで、1980年の人口が3万2021人ですから、35年間で約1万5,000人も減ってしまいました。現在の人口構成は、15歳未満が全体の6.8%、65歳以上が51.9%。日本の地域の社会構造の縮図がここにもあります。

このままでは町が消滅してしまう。その危機感から町では2015年12月に「周防大島町人口ビジョン」を策定しました。そのなかで、町として2040年時点で人口1万人、2060年時点で人口7,500人を「維持する」ことを「めざす姿」としています。将来を展望するビジョンの目標が数値の減少で、しかも「維持する」としているところに、切羽詰まったリアリティーがあり、これが周防大島だけの問題ではないと考えると、あらためて愕然としてしまいます。

今回の動画も、その差し迫った危機感から生まれたものでしょう。半永久的な移住でないにしろ、観光で一時的にでも人が動けば、将来的なビジョンに少しは明かりが差すのではないでしょうか。

周防大島町定住促進協議会「回帰」(Youtube:約2分半)

トラベルジャーナリスト 山田友樹

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