2020年五輪まで訪日客は増え続けるか? 日本政府観光局が戦略発表、自然災害の影響からオリンピック時の見通しまで取材した

日本政府観光局(JNTO)は、このほど開催したメディアブリーフィングで2018年のインバウンド市場の振り返りと2019年の取り組みについて説明した。2018年の訪日外国人旅行者数は前年比8.7%増の3119万人と過去最高となったが、JNTO企画総室長の金子正志氏は、「6月から9月にかけて発生した自然災害が東アジア市場に影響を与えた」と説明した。

ボリュームゾーンである中国、韓国、台湾、香港はいずれも9月は前年割れ。中国は、10月以降は前年を上回る実績を残したものの、残り3カ国の回復は鈍い。特に韓国市場の落ち込みは、関西エリアで顕著で、それが大きく全体の数値に影響したとみる。金子氏は、「韓国は、いったん落ちると戻りにくい」としながらも、これら傾向について「韓国については自国経済の影響もある。香港については、リピーターが一息ついた感がある」と分析した。

それでもインバウンド市場では東アジアは全体の73.4%を占めるため、政府目標である2020年4000万人に向けては「東アジアの伸長も不可欠」との認識。一方、近年のプロモーション強化によって、欧米豪からの訪日も拡大しておりマーケットシェアも11.6%と拡大している。JNTOとしては、政府目標達成のためには引き続きこの市場での取り込み強化も必要との見解だ。

4000万人に向けては今後2年間で年率13.2%が必要になるが、「これまでの伸び率を考えると無理な数字ではない」と金子氏。そのうえで、JNTOのプロモーション戦略としては「全方位で行く」方針を明らかにした。加えて、富裕層、スポーツツーリズムなど新しい市場の開拓を進めるとともに、訪日無関心層に対するアプローチを強めて、市場の底上げを図っていく考えだ。

JNTO金子氏

このほか、2019年の取り組みとして、ラグビーワールドカップを活用した訪日プロモーションについても説明。ラグビーは欧米豪で人気が高いことから、「同市場での絶好の露出機会になる」との認識を示し、新規訪日客獲得に期待感を表した。また、全国12都市が会場になることから、地方の認知度向上の好機と捉え、「ゴールデンルート以外への誘客を進めていく」考え。

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年については、ロンドン五輪でも見られたように混雑を嫌う旅行者が訪日を敬遠する傾向があることから、金子氏は訪日客が落ち込む可能性にも触れた。

JNTOとしては、大会後の持続的な市場拡大を見据えて、大会期間中に訪日メディアに対して地方の情報を提供していくほか、メディア、選手、インフルエンサーなどを地方視察に誘導し、地方の魅力を世界に発信してもらう仕掛けを企画していく方針だ。

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