日本の「産業観光」を外国人観光客に、推進組織がインバウンド強化、MICEや教育旅行など連携へ

全国産業観光推進協議会は、ツーリズムEXPOジャパンの会場で「全国産業観光フォーラム」を開催し、今後の事業方針を発表した。※写真提供:ツーリズムEXPO推進室(産業観光テーマのエリアから夕張市のブース)

産業観光とは、歴史的・文化的価値のある産業文化財(産業遺産)のほか、現在稼働する工場や工房などの生産現場とそこで生み出された産業製品を観光資源とし、ものづくりに触れながら人的交流を促進する観光活動のこと。

同協会によると、産業観光の年間参加者数は7000万人を超えており、国内観光客数(日帰り含む)約6億人の約1割超を占める市場となった。

同協議会会長の須田寛氏は重点施策として、(1)外国人旅行客の誘致、(2)産業訪問受入体制の強化、(3)産業観光イベントの刷新、の3つの柱を提示。受入管理の効率化やシステム化を図りながら、教育旅行や街道観光などと連携し、まちづくりそして地域再生に繋げていく。

特に、世界に評価される日本のものづくりは、訪日外国人の期待に応える十分な日本の観光コンテンツとなりうるものであり、すでに工場見学などは訪日外国人の訪問も増えている。海外からの視察も多く、今後はMICE誘致と絡めた重要コンテンツとし、ランドオペレーターや旅行関連サイトなどビジネス向けの情報を整理・発信。地域がMICEと産業訪問の受入をワンストップで対応できるような体制作りも検討する方針だ。

産業観光まちづくり大賞・金賞は三重の「海女小屋はちまんかまど」

全国産業観光フォーラムでは第12回産業観光まちづくり大賞の授賞式も行なわれた。

産業観光まちづくり大賞とは、産業観光による観光まちづくりを実践し、他の地域の模範となる優れた事例を表彰する制度。地方自治体や観光協会、商店街、企業などが対象で、受入側と訪問側の双方にメリットのあるビジネスモデルであるか、その継続性などを評価する。

金賞は、三重県鳥羽市・有限会社平吉屋「海女文化を世界に!海女小屋体験『はちまんかまど』による地域活性化について」。2004年に日本で初めて海女小屋を開放し、現役の海女が米国の観光客をもてなしたことをきっかけに、同サービスがスタートした。

命がけで獲ってきた海の幸や手作りの米をふるまいながら、海女漁と日々の生活についての語り、地元の踊りの披露、海女着体験などを行なう。2018年度には計2万人、外国人観光客は9000人が訪れた。授賞については、海女文化と観光を見事に融合し、観光客の受け入れが海女さんのモチベーション向上・担い手確保にもつながっている点も評価された。

第12回産業観光まちづくり大賞の受賞団体は以下の通り。

  • 金賞:有限会社 兵吉屋「海女小屋はちまんかまど」(三重県鳥羽市)
  • 経済産業大臣賞:株式会社 梅守本店「感動寿司体験」(奈良県奈良市)
  • 観光庁長官賞:益子町観光協会「益子焼を使った取組」(栃木県芳賀郡益子町)
  • 銀賞:富士吉田市「ハタオリマチの輝き」(山梨県富士吉田市)
  • 特別賞:一般社団法人 那覇市観光協会「那覇まちま~い」(沖縄県那覇市)

なお、産業観光フォーラムではこのほか、先進地事例の紹介や事例発表者によるパネルディスカッション等も行なわれた。また、全国産業観光推進協議会は、ツーリズムEXPOジャパンの展示会場にも今年初めて、「産業観光」のテーマエリアを出展した。

産業観光まちづくり大賞・授賞式

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