5月に大型の観光産業展示会、「観光DX」「ウェルネス」に特化した理由を主催者に聞いてきた

BtoB向け観光商談展示会「iTT国際ツーリズムトレードショー」が2024年5月8日から10日にかけて東京ビッグサイトで開催される。

※写真は昨年の「ウェルネスツーリズムEXPO」の様子。

昨年初めて開催された「iWT国際ウェルネスツーリズムEXPO」を第2回として引き継ぐとともに、今年は新たに「観光DXマーケティングEXPO」を加えて開催。温泉やヘルシー食、自然体験などのウェルネスツーリズムのコンテンツから、観光・宿泊の事業者や地域の課題を解決するデジタルソリューションまで情報収集できる展示会。その見どころを、主催するRX JapanのiTT事務局長 細野圭氏に聞いてみた。

「ウェルネス」と「観光DX」に特化、高いマッチング確度

「iTT国際ツーリズムトレードショー」の最大の特徴は、観光DXをテーマに加えたことだ。細野氏は、その背景として「昨年、ウェルネスツーリズムEXPO(iWT)を開催するにあたって、自治体などと話し合うなかで、人手不足やインバウンド対応など地域の課題が見えてきた。観光産業にとって、その解決策が必要と感じて観光DXをテーマに加えることにした」と説明し、ウェルネスツーリズムとの相乗効果に期待をかける。

また、「iTT国際ツーリズムトレードショー」の強みとして、「ウェルネス」と「観光DX」というテーマ特化型の展示会であることを挙げ、「総合的な見本市とは違う価値がある。さまざまな観光コンテンツがある中で、『ウェルネス』と『観光DX』に特化することで、出展者と来場者とのマッチング確度が高い」と話す。昨年の第1回「iWT国際ウェルネスツーリズムEXPO」開催後のアンケートでも、その点が高く評価されていたという。

昨年は国内外75社・団体が出展した。今年は2024年4月時点で150社・団体が出展を予定している。細野氏によると、今年は新規出展者が増えているのに加えて、昨年に引き続き出展する企業・団体が多く、展示スペースを拡大する動きもあるという。

「観光DXマーケティングEXPO」では50社・団体の出展を見込む。「ウェルネスは昨年の1.2倍から1.3倍。観光DXを加えるので、全体では昨年の2倍の規模感になる」。

そして、「コロナ禍の3年間を経て、リアルコミュニケーションの価値が求められていると感じている」と細野氏。昨年の出展者や来場者からのフィードバックでは、会場内の雰囲気についてのフリーコメントで「熱気」「熱量」という言葉が多くみられたという。テーマ特化型で目的意識の高い参加者が集まる展示会ならではといえるだろう。

昨年の会場内の様子。ウェルネスをテーマに体験型のブースも多かった学びにつながるセミナー、トラベルボイスLIVEも

「iTT国際ツーリズムトレードショー」では、展示会に加えて「iTTフォーラム」として各種セミナーを開催。課題解決のヒントや新たな気づきの場を提供する。

ウェルネスツーリズムでは、琉球大学の荒川雅志教授が「つながり・再生旅の力への原点回帰」と題した講演を実施するほか、JTB総合研究所主席研究員の山下真輝氏が「アドベンチャーツーリズム」について解説する。

観光DXでは、トラベテック協会代表理事の中元英機氏が「トラベルテックの最前線」、雪国観光圏代表理事の井口智裕氏が「地域ブランディング」、トラベルボイスの鶴本浩司代表が「観光×デジタル」をテーマに、それぞれ最新動向を講演する。

細野氏は「特に地方の事業者の間では、知見を深めたいという希望が多い。その期待に応えるために、学びにつながるようなセミナーにしていきたい」と意欲を示した。

さらに、トレードショー初日には、会場内で全国の旅館女将の交流会として「全国女将サミット2024」も開催される。狙いは「女将同士の横のつながりを作り、課題解決のヒントを共有してもらうこと」。交流会後に、女将同士でセミナーや展示会へ参加し、新たなアイデアを得てもらうことを期待している。

このほか、今年は新たな試みとして「ウェルネス・デスティネーション・アワード」を創設する。これは審査委員6人がウェルネスを感じられる旅先を選考するもので、ウェルネスツーリズムの気運を高める目的で実施する。

「出会えてよかった」と思われるイベントに

「iTT国際ツーリズムトレードショー」の最新情報は各SNSで発信しているほか、公式サイトでは、出展者や出展商品の検索機能も用意している。また、開催に向けて展示会の見どころなどを配信するオンラインメディア「iTT通信」も提供していく。

「観光は未来の日本にとって大切な産業。しかし、DXをはじめとして情報の格差や課題意識の差があるように感じる。そこを埋めていくのがRX Japanのミッション」と細野氏。RX Japanは、さまざまな分野で数多くの見本市を主催してきた。グローバルでは、世界最大級の観光国際見本市WTM(World Travel Market London)や世界6都市で開催されている高級旅行の国際見本市ILTM(International Luxury Travel Market)など、世界で注目度の高い大型イベントを数多く手掛ける。

そこで積み重ねてきた知見を「iTT国際ツーリズムトレードショー」にも活かしていく。ゴールは、「出展者にも来場者にも出会えてよかったと思ってもらうこと」だ。

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