ツーリズムEXPO2018が開幕、世界の観光リーダーが提起する「オーバーツーリズム」対策とは?

今年で5回目となるツーリズムEXPO2018が開幕した。今年は、業界日が例年より1日多い2日間(20、21日)、一般日が2日間(22、23日)と合計4日間に会期を拡大。初日には、BtoBでの展示商談会とともに世界の観光リーダーが集う開幕式や国際会議が行われ、世界の観光業界のおける現状と知見が共有された。(写真:WTTC理事長兼CEOのグロリア・ゲバラ・マンソ氏)

今年の全体テーマは「観光で地域創生を」。英文では「Managing Sustainable Tourism for Community Development」と題し、持続可能な観光をどうマネジメントすべきか、特に観光客の増え過ぎ問題(オーバーツーリズム)についての話題に注目が集まった。

国連世界観光機関(UNWTO)の統計によると、2017年の世界全体での海外旅行者人口は13億人、2030年には18億人と予測され、さらに、国際航空運送協会(IATA)では今後20年間で航空利用客数は倍増の78億人と見込んでいる。旅行市場の拡大に伴い、顕在化している問題が、オーバーツーリズム、観光地の混雑に伴う諸問題だ。

基調講演に登壇した国連世界観光機関(UNWTO)のズラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長は、「数と質、両方が伸びていくことが、受け入れ地域の発展には不可欠だ」と指摘。すでに国連では「持続可能な発展を目指すためのアジェンダ2030」と、17項目の具体的なゴールを策定しているが、目標達成に向けた取り組みが急務と訴えた。

その具体策として、同事務局長は第一に挙げたのが、イノベーションと技術への投資によるスマート・ツーリズム促進。これからの社会、文化、環境面での諸問題に取り組む上でますます重要になると指摘した。

また旅行産業のイノベーションや雇用拡大に欠かせない存在である起業家や中小業者への支援、ツーリズム産業全体の強化に向けた教育やトレーニングの拡充に取り組むことが重要とした。

ポロリカシュヴィリ事務局長は、世界の海外旅行人口の拡大に伴い、訪問客の社会的・経済的な背景が多様化していること、特に新興国や先進国では、かつては考えられなかったコミュニケーション手段が拡大している点にも言及。「ハイパー・コネクト」の時代にあって、旅行者と受け入れ地域、中央官庁と地方自治体、官と民の緊密な連携が重要だと話した。

国連世界観光機関(UNWTO)のズラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長

続いて登壇した世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のグロリア・ゲバラ・マンソ理事長兼CEOは、「旅行・観光産業の成長率は、7年連続で、世界経済の成長率を上回った」と最新統計データを報告。2017年も世界全体でのGDP成長率が3%増だったのに対し、旅行観光産業は4.6%増。さらに日本では、国全体のGDP成長率が1.7%増に対し、「旅行観光産業GDPはその倍となる3.4%増の成長ペースを遂げた。すばらしい成果だ」と話した。

一方、世界の都市やビーチリゾートなど、各地で観光客激増に伴う諸問題が顕在化しているなか、WTTCでは今後の戦略として、テクノロジー活用、自然災害を含む様々な危機対応、持続可能な成長促進の3ポイントを重要戦略に掲げ、現状を把握するための様々なリサーチを実施している。

その一つとして、マンソ理事長は、WTTCがマッキンゼー&カンパニーと共同で行った「観光デスティネーションにおける混雑調査」の事例を紹介。「個々のデスティネーションごとに状況は様々だが、持続可能な発展に向けて絶対に必要なのがロングタームのプラン策定」であることを強調。官民とコミュニティの連携、ファクトを把握し、そのアップデートを定期的に行うこと、新しい資金獲得の手段を考えることも重要だと話した。

またメキシコで、観光地の分散化につながっている取り組みとして、同国観光省による「Pueblo Magicos(魔法の村)」制度を紹介。この称号を、魅力的な観光地である村や自治体に付与する取り組みが、観光先の多様化に効果を発揮しており、リピーター獲得にもつながっていると話した。

この基調講演に続いて行われた、世界12か国の観光大臣が行った会合では、フィリピンやブータンなどオーバーツーリズムによる弊害を避けるためのアクションを実際に起こしている国の事例や取り組みを共有した。その詳細は、後日レポートする。

大臣会合の様子。東京都から小池百合子都知事も参加した

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