英・ロンドンで活躍するホームレス経験者の観光ガイド、街の知られざる物語を伝える

写真:ロイター通信

英・ロンドンのステファン・ゴードンさん(31歳)は、家庭の事情から住む場所を失い、ロンドンのホームレスシェルターで3年間を過ごした。今、彼は過去の経験を活かし、ロンドンで最も裕福な地域の一角で、ロンドンの知られざる物語を伝えている。

ゴードンさんは、アンシーン・ツアーズでガイドの訓練を受け、ロンドンの様々な地区でガイド付きウォーキングツアーを引率している。この慈善団体の目的は、ホームレスに対する偏見を軽減し、人々の可能性を尊重することだ。

ゴードンさんは、ロンドン東部のカナリー・ワーフとウェスト・インディア・キーをめぐる団体ツアーを引率しながら、「家がなくとも、私たちにはできることはあります」と話す。18世紀から19世紀にかけて、ビジネス中心地となったこの地域には、カリブ海からの砂糖製品を格納する大規模な施設があった。多くの奴隷たちが低賃金で劣悪な生活環境で働いていた。ゴードンさんは、「その状況に共感を覚える」と話す。

自閉症のゴードンさんは現在、母親と暮らしており、2025年2月からガイドとして働いている。ツアーチケット1枚あたりの価格の60%が報酬として支払われ、残りはアンシーン・ツアーズの運営費と新人ガイドの育成に充てられる。

アンシーン・ツアーズの広報ディレクター、シャーロット・カセダンヌ氏によると、ガイドたちは団体の支援を受けながら、自分たちでツアーの調査と企画を行い、希望すれば自身の体験談をウォーキングツアーに取り入れることもできるという。

同社は10年以上のシティツアー催行実績がある。これまで約3万人の旅行者にツアーを提供してきた。現在、所属するガイドは6人。さらに3人のガイド育成を進めている。

カセダンヌ氏は、「ホームレスを経験すると、人間らしさを失ってしまう。毎日無視されてしまう。でも、彼らを物語の中心に置くことで、彼らは再び主体性を取り戻すことができる」と話した。

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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