【年頭所感】エクスペディア・ホールディングス ディレクター 山﨑美穂氏 ―テクノロジーとデータ活用で、パンデミック後の変化に対峙

エクスペディア・ホールディングス ディレクター、日本・ミクロネシア地域 トラベルパートナーグループの山﨑美穂氏が、2023年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

山﨑氏は2023年、旅行業界はさらに回復すると力強く述べた。ただ、パンデミックが終了し、国境再開とともに人々が再び旅行するようになってもニーズは大きく変わり、2019年時点のトレンドや常識は通用しないとも指摘した。こうしたなか、エクスペディアは旅行者の評価、体験を中核にすえたグローバル規模のテクノロジー、データを活用することで、旅行者と宿泊パートナーとの結びつきを実現したいとしている。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


2023年を迎えるにあたっての年頭あいさつ

2022年はパンデミックの中いろいろと振り返る年であったと思います。人と会えない、旅行にいけない状況の中で、本当に会いたいのは誰なのか、本当に行きたいところはどこなのかなど、いろいろと振り返る1年でした。ビジネスにおいても大きな変革を経てどういった業界であるべきか、どのような改革をしたらよいかを見つめなおさざるをえない年だったと思います。一方で、エクスペディア・グループとしてどのように貢献していけるのかを考え、実行に移す年でもありました。旅のトレンドや旅行者が求めるものが変化していく中で、パートナーの皆様の日々の努力と変化を恐れず行動する勇気は並大抵のものではなかったと推察いたします。

2022年10月11日には日本でも渡航規制が緩和され、2023年はインバウンド、アウトバウンド共に日本の旅行産業は大きく回復することが予想されます。2022年の取り組みを振り返り、我々は、2023年に旅行者の皆様の新たなニーズにどのように応えていくことができるかをパートナーの皆様と共に考えてみたいと思います。

旅行者の評価を中核に据えたテクノロジーがもたらすものとは?

最新テクノロジーの導入により旅行者はオンラインで旅行を計画することができるようになり、25年前には想像もできなかったような選択の可能性を手にしました。今では、膨大な数の旅行者が簡単な検索ひとつで好みのブランドや体験とつながることができ、旅行に関する希望や条件を共有するだけで即座に複数の滞在先の候補が表示され、それらを比較することができます。強力なバックエンドとユーザーインターフェイスの開発、そして、パートナー施設からの在庫供給により、旅行者は指先の操作ひとつで自在に旅行を予約することができるようになったのです。 これは明らかに旅行者に大きなメリットをもたらしますが、一方で、オンライン旅行市場はきちんとしたプロダクトを適正価格で提供することよりも価格を重視する傾向が強まりました。

しかし、幸いこうした事態にも変化が起き始めています。当社では、現在、旅行者の評価を中核に据えたテクノロジーを取り入れることでオンラインでの旅行予約体験を刷新しようとしています。旅行者の満足度を高め、ビジネスの向上を目指す宿泊施設の経営者の方々がより望ましい成果を手にするために、様々な方法でより適切に旅行者のニーズに対応することが可能です。顧客体験を重視する理由は明確であり、実際に宿泊施設を利用した旅行者による高評価は、再予約率の向上、ブランド・ロイヤルティの強化、そしてより良いレビューによる追加予約の獲得へとつながります。旅行者の体験を中心に据えたテクノロジーを導入した販売サイトを利用することで、施設経営者はより素晴らしい体験を旅行者に提供することができ、双方にとって良い結果が期待できます。

旅行者の体験についての理解を深める

旅行者が旅行体験の様々な側面についてどのように認識したかを正確に把握することは改善すべき点を理解し、旅行者が特に重視する要素を知るために重要です。そのためには、優れた顧客体験を示す指標を施設の経営者が把握できる技術が必要不可欠です。例えば、53%の消費者から期待通りのものを得られるとの評価を得られれば、人々がその企業を利用する可能性が高まるという調査結果は、旅行者のニーズに応えることの必要性を裏付けています(※1)。宿泊客のレビューやキャンセル、滞在中のフィードバックから、お問い合わせ電話の傾向、移転にいたるまでの、お客様との主要なタッチポイントを追跡および分析する技術を利用することにより、顧客体験の全体像を正確に描くことが可能となります。宿泊施設がどのような点を過大広告し、顧客の期待感に十分応えられていないかを把握することは、今後の改善点を理解する上で重要です。また、それにより憶測に基づく判断を排除し、お客様の満足度向上に向けて何をするべきか検討するのに役立ちます。最終的には、優れた体験がリピーターを生み、ロイヤリティを醸成するのです。

テクノロジーとデータを活用し、旅行者と宿泊パートナーとの強い結びつきを実現

2023年、旅行業界はさらに回復することでしょう。回復の波にうまく乗り結果を出すために、エクスペディア・グループでは、お客様を中心に添えテクノロジー開発を行うことで、お客様を喜ばせることができれば我々やホテル、航空会社様など関連会社さんも喜ぶ結果になると考えています。その施策のひとつとして挙げられるのが、エクスペディアやホテルズドットコムを始めとする全ての直営ブランドサイトの会員プログラムを統一したロイヤリティープログラム「One Key」の立ち上げです。現在、全ブランドの会員数を合わせると1億6800万人ほどとなり、毎月200万人くらいづつ増えていることになります。

また、エクスペディア・グループでは、Traveler Value Indexという調査を毎年行っていますが、今年は3年目にして初めて、旅行者の意見を聞くだけでなく、旅行業界に携わる方々の意見を取り込みました。それによると、旅行者のうち46%がコロナ前に比べて旅行は重要になった回答し、また、自分の価値観にあったものを選んで旅することが非常に大切だと回答した人は全体の70%にも及びました。自分の価値観にあったものには、「多様性」や「アクセシビリティ」、「サステイナブルな取り組みをしている施設かどうか」などが含まれます。

また、当社が行った調査では、2023年に海外渡航がパンデミック前の状態に戻ると、ビジネス旅行と海外旅行の増加が旅行業界にとって次の大きな転機となるという結果が出ており、ホテルや航空業界などの旅行業関係者はビジネス旅行者を最も多く迎え入れたいと回答しており、次に、海外旅行者、家族連れの順に迎え入れたいと回答しています。(※2)

パンデミックが終わり、国境再開と共に人々が再び旅行をするようになっても旅行者のニーズは大きく変わり、2019年時点の旅行トレンドや常識が通用することはないと言っても過言ではありません。エクスペディア・グループでは、今後も継続して旅行者および旅行業関係者の意見やニーズをTraveler Value Indexに取りまとめ発表することで、予測がつきにくい旅行者のニーズやトレンドをいち早くつかみ、お客様とパートナー施設の皆様にとって常に最適なソリューションをご提供できるよう今後もグローバル規模でサポートして参ります。

エクスペディア・グループを代表し、すべてのパートナー施設様、政府機関、業界関係者の皆様に対し、昨年1年間の多大なるご支援とご協力に感謝を申し上げると共に、新しい年のご繁栄および皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

※1 Expedia Group, Traveler Value Index 2021
※2 Expedia Group, Traveler Value Index 2023

エクスペディア・ホールディングス株式会社

ディレクター、日本・ミクロネシア地域

トラベルパートナーグループ

山﨑美穂

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