デジタルノマド集中で変わるバリ島、外国人長期滞在者の増加に戸惑う地元住民、「バリ島は一体誰のもの?」で広がる議論

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写真:dpa(ロイター通信)

バリ島南西海岸に位置するチャングーは、デジタルノマドに最も人気のあるスポットの一つだ。おしゃれなレストラン、ヨガスタジオ、コワーキングスペースが立ち並ぶこの場所には、かつての漁村の面影はほとんど残っていない。

至る所で建設工事が進んでいる。クレーンが空を突き刺し、掘削機が大地を掘り起こす。そして、新たな建設プロジェクトが進むたびに、水田は姿を消していく。

主に欧州、ロシア、オーストラリアからの長期滞在者の増加によって、地元住民は不満を募らせている。地元ホテルの従業員は「ここ数年で全てが変わってしまった。私たちの自然、私たちの愛した風景は、裕福な投資家に土地が売られていくなかで消えつつある」と嘆く。

バリ島は一体誰のもの?

チャングーを歩く人々が、コンクリートだらけの街並みの中で、かつてこの場所がどんな姿だったのか想像することは難しいだろう。変化は徐々に始まり、約10年前に急速に加速した。

わずか数年のうちに、狭い路地が続く魅力的な漁村は、世界で最も有名なデジタルノマドの拠点の一つとなり、交通渋滞、騒音公害、山積みのゴミ、そして建設ラッシュをもたらした。

短パンの外国人が、ヘルメットも被らず、片腕にサーフボードを抱え、あるいは膝の上に犬を乗せて、レンタルスクーターで街を走り回る光景は日常茶飯事となり、バリ人の怒りをさらに買っている。

バリ島は一体誰のものなのかという問題は、島内で長らく議論の的となっている。

島を二分したランニンググループ

2026年7月、地元住民を差別しているとの疑惑が浮上したランニンググループをめぐり、激しい非難が巻き起こった。

この2人は、チャングーで「アントラージュ・バリ」という国際的なランニンググループを設立し、ソーシャルメディアを通じて急速に多くのメンバーを集めていた。

彼らは、参加者がヘッドホンを装着して街中をジョギングする「サイレントディスコラン」というイベントを企画。インドネシア人女性がグループへの登録ができなかった一方で、外国人の夫は問題なく登録できたと訴えたことで、地元住民から強い反発が起こり、国際的にも報道された。

その結果、この2人のオランダ人は、必要な許可を得ずにイベントを運営したなどとして入管当局からインドネシアへの再入国禁止措置を受けた。当局は、イベント運営で差別的な要素があった疑いも指摘した。

バリの人々が外国人を追い出そうとしているわけではない。観光産業は何十年にもわたり、バリ島にとって最も重要な収入源の一つとなってきた。デジタルノマドの中には、環境保護プロジェクトに参加したり、インドネシア語を学んだりする人もいる。

批判の矛先は、滞在国の文化やルールに全く関心を持たずに長期滞在する人々に向けられているのだ。これはチャングーだけでなく、ウブドやウルワツといった他の人気観光地にも当てはまる。

観光アナリストのヒルダ・アンサリア・サブリ氏は、地方政府に対して、「外国人が現地のルールや伝統を軽視する場合、政府はより毅然とした態度で臨むべきだ」と訴えている。同時に彼女は、外国人中心の閉鎖的なコミュニティが形成され、長期的に地元住民が居住地域や雇用機会から締め出されることにも警鐘を鳴らしている。

高騰する不動産価格

ウダヤナ大学で観光学を専門とするイ・プトゥ・アノム教授は「地元の人々が平穏な生活を送れなくなってしまっては、多額の外貨収入を得たとしても何の意味もない」と強調する。

何よりも深刻なのは、土地や不動産の価格が急騰していることだ。その結果、多くのバリ島民にとって、地元に家を建てたり購入したりすることがますます困難になっている。

そのため、裕福な投資家に土地を貸し出したり売却したりする人も増えている。その一方で、地元の人たちは自問自答を繰り返している。「何世代にもわたって島の文化を支えてきた人々が社会の片隅へと追いやられてしまう中で、バリ島独自の個性をどうやって守っていけばよいのだろうか」と。

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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