データで展望する2026年の世界旅行市場、日本は総予約額で世界3位、地域で異なるOTA対サプライヤーの勢力図 ―フォーカスライト調査

米観光調査会社のフォーカスライト(Phocuswright)は、このほど「トラベル・フォワード:2026年を知るためのデータ、インサイト、トレンド(Travel Forward: Data, Insights and Trends for 2026)」をまとめた。成長を続ける一方、急加速するテクノロジーの進化や新興市場の台頭など、変化の真っただ中にある観光産業では、キー・データによる現状と近未来トレンドの把握が欠かせない。

同レポートから世界各地の市場規模、セグメント別の動向、オンライン流通などに関する考察と展望を紹介する。

成長エンジンの重心は、再びアジア

2025年、世界の旅行市場は力強い成長を続け、旅行総予約額は推定1兆6700億ドル(約258兆8500億円)、続く2026年は1兆7500億ドル(約271兆2500億円)に達すると予測している。インフレ、金利上昇、地政学的緊張などの不安材料はあるが、「モノより体験優先」の消費者心理に支えられ、レジャー、ビジネス目的のいずれも旅行需要は堅調に推移。消費者部門のなかで最も活気ある業種の一つが旅行産業となっている。

また、2025年における世界の国際旅行支出額は推定2.1兆ドル(約325兆5000億円)となり、ようやくパンデミック前の最高値を突破。世界の旅行・観光産業は、GDP全体の10分の1を占める11兆7000億ドル(約1813兆5000億円)を創出する規模となる。

地域別では、2023~24年にリバウンド需要が急伸した北米と欧州市場で伸び率が軟化したのに対し、2025年はアジア太平洋市場が成長のけん引役となり、約10%の成長率を示した。日本もその一例として名前が挙がっている。

2025年の国別市場規模(旅行総予約額の予測値)では、引き続き米国が世界トップ(5068億ドル/約78兆5540億円)だが、成長率は1.9%にとどまった。2位の中国は2.1%増・1550億ドル(約24兆250億円)。続く3位の日本(948億ドル/約14兆6940億円)は、前年比9.9%増と大きな伸び率となった。

トップ10位内で成長ペースが際立つのは、アラブ首長国連邦(8.6%増・556億ドル/約8兆6180億円)とインド(10.9%増・460億ドル/約7兆1300億円)、いずれも成長のけん引役はオンライン旅行予約の大きな伸びだ。4~6位はドイツ(5.0%増・823億ドル/約12兆7565億円)、英国(7.6%増・736億ドル/約11兆4080億円)、フランス(3.9%増・628億ドル/約9兆7340億円)。

そのほか、市場規模は小さいものの、圧倒的な成長率を示したのはブラジル(37.3%増)、メキシコ(18.2%増)、サウジアラビア(12.2%増)など。こうした新興市場では、オンライン予約でも大幅な伸びが拡大を支えている。

地域で異なるOTA対サプライヤーの勢力図

旅行予約でのデジタル・チャネル利用が広がるなか、2025年は世界のオンライン予約額が前年比8%増の1兆700億ドル(約165兆8500億円)に達する見込みだ。総予約額に占めるオンライン・チャネル比率(OTAおよびサプライヤーのオンライン直販)は推計64%、続く2026年は65%に達すると予測している。

ただし、地域による違いもある。最もオンライン利用率が高いのは欧州で、2025年は全体の69%、2026年は70%を突破する勢いだ。次いでアジア太平洋(同65%、67%)、北米(64%、65%)が続く。中東と南米は5割台前半で推移しており、オフライン流通チャネルのシェアは比較的、大きい。

オンライン予約では、OTAとサプライヤー直販、どちらの流通チャネルが支持されているのか? 2025年の世界全体では、サプライヤー直販が6590億ドル(約102兆1450億円)、OTA経由が4080億ドル(約63兆2400億円)。2026年はサプライヤーが7080億ドル(約109兆7400億円)、OTAが4360億ドル(約67兆5800億円)との予測だ。

地域別に見ると、サプライヤー直販のシェアがもっとも高いのは欧州で、総旅行予約高に占めるシェアは49%、対するOTAは20%(2025年推計値ベース)。同様に、北米は同41%と22%。オンライン旅行市場が成熟するなかで、サプライヤー側もブランド・ロイヤリティ向上や直販戦略に注力していることが一因としている。

対照的に、アジア太平洋地域は、同33%と32%で両者のシェアは拮抗(2025年)している。

アジアにおけるオンライン予約のチャネル別予約額:フォーカスライトより

新興市場では、南米においてOTAシェア(26%)がサプライヤー直販を上回ったが、中東ではサプライヤー直販がオンライン経由の大半を占めている。

国別で見た2025年OTA総予約取扱い高は、トップが米国の1120億ドル(約17兆3600億円)で、全体の27%を占める。これに中国(600億ドル/約9兆3000億円)、日本(240億ドル/約3兆7200億円)、ドイツ(180億ドル/約2兆7900億円)、インド(140億ドル/約2兆1700億円)が続き、この上位5か国で全体の半分以上を占める構図だ。

国別・2025年OTA総予約取扱い高:フォーカスライトより

スーパーアプリ化の最前線、インド

OTAのこれからを展望する上で、示唆に富んでいるのはMakeMyTrip、Yatra、EaseMyTripなどインド系OTAだ。鉄道、ホテル、バスから各種金融サービス(後払い決済、外貨両替など)まで、幅広い内容を揃えて地方の中小都市にも進出し、旅行はもちろん生活全般で役立つトラベル系スーパーアプリへと進化してきた。

インドでは、オンライン旅行予約の55%をこうしたOTAが占めており、サプライヤーによるオンライン直販を凌駕する。モバイル経由のエコシステムが浸透しているアジア発イノベーションは、次の成長エンジンと目されている。

※ドル円換算は1ドル155円でトラベルボイス編集部が算出

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営する「フォーカスライト(Phocuswright)」から届いた英語レポート(トラベル・ガード社が協賛)を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:Travel Forward Data, Insights & Trends for 2026


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