【年頭所感】ANAホールディングスCEO、伊東信一郎氏 -新しいANAグループの創造を

ANAホールディングスCEOの伊東信一郎氏は、2014年を迎えるにあたって年頭の所感を発表した。

伊東氏は2014年について、羽田国際線の拡充を機にANAグループの次の飛躍が始まる年と位置づけ、激しさを増す競争環境のもとで新しいANAグループを創造していくために、「業務プロセスの大改革」、「本格的なグローバル対応」、「活気あるANAグループの再創造」に注力していく方針を示した。

発表された年頭所感は以下のとおり。原文のまま掲載する。

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謹んで新年のお慶びを申し上げます。


昨年は、ANAにおけるボーイング787型機の運航停止や中国線の需要落ち込み、エアアジアとの合弁解消とバニラ・エアの立ち上げ、円安や燃油費高騰等の影響を受けた業績下方修正等、ANAグループにとって試練の1年となりました。一方、ANAが英国スカイトラックス社をはじめとする、世界の評価機関より品質面で高い評価を受けたことや、関西におけるピーチの快進撃、更に米国パンナム社のグループ化等、ANAグループの成長を実感する出来事も沢山ありました。
今年に眼を向けると、世界では2月のソチ・オリンピックをはじめ、スポーツのビックイベントが続きます。また観光面では、現在年間約1000万人の訪日旅行者数を2030年に3000万人超にするという政府の目標を受け、需要喚起に向けた活動が加速してきます。政治経済の世界では、引き続き周辺諸国との外交や消費税増税、為替動向、TPP・アベノミクスの進展等、注視が必要な1年となりそうです。

航空業界では、春には羽田国際線の昼間帯発着枠の拡大により、新規路線が続々開設されます。そもそも羽田の国際化はANAにとって長年の悲願であり、私たちは粘り強くその必要性を説いてきました。地方発の国際線接続では長らく仁川空港(韓国)に後塵を拝している訳ですが、日本の空の玄関口の充実や内際ハブ機能の強化、更に国内線で最大ネットワークを誇るANAの優位性確立という点で、大変画期的な出来事です。この羽田国際線の拡充を機に、ANAグループの次の飛躍が始まるのだと言っても過言ではありません。現在ANAの労使で協議中の運航乗務員の勤務の見直しをはじめ、施設や人員面等、様々な課題がありますが、羽田国際線の意味、そして成田と併せたデュアルハブ機能強化の重要性について今一度理解し、このチャンスを最大限活かして欲しいと思います。


また競争環境は益々厳しさを増してきます。アベノミクス効果で輸出企業を中心に好調な反面、長期的なトレンドで見れば少子高齢化や生産年齢人口の減少等、国内市場は縮小傾向にあるというのも現実です。

これらの環境下で今年何をするかですが、一言で言えば「グループをもっと強くしたい」ということにつきます。各社がもっと強くなって、集合体としてのグループも強くなる。ホールディングス体制のもと、個社・グループ共にしっかり利益を出して、株主や社会、従業員に還元し、将来にしっかり投資していくという、正の循環を作っていきたいと思います。

今年、特に力を入れていきたいことは3点あります。

まず1点目は「業務プロセスの大変革」です。生産性向上、コスト削減とよく言っていますが、単なる切り詰めだけでなく、業務プロセスの見直しを行ってこそ、真の価値創造に繋がるのだと思います。やめても良い仕事はないか、活用できていない資産や無駄な時間は無いか、費用をかけずに同じ効果が得られないか、他部門と連携をすればもっと効率的になるのではないか等、コストや生産性を可視化したり、視点を変えることで、やれることが沢山見つかるはずです。

更に、これまでのビジネスのあり方についても、近い将来を予測し再考してみて欲しいと思います。LCC事業を始めてわかったことは、航空需要はまだまだ創りだせるということでした。どんな事業でも、やり方次第で社会は敏感に反応します。次世代の競争に勝ち残るために求められるものは何か、アジアで勝負するためには、現有資源を活用し新たな収益源を生みだすにはどうすればよいか等、考えることは山ほどあります。考え抜いて作り込めば、他社には真似のできないANAグループの強みが生まれるものと確信しています。

2点目は「本格的なグローバル対応」です。今後増加する世界のお客様やビジネスパートナーへの対応を図るためには、日本人社員の国際化だけでは、スピード面で大きく不足があると感じています。グローバル化とは、世界の目でものを見られるようにしていくことです。世界の知見を更に活用すべく外国人の活用や採用、更に体制整備を含め、本格的なグローバル化に着手していきます。

最後に、3点目は「活気あるANAグループの再創造」です。今年は、ホールディング体制になった中、改めてグループ全体で、安全、品質、収益改善、業務プロセス、生産性、コスト等、会社の全ての活動の基本となるボトムアップ機能の強化に取り組み、グループ全体の更なる活力を創造していきます。

私達は、より良いものやあるべき姿を常に探求し、協力しながら自分達の力で厳しい時代を乗り越え、青い翼を発展させてきました。今年1年、この翼を更に広げて、経営理念やビジョンに掲げる「世界」により近づけるよう、グループ全員で新しいANAグループを創るべく果敢にチャレンジしていきましょう。どうぞよろしくお願いします。

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