破綻した老舗トーマス・クック社がデジタル事業で再出発、OTAとしてダイナミックパッケージで【外電】

1841年に設立された旅行業界の最老舗のひとつトーマス・クックが破綻して約1年、その社名が違う形で戻ってくる。

以前の小売旅行代理店や航空会社ではなく、ヨーロッパを中心に人気デスティネーションのダイナミックバッケージツアーを扱うデジタル事業に姿を変える。新生トーマス・クックはすでにパッケージ造成ライセンス(ATOL)を持っており、2020年9月中旬から予約の受付を始めている。

オンライン事業の展開にあたって、同社は自社でホテル在庫を持たず、ホテルベッズ(HotelBeds)、ウェブベッズ(Webbeds)、ヤラゴ(Yalago)の在庫を活用。アジアについては、専門チームが宿泊施設のネットワーク拡大にあたるとしている。

また、ダイナミックパッケージに組み込むフライトについては、Paxportのプラットフォームを利用する予定だが、最初のうちはイージージェットを主に活用することを同社は認めている。

同社幹部は「顧客の利便性のために、フライトの選択肢をできるだけ拡大することに注力している」と話す。

従来のホリデーパッケージや店舗販売を捨てて、オンライン事業として再出発できた背景には、同社のパートナーである中国の復星旅遊グループ(Fosun Tourism Group)による救済措置がある。

同グループは、2019年夏に9億ポンド(約1210億円)の買収計画を取り下げ。これにより、トーマス・クックの破綻は避けられないものになった。しかし、2ヶ月後、復星旅遊グループはトーマス・クックの商標、ドメインアドレス、SNSアカウントを11億ポンド(約1480億円)で購入。OTAとして再出発させる意志を示した。

過去にはOTAプロジェクトもあったが・・・

トーマス・クックは、2007年にツアーオペレーターのMyTravelを吸収合併。年間の売上高は約90億ポンドにのぼったが、吸収後は立て続けに問題に直面した。2011年には金融支援を受け、デジタル化の遅れなどまずい経営判断も同社の寿命を縮ることになった。

元CEOのマニー・フォンテンラ・ノボアは、「トーマス・クックは、ヨーロッパでエクスペディアに挑み、3年後にはヨーロッパで最大のOTAになる(戦略的に決してブッキング・ドットコムのことには触れなかった)」と意気込みを示し、元エクスペディアのマネージング・ディレクター、サイモン・ブレックウェルを責任者に迎え、OTAプロジェクトをロンドンの本社で進めた。

しかし、フォンテンラ・ノボアは2011年に辞任。ハリエット・グリーンが引き継いだ後は、このOTAプロジェクトはほとんど進まなくなった。

トーマス・クックUKのアラン・フレンチCEOは、「我々は、イギリスの素晴らしい顧客サービスと、最先端のオペレーションモデルとを組み合わせ、オンライン事業を立ち上げる。パンデミックによる短期的な課題をはっきりと認識し、現在の、そして将来の旅行者に対して、様々なオプションやカスタマイズしたサービスを提供していく。パートナーである復星旅遊グループも長期的な視点で、この事業を見ている」とコメントしている。

※ボンド円換算は1ポンド134円でトラベルボイス編集部が算出

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:Thomas Cook attempts a comeback, under new ownership and online-only

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