H.I.S澤田会長が語る「成功するビジネスと未来」、旅行ビジネスの活路は「アジア」

旅行業界の勉強会「十人会」と日本旅行業女性の会(JWTC)は、「成功するビジネスと未来」をテーマに、エイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役会長・澤田秀雄氏の講演会を開催した。

十人会の主催者であるトラベルジャーナリスト(地球の歩き方前代表)の西川敏晴氏とのトークショーで澤田氏は、HISにおけるグローバル事業(訪日含む海外発需要)の成長が勢いよく、利益ベースでは今上期において日本発の海外旅行事業を超えたことに言及。特に、訪日客の増加を見込んで展開を強化していたタイでは現在、店舗数が20~30店、スタッフ数は700人弱にまで増えており、タイ発の送客数で1位になる見込みだ。

また、中国からのインバウンドも好調。HISでは既に4年前、日本での受けを担当する中国系の旅行会社を傘下に入れており、現在は日本における中国人の受入数がトップ3に入るほどに成長した。澤田氏によると、中国系の旅行会社だからこそ中国人客の気持ちが分かるといい、日本人とは違う好結果につながっているという。「成長している市場では停滞している市場の半分のエネルギーで収益が得られる」とし、先見性と実行力の重要性も示唆した。

さらにトークショーでは「ビジネスは変化とスピード」とも述べ、「チャレンジして世の中の変化に対応する、そのスピード感が大切」と説明。その変化に現在は、エクスペディアなど海外OTAの日本展開もあげられるが、澤田氏は「旅行会社としては脅威。我々も危機を感じている」としながらも「欧米ではいずれマーケットを抜くが、日本では我々(従来の旅行会社)の方が強く、アジアはまだこれから。アジアをきちんとケアすれば、対抗の余地は十分ある」との認識を示した。

そのためには、「最新のシステムを導入して常にチェックし、差別化をしなくてはならない。マーケティングや仕入れ、価格などを押さえないといけない」とするが、きちんと手を打てば「まだ決して負けるということではない」との考えだ。

このほか、変化への対応という点で澤田氏は、今夏のオープンを控える新コンセプトのローコストホテル(LCH)「変なホテル」や、それに関連した新事業をハウステンボスで開始している。変なホテルは「世界一生産性の高いホテル」を目指し、ホテルで最もコストのかかる「光熱費」と「人件費」の削減を目的に、昨今のトレンド取り入れて計画したものだが、「人件費」削減で採用したロボットの接客には、将来的な人口減によるサービス従事者の不足を補うことも見込んでいる。


そのため、新事業ではサービスロボットの開発を目的とするロボット産業への準備を開始しているほか、エネルギー問題に対応して太陽光や地熱など再生可能エネルギーによる新規電源の開発・運用を目的とした新会社「HTBエナジー」も設立。さらに、長期的には「食糧不足の時代が来る雰囲気がある」として食物工場や、健康にかかわるプロジェクトの準備も始めているという。

なお、1995年に創立した「十人会」は20年の活動を区切りに終了。今回はその最終例会として、JWTCとの共同開催の講演会が実現した。

(トラベルボイス編集部)

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