米国の地方部で「民泊」がシェア拡大、要因は「旅先テレワーク」の浸透、一方、規制強化で供給減に【外電】

米国では、人口の少ない地方都市で短期レンタル型宿泊(STR/short-term rentals:いわゆる民泊)とホテルとの供給と需要の差が縮まっている。短期レンタル型宿泊のデータを追跡するAirDNAとホテルデータプロバイダーのSTR社との共同レポートで明らかになった。これは、2018年から2023年5月までのホテルとSTR物件(民泊)の供給、需要、1泊の平均価格の傾向を調査したもの。

STR物件は、大都市で規制が強化されているものの、旅行市場全体で見ると、そのシェアを拡大させている。

AirDNAチーフエコノミストのジェイミー・レーン氏によると、ホテルは依然として米国市場の85%を占めているが、直近のSTR物件のシェアは、2018年の8%のほぼ倍の15%となっている。

ただし、レポートによると、2023年5月のホテルの1泊あたりの平均価格は前年比7.2%増加したが、STRの賃貸料はわずか2.8%の伸びだった。ホテルは、特に都市部の平均価格が同9.7%増。パンデミック後、都市での需要が増加したものと推察されるとしている。

レーン氏は、都市の需要回復について、「その大きな部分は、出張や会議の再開。現在、都市部のホテルのは価格決定力は大きい」とコメントしている。

地方部のSTR物件のシェア拡大、要因は「旅先テレワーク」

2022年の米国の宿泊需要を見ると、STR物件は前年比30%増、ホテルは同26%増加したものの、2023年第2四半期では、STR物件が同12%の伸びにとどまり、ホテルに至っては同1%の減少となった。この理由として、アナリストは、各国の旅行規制緩和によって、米国人の旅行先が国内から海外にシフトしたことが一因と分析している。

欧州を除いて世界的にSTR物件のシェアは拡大している。その理由ひとつとして、パンデミック後もビジネスとレジャーを融合させるブレジャーや、旅先テレワークをしながら旅する傾向が継続していることが挙げられる。旅行者が長期の「レジャー」として宿泊施設を予約する傾向が続いており、特に、3ベッドルームのSTR物件が、需要・供給ともに増加しているという。

STR物件の需要は、特に地方部で高まっており、今年5月の小都市・地方での需要は前年比24%増になった一方、ホテルの需要はほぼ横ばいだった。

都市部では、両方とも同12%増加したが、アナリストは、マイアミ、ボストン、ロサンゼルスなどの都市でのSTRに対する制限が強化されていることから、その需要は鈍化すると指摘している。

レーン氏は、「2018年から2021年にかけて見られた都市でのSTR物件の成長は、規制によって供給が絞られたため、実質的に消滅した」と話している。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事: NEW REPORT SHOWS SHORT-TERM RENTALS GAINING GROUND ON HOTELS

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