JTB、中間決算で黒字転換、ラグビーW杯や訪日イベント効果で、台風19号の旅行取消しは60億円に -2019年度第2四半期

JTBが発表した2020年3月期第2四半期連結業績(2019年4月1日~2019年9月30日)は、売上高が前年比0.4%増の6860億円、営業利益が68.7%増の64億円、経常利益が59.6%増の69億円で当期純利益は44億円となった。※写真 右:取締役専務執行役員経営戦略本部長の金子和彦氏、左:取締役常務執行役員財務部長の小林高広氏

前年同期は9年ぶりの赤字(11億円)だったが、今期は黒字に転換。G20大阪会議やアフリカ開発会議、ラグビーワールドカップなどグローバルMICEの大型イベントが利益に貢献し、前期の赤字要因の一つだった構造改革でコスト改善が図り、経常利益と最終利益の改善に繋がったとしている。また、商事部門で、インバウンド増加を受けて続く宿泊施設の開業ラッシュにより、旅館やホテル等の消耗品販売が増加したことも、押し上げ要素になったという。

個人旅行事業:増収増益

売上高3540億円/1.8%増、営業利益44億円/15.8%増

第1四半期は10連休の大型ゴールデンウィーク効果で好調だったが、夏期需要の先取りにもなり、第2四半期は伸びが鈍化。海外企画商品は第1四半期が前年比10%増で推移したが、第2四半期はプラス推移も緩やかな動きとなった。国内企画商品は第1四半期が2~3%増だったが、第2四半期は5%減と前年割れになったという。

特に価格変動制のダイナミック商品対応では、販売率は数パーセントで前期とあまり変わっていない。財務部長の小林氏は「告知、販売が十分でなかった」とし、現在ダイナミック商品に対応した販売システムを開発していることを説明。「ITを活用したアプローチ、価格変動への対応、即時性など、諸課題の克服改善をした上で初めて消費者のニーズに対応できる価格設定と商品展開ができる」と述べ、システム開発を含む体制整備に取り組んでいることを説明した。

また海外個人旅行では、韓国と日本の関係悪化や香港デモで両方面への販売額は減少。韓国は17%減、香港は5%減となった。直近9月は韓国が55%減、香港が70%減の大幅減少。10月と11月は韓国が対前年の30%~20%台、香港は20%~10%台の推移となっている。

法人旅行事業:増収減益

売上高1958億円/3.1%増、営業利益9億円/18.2%減

中間期の好調要因である大型イベントの国内輸送や宿泊業務を扱う国内団体が6%増となったものの、前期の大型団体の反動で海外団体は2.3%減となった。利益面では来年の東京オリンピック・パラリンピックへの先行投資や、重点投資領域であるビジネスソリューション領域への開発投資などが影響した。

唯一の公式旅行会社となったラグビーW杯では、日本で初めて「スポーツホスピタリティ商品」を販売し、延べ6万人が利用。コース料理とエンターテイメント、ギフトなどの特別かつ上質なサービスと観戦を組み合わせた同商品は、欧米ではビジネスコミュニケーションの場として一般的な観戦スタイルとなっているとし、「新しいマーケットを創出した」と手ごたえをアピール。東京五輪でもホスピタリティ商品の販売を開始したという。

グローバル事業:減収増益

売上高969億円/10.7%減、営業損失24億円/28億円

収入面では、G20やラグビーW杯などグローバルMICEの拡大があったものの、欧州や北米、ハワイでのMICEの減少やユーロ安円高基調の為替が影響。ただし、利益面では欧州における構造改革での人件費の改善やのれん償却費の軽減で損失額の縮小を図り、増益となった。

また、訪日旅行の個人旅行では、オンラインサイト「ジャパニカン」の取扱額が増加したが、着地型で販売するパッケージ「サンライズツアー」は、東京や関西で振るわず、前年割れとなった。これについて小林氏は、「コンテンツだけを提供するサイトなど競合が増えている」と説明。「個人旅行がかなりの割合に進んでいる。旅行会社を介さずに来日しており、入り口でリーチするのが難しくなっている」と、パンフレット商品であるサンライズツアーが苦戦した理由を説明した。

訪日旅行での香港のデモと日韓関係の影響だが、4月~8月の累計でそれぞれ10%減。日本発需要の方が影響が大きかった。

台風19号の旅行取消は60億円分

今年10月、日本各地に被害を及ぼした台風19号の影響で旅行取消となった金額は60億円に及び、10億円強が利益に影響した。この数年は毎年のように自然災害が業績にも影響を及ぼしているが、今年は団体旅行のピークである10月に発生したのが他の年と異なる点で、取消となった60億円のうち20億円が団体旅行だった。その他、国内の個人旅行が25億円、海外の個人旅行が10億円程度だった。

団体旅行では期中の方面変更や延期などもあり、すべてが直接的な影響になるわけではないとし、回復に向けた施策を行なう方針。通期見通しも当初予想は変更せず、達成に向けて取り組む。なお、5月に発表した業績予想は、売上高は1.3%減の1兆3500億円、営業利益は42.9%増の90億円、経常利益は233.3%増の100億円で、当期純利益は54億円。

2019年度中間期・旅行関連売上高(2019年4月1日~2019年9月30日)

  • 国内旅行:2656億円/前年比0.1%減
  • 海外旅行:2384億円/0.5%減
  • 訪日旅行:376億円/14.0%増
  • グローバル旅行:529億円/2.7%減

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