Airbnb Japan代表取締役の中川晋太郎氏は、このほど開催したメディアラウンドテーブルで、同社の大きな注力ポイントとして、日本人の間でのAirbnbのブランド認知度を高め、日本人ユーザーを拡大していくことを挙げた。
中川氏は、2026年に現職に就任。以前は、Uberで日本でのモビリティおよびデリバリー事業のマーケティングを統括。2023年からはUber Eats Japanで代表ゼネラルマネージャーを務めていた。
日本人ゲストを意識したサービス開発に投資
Airbnbの直近の国内予約数は前年比127%。市場拡大が継続しており、グローバルでも日本は世界で最も成長率の高い市場のひとつとして位置付けられている。一方で、日本での予約数の多くが訪日外国人によるもので、日本人ゲストは全体の3割程度にとどまっているのが現状だという。理想的な比率を質問したところ、中川氏は「インバウンド5割、日本人5割」との考えを示した。
日本人ユーザーの拡大に向けて、中川氏は「新規ユーザーの獲得を強化していく」との戦略を明らかにしたうえで、「まずは大都市圏在住の若者層を狙っていく」との考えを示した。「そのことが、旅行需要の地方分散にも貢献できる」と期待を込める。
今後は、訪日外国人と日本人ゲストではニーズが異なることから、日本人ゲストを意識したサービスやアプリの開発に投資していく考えだ。
リスティングの拡充については、グローバルではホームシェアリングに加えて、ブティックホテルや独立系ホテルのラインナップも広げている。日本市場について、中川氏は「日本も例外ではないが、まずはコアであるホームシェアリングのビジネス拡充に注力していく」と話した。
ガンバ大阪のパートナーに、イベントで新規ユーザー獲得
新規ユーザー獲得に向けては、イベントとの積極的な連携を進めていく。「イベントが開催されるタイミングは、Airbnbを試してもらえる絶好の機会」(中川氏)として捉え、コンサート、スポーツ、推し活イベントなどでAirbnbの存在感を高めていく。
背景には、コンサート、スポーツの試合、地域のイベントなどが開催されるタイミングでは、宿泊需要が短期的かつ瞬間的に増加するケースが多い。需給バランスが崩れやすいという現象が見られ、中川氏は、「こうしたタイミングこそがホームシェアリングサービスが貢献できる絶好の機会」と捉えている。
その一環として、Airbnbは新たにJリーグ「ガンバ大阪」の2026/2027シーズン・オフィシャルパートナーとなった。サッカーのサポーターが対戦相手の都市に遠征し、試合の前後でその土地を楽しむ「アウェイツーリズム」との親和性が高いことから、サポーターの宿泊需要に応えるとともに、新たなユーザー獲得のきっかけとしていく。
Airbnbは、現在、カナダ・米国・メキシコで開催中のサッカーW杯でもパートナーとなっている。パートナーシップ発表後、新たに10万軒以上がリスティングが追加されたという。中川氏は「これまでで最大規模のスポンサーシップ、宿泊数になるのは間違いないのでは」と見通す。Airbnbは2027年にブラジルで開催される「FIFA女子ワールドカップ2027」の公式サポーターにもなっている。
タビナカの「サービス」拡充、地域との連携も重視
Airbnbは2025年5月から、従来の「宿泊」に加えて、「体験」と「サービス」のカテゴリーの提供を始め、2026年5月にはそのサービス内容を拡充した。空港送迎やレンタカー手配、食品の事前購入のほか、Bounce社との提携で「荷物一時預かりサービス」を導入。世界175都市で展開されており、東京でもすでに運用が始まっている。
また、さらにアプリのアップグレードも進め、レビュー内容をAIで要約して表示する機能の提供も開始。中川氏は「宿泊のマッチングプラットフォームから旅全体をサポートするプラットフォームに進化していく」と意欲を示した。
また、中川氏は地域との連携を重視する姿勢を示す。その一例として、自治体でAirbnbホストを育てる「エアビースクール」を挙げたうえで、「Airbnb、そしてホームシェアリング自体がその地域コミュニティで受け入れられ、その利益が地域に還元される活動を日本全国で進めていく」と強調した。
自治体によっては民泊をさらに規制する動きが出ていることについては、「規制は、健全にホームシェアリングを運営する事業者を増やしていくきっかけになる。一方で、規制がいい結果につながるかどうかは慎重に検討していく必要がある。Airbnbとしては今後も、責任あるプラットフォームとして行政と一緒に考えていく」との考えを示した。
そのうえで、中川氏は「日本で、旅行を考えるとき、あるいは副収入を検討するとき、普通にエアビーという言葉が日本人の頭に浮かぶようにしていきたい」と話し、市場拡大に向けて認知の向上を進める意欲を示した。

