日本の民泊に英調査会社が警鐘、エアビーらの大量削除で、2017年は運営物件10万件の調査結果も

英調査会社ユーロモニターインターナショナルはこのほど、2012年から2017年までに関する日本における民泊(短期宿泊・施設宿泊)市場規模の調査を実施した。

それによると、民泊の営業物件数は、2012年の2万1577件が2017年には9万8198件となり、6年間で4.5倍増に。全体売上は、2012年は182億4000万円だったが2017年には5倍以上の1041億7800万円と1000億規模に成長。また、2012年には売上全体の約半数のみがオンライン経由だったが、2017年には約8割を占める804億4600万円がオンライン予約経由となっている。

仲介企業のシェアをみると、2017年はエアビーアンドビー(Airbnb)が全体の6割を占め、次いでウィークリーマンションのグッド・コミュニケーションが9.7%、エクスペディアの「ホームアウェイ」が7.3%との結果となった。

これまでの様相が一転?  エアビーの大量物件削除で警鐘

一方で、2018年6月の民泊新法(住宅宿泊事業法)施行により、これまで順調に成長してきた国内民泊市場の様相が一転する可能性が出てきている。

ユーロモニターのリサーチアソシエイト国吉竜昇氏は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、民泊新法施行が与える影響の大きさを示唆。施行から1週間以上が経過した時点で民泊事業の申請件数ははるかに下回っているうえ、民泊仲介大手「エアビーアンドビー」に掲載された違法物件が大量に削除された状況などから、「2018年内に削除前の水準まで物件数が回復することは難しいと言わざるを得ない」と説明。

特に、海外では類を見ない規模での削除物件が発生したことは、民泊というひとつの市場の問題にとどまらず、政府による観光政策の在り方そのものが問われると言及。多くの民泊事業者が撤退する状況に至った場合、2020年に向け、宿泊施設の不足やそれに起因する旅行機会の損失が懸念されるとコメントしている。

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