トラベルポート新日本支社長にコロナ禍の今と今後の展望を聞いてきた、3つの戦略から航空需要の見通しまで(PR)

トラベルポートジャパンの取締役日本支社長に2020年4月1日付けで岡安美里氏が就任した。アクセス国際ネットワークでセールス、マーケティング、経営戦略の任に加え、JALでの業務にも従事。2017年にトラベルポートのアジア太平洋地区戦略マネージャーに就くなど、GDSビジネスに長年携わってきた。着任後すぐに新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が発出。「非常にチャレンジングな時期に大役を受けた」と話す岡安氏に、トラベルポートの現状と将来の展望、変革の時代に向けた戦略を聞いてみた。

5月に入り中国やアジアで航空需要は回復の兆し

トラベルポートジャパン日本支社長の岡安美里氏

新型コロナウイルスが昨年暮れに発生し、世界保健機関(WHO)が3月中旬にパンデミックを宣言。5月末時点でも世界の航空はほぼ止まっており、前代未聞の事態が続いている。「5月に入って、予約キャンセルは落ち着いてきたが、日本の新規予約はまだ限定的」と岡安氏。

一方、世界的には明るい兆しも出てきている。中国やアジアでは4月中旬から新規予約が入り始め、5月に入ると徐々に回復しているという。「日本は慎重な国民性だが、日本発の予約も徐々に入ってくるのではないか。現在のゼロという状況は、割と早いタイミングで脱することができると思う」との見立てだ。

ただし、「2019年レベルに戻るのは当分先になるのではないか」と予想。レジャーでは親族や友人訪問などの需要から戻り、業務渡航については、ウェブ会議など増えているものの、現場に行く必要がある需要や対面ビジネスの必要性は変わらず強いと見ている。すべては、各国の入国制限次第というところだ。

日本市場で加速させる3つの戦略

こうした状況の中、トラベルポートでは日本市場で3つの戦略を加速させる。

1つ目の戦略は、基盤となる次世代GDSプラットフォーム。トラベルポートは現在、ガリレオ、ワールドスパン、アポロの3つのGDSを提供しているが、今後はガリレオをベースとしたプラットフォームに移行。すでに日本では数年前からこの方針を示しているが、国際航空運送協会(IATA)が推進するNDCに対応しながら、この取り組みを世界的に加速させる。

岡安氏は「旅行会社が、あらゆるコンテンツを、ひとつのプラットフォームで一度に検索予約できるところに意味がある。今まで以上の操作性で使いやすいシステムを構築していく」と意気込みを示す。

2つ目は、マルチソースコンテンツに対応するプロダクト「Travelport Agency Suite」の提供だ。大手航空会社だけでなく、LCC、JRなど個別のソースをひとつのプラットフォームに集約、モバイル対応のオンライン予約、業務の自動化(ロボット処理)など、「ワンプラットフォーム」でITコストの削減や業務の効率化を実現できる。すでに他GDSとも接続し、IATA NDCにも対応。システム上で検索、予約、販売の管理など旅行会社の業務を一気通貫に統合できるプロダクトだ。旅行会社の業務内容に合わせた柔軟な活用が強みで、岡安氏はその利便性を「スマホに好きなアプリをダウンロードするようなイメージ」と説明する。

Travelport Agency Suiteの概念図

また、旅行会社が検索やショッピング条件をカスタマイズできる「サーチ・コントロール・コンソール」もトラベルポートだけのサービスとして訴求を強めていく考えだ。今後、空港の検疫強化などでこれまでの最短乗り継ぎ時間(MCT)では乗り継ぎが間に合わないケースも出てくると想定される。検索の条件では、MCTの設定はもちろん、航空会社、経由都市などの選択が大切になってくる。このコンソールを導入すれば、検索条件を変化する環境に対応させることで、「ターゲットのお客様ニーズに合わせた検索結果の返却はもちろん、余計なトランザクションを抑えらるため、業務の省力化が進み、コスト削減など業務の効率化も期待できる。また、業務渡航においては、顧客企業のポリシーを反映させることも可能」(岡安氏)。

サーチ・コントロール・コンソールの検索条件追加画面3つ目は、旅行会社とのコミュニケーションの深化。岡安氏は、トラベルポートジャパンの強みとして、日本市場の特性や慣習などを知り尽くしたエンジニアやコンサルタントが対応にあたっていることを挙げる。コロナ禍中で、業務のオンライン化あるいはデジタル化の必要性が再認識され、システム対応も、筋肉質な経営基盤の構築に大きく寄与する。コストをかけずに競合他社と差別化する要望も強まってくるだろう。「こういう時期だからこそ、デジタル変革のチャンス」と岡安氏。トラベルポートジャパンにはテクニカルとビジネスの両面で知識と経験が豊富なスタッフがいるからこそ、「旅行会社のデジタル変革にお役に立てる」と強調した。

IATA NDCの重要性は変わらずも、GDSとの併用も

トラベルポートでは、IATA NDCの取り組みにも注力していく。NDC開発には大きな投資が必要になり、現在のところどの航空会社も体力が落ちていることから、全体的に導入スピードは落ちると予想されるが、岡安氏は「引き続きNDCを大きな柱と位置づけている航空会社は多い。開発に着手しているところは、こういう時期だからこそ、逆に取り組みを加速させるかもしれない」と話す。

一方、航空会社においてNDCの提供準備が進んでも、NDCコンテンツに一本化するのではなく、当分の間はGDSコンテンツとの併用になると見ている。GDSがNDCに劣るというわけではなく、航空流通における有効性は変わらず認められている。

たとえば、米LCCのサウスウエスト航空は2020年5月から、従来の直販に加えて、トラベルポートをパートナーに選び、まずは米国でのGDSによる流通も開始した。旅行会社にも販路を広げていく新しい動きとして注目されている。

「ステイコネクテッド」でリアルな対応も重視

緊急事態宣言の発出直後に日本支社長に就任した岡安氏は、「旅行会社とのコミュニケーションもオンラインのみだったので残念だった。テクノロジーを推進する企業だが、個人的にはリアルの対面が重要だと思っている」と話す。

今年4月からはトラベルポートの組織体制も変更された。エンタープライズオペレーションモデルを導入。以前よりもフラットでシンプルな組織となり、現場の声が経営陣に、そして経営の判断が現場のスタッフにスピード感をもって伝わりやすくなったという。

「日本市場の要望をこれまで以上にスムーズにスピーディーに伝達することができるようになっている。お客様とのタッチポイントを増やしながら、風通しが良い組織体制をフルに活用して、営業活動を展開していきたい」。

トラベルポートが重視しているのは「ステイコネクテッド」。今後も、テクノロジーでサプライヤーと旅行会社を効果的につなぐと同時に、人と人とのつながりを大切にしていく。

なおトラベルポートジャパンでは、7月中にウェビナーを予定している。新型コロナの影響やポストコロナ、ウィズコロナの時代を見据えた取り組みなどについて、分析、展望について語られる予定だ。

ウェビナーの予定については、トラベルポートジャパンのサイトに掲載される。

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編集・記事:トラベルボイス企画部

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