トリップアドバイザー、アクティビティ予約を強化、傘下「ビアター」との一本化やサプライヤー向けツール投入計画

トリップアドバイザー傘下で、体験アクティビティや現地発着ツアーのオンライン予約を展開しているビアター(Viator)は、同社に登録するサプライヤー各社向けのサービス拡充に着手。これに伴い、ブランド名も従来の「ビアター」から「トリップアドバイザー・エクスペリエンス(TripAdvisor Experiences)」に改称した。

ビアターは1995年米サンフランシスコ創業。「インサイダーが案内する旅」をテーマに、各種ツアーや体験レッスン、飲食など、様々なタビナカ体験のオンライン予約手配を行う事業で成長。2014年にトリップアドバイザーが買収したが、その後も独自ブランドを存続してきた。

今回の名称変更は、2018年4月下旬、ビアターと契約しているサプライヤー各社に対し通知したもの。この内容によると、「今年は、サプライヤー向けサービスを段階的に拡充していく計画」で、その第一弾として、まず着手したのがブランド戦略。「我々が誰なのか、何を提供しているのか。トリップアドバイザーとの相乗効果をさらに拡大するために、より明確なブランド名を採用するべき時期が来た」と説明している。

また、契約サプライヤー各社向けに、クチコミ獲得に関するアドバイスや世界の旅行トレンドなどを紹介する情報サイトも新しく開設し、サプライヤー各社との関係を強化。そのほか、新しいプロダクトの追加や、予約確定後の利用客とサプライヤー間のやり取り、在庫管理など、サプライヤーの日常業務フローがより簡単になる新しいツールを順次導入していく計画。タビナカ体験を提供するサプライヤーが、オンライン予約取扱いで感じているストレスを軽減することで、本業に集中できるよう支援体制を整えていく考えだ。

一方、今回のブランド見直しは、現段階ではサプライヤー向け限定としており、一般消費者向けの現地体験サイトの名称は、従来通り「ビアター」の名称を使用する方針だ。なおサプライヤー各社との契約体系などにも特に変更はない。

トリップアドバイザーでは、ビアター買収後も、同社の独立性を尊重。タビナカ体験についてのクチコミも、トリップアドバイザーとは別にビアターでは独自に収集、掲載してきた。しかし大手OTAによるタビナカ体験サプライヤーの囲い込みが本格化の兆しを見せるなか、2つのブランドを別々に展開するより、グループ企業としての統一感を強く打ち出す方が得策との思惑もありそうだ。

タビナカ素材とホテルでは、業態も大きく異なる。トリップアドバイザーでは、「インサイダー」を極めれば極めるほど、ローカルな中小業者が多くなるタビナカ体験サプライヤーを意識したソリューション構築にも乗り出しており、今年4月には、この分野に特化したマネジメント・テクノロジーを提供するIT企業、ボークン(Bokun)の買収を発表している。

トリップアドバイザーが5月8日に発表した2018年第1四半期決算では、「非ホテル部門」とされている体験アクティビティとレストランの売上は、前年同期比36%増の7900万ドル(約87億円)に増加。これに対し、ホテル部門は依然として売上全体の8割近くを占めるものの、同5%減の2億9900万ドル(約329億円)と伸び悩んでいる。

同四半期決算の総売上は同2%増の3億7800万ドル(約416億円)、純利益は同62%減の500万ドル(約5億5000万ドル)。

記事:谷山明子

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