ミレニアル世代の後に続く「ジェネレーションZ」層は旅行意欲の高さが鮮明に、旅先での活動に重点などの特色も - 世界の若年層6万人調査

ミレニアル世代はレストラン・チェーン業界を衰退させるのか。住宅市場はどのようにしてミレニアル世代のアボカドトースト・ブームと対抗するべきか。ジェネレーションZの世界では、対面によるコミュニケーションは固定電話と同じ運命をたどるのか――?

2000年代以降に社会人になる「ミレニアル世代」とそのあとに続く「ジェネレーションZ(Z世代)」の消費者の傾向と動機に関しては、様々な推測、詮索、懸念に事欠かない。先日公開された若年層及び学生の旅行者に関する世界的調査「ニュー・ホライズンズIV( New Horizons IV)」は、2002年以降の30歳以下の旅行者市場の進化に関して包括的な観点を提供するもので、旅行業界にとって有用な結果を示している。

このレポートは、世界青年学生教育旅行連盟(WYSE Travel Confederation)が5年ごとに行っている調査ニュー・ホライズンズに基づいており、2017年の調査では188の国と地域から5万7000人以上の回答を得た。この調査で明らかになったミレニアル世代とジェネレーションZの旅行者の6つの傾向と、旅行業界がそれに注目しなければならない理由を見ていこう。

1. 旅行にかける費用

調査では、旅行中にお金をかけても良いものに関してミレニアル世代とジェネレーションZに質問したこところ、体験に関係する項目にお金を出したがっているという嗜好がはっきりした。また、回答者の37%は、飲食にお金をかけても良いとしたが、従来旅行における「贅沢」とされてきた航空機クラスのアップグレードは最も人気がなかった。

旅行にかける費用:WYSE Travel発表資料より

業界向け考察: 2017年の調査は、若年層の旅行者が旅先で様々な活動をおこなう割合が2012年と比べて26%増えたことも明らかにしている。ミレニアル世代をターゲットにするには、プレミアムな旅行商品を開発するより、ユニークな経験をベーシックな旅行プランに加えたものが効果的ではないだろうか。

2. 増え続ける情報量とオンライン旅行代理店(OTA)の利用

旅行情報を得るソース数の平均は、2002年には3だったが2017年には10以上まで増加した。2017年現在でも最も多い情報源は「友人や家族」だが、ソーシャルメディア、比較サイト、検索サイトなどの重要性は2012年に比べて著しく増している。

旅行の計画のために使用した情報ソース数の平均(2002年~2017年):WYSE Travel発表資料より

当然のことながら、情報の多くはオンラインで集められており、マンツーマンの対面での情報収集や印刷媒体の情報ソースからのものは減っている。また、10年前には旅行代理店の実店舗が若年層の旅行予約の70%以上を扱っていたが、2017年にはその多くが直接予約、オンライン旅行代理店(OTA)などオンラインに移行した。

業界向け考察: 最新メディアとオンライン予約プラットホームは、次世代の若年層旅行者であるジェネレーションZが旅行を計画する上で不可欠なものだ。デジタルネイティブな彼らは、スマートフォンやWiFiと共に育っており、観光案内所や旅行業者が配布すrパンフレットは利用しないだろう。ジェネレーションZの回答者の3/4近くは、2017年にスマートフォンから1回以上の旅行予約をしている。

3.  若年層旅行者の人気旅行先

旅行先人気上位は2007年や2012年と大きく変わってはいないが、2017年の調査結果から注目すべき変化が見て取れる。若年層旅行者の旅行先トップは米国で変わらないが、2012年より割合は減っている。また、オーストラリアが10年ぶりにトップ10に返り咲いた。

調査回答者の旅行先トップ10(2007年~2017年):WYSE Travel発表資料より

業界向け考察: 若者はいまでも米国を訪問することに興味を持っているが、あまり訪問されていない旅行先を選ぶ人も増えている。また、120日以上の長旅がわずかに減っていると同時に、短期旅行が増えていることから、留学、ワーキングホリデー、ホームステイ、文化交流などのために長期間滞在する若年旅行者を誘致する方法を再考する必要がある。

4.  デジタルノマドの台頭

ニュー・ホライズンズのような世界的規模の調査では、現在頭角を現し始めている「デジタルノマド」の実態を把握することが可能だ。2017年の調査で、自分の旅行スタイルを従来の「旅行者」や「バックパッカー」という名称ではなく「デジタルノマド」としたのは、ミレニアル世代とジェネレーションZの0.6%に過ぎなかった。しかし、若年旅行者の0.6%というのは、1800万回の旅行に相当する。

デジタルノマドは、Airbnb(エアビーアンドビー)を多用し、それぞれが独自の滞在先を確保している(56%が直近の主要な旅行で利用)。また、彼らはPC、スマートフォン、タブレットから航空券の予約する傾向が最も強いグループで(85%が利用)、宿泊施設予約のためにOTAを利用する割合も高い(55%が利用)。さらに、ホームシェアリングを利用するデジタルノマド旅行者は、他の旅行者と比較して約3倍だ。

業界向け考察: デジタルノマド層の旅行目的地には、若干の変化が見られる。高速WiFiを提供しているシェア物件も増えてきている。デジタルノマドはまだ少数ではあるが、旅行やライフスタイルについて、ブログを通して他の若い旅行者に影響を与えている。

5. ミレニアル世代とジェネレーションZの旅行における満足度の3つの鍵

ミレニアル世代とジェネレーションZが、旅行における満足度の「3つの重要な要素」として挙げるのは、目的地、旅行期間、タビナカ(旅行中)の活動だ。旅行期間1ヵ月が満足度のピークではあるが、3ヵ月~6ヵ月の旅行期間でも満足度は高い。2017年の調査では、旅行先で多くの活動や経験をするほど満足度も上がることが明らかになった。ミレニアル世代とジェネレーションZの満足度が最も高かったのは、メキシコ、日本、インドネシア、ペルーへの旅行だった。

旅行先別満足度(ポイント1~10、10=非常に満足):WYSE Travel発表資料より

業界向け考察: 自らの環境と異なる地域への長期間の旅行が、若年層旅行者により大きな満足をもたらすようだ。自分の居住地域外を訪れる旅行者の方が、居住地域内の旅行者より全体的に満足度が高くなっている。

6. ジェネレーションZが示す若年層旅行の未来

ジェネレーションZは、2020年には最大数の消費者世代になろうとしている。デジタルネイティブの彼らは、若年旅行市場に独自の特色をもたらしている。例を挙げると、ジェネレーションZはジェネレーションY(ミレニアル世代)と同様にオンライン予約をするが、OTAやサードパーティーのウェブサイトの利用は少ない。また、ジェネレーションZはミレニアル世代より社交的で、旅先で地元の人たちと関わりたいという傾向が強い。

旅行にいく動機の変化:WYSE Travel発表資料より

業界向け考察: ジェネレーションZはミレニアル世代と比べて旅先での活動に重点を置く傾向が既にあらわれている。今後新たなメディアが出現するとともに、旅行情報の入手や予約のためのソーシャルメディアの利用はさらに増加、また進化すると思われる。

ニュー・ホライズンズIVの調査結果は以下まで。若年層及び学生旅行者に関する世界的調査は、世界青年学生教育旅行連盟会員は無料で、非会員は有料で閲覧できる。

New Horizons IV(英語)

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