ルフトハンザ航空、組織再編でLCC強化、マーケティング面ではパーソナライズ化に本腰【図解】

ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)は、グループ傘下2社の統合やLCCビジネスへの注力でさらなる経営効率化を目指す。このほど来日したカール・ウルリッヒ・ガーナートCEOが、日本で開催された記者会見で明らかにした。また、マーケティング面では近年の顧客の変化に対応し、パーソナライズ化(個人化)したサービスを提供することで満足度向上と収益増加につなげる。このために予約前から航空機搭乗までの動線で顧客との接点を増やしていく方針だ。

ガーナートCEOは、「航空業界が大きな変革の時を迎え、リーダーでありつづけるために自らも変革が必要」との考え。同社が「First Choice in Aviation(航空業界で最初に選ばれる会社に)」なるために必要な行動であることを説明した。


グループ3社の経営統合、今後の成長を牽引するのはユーロウィングスに

今回発表された今後のグループ各社の統廃合はこうだ。まず、2015年11月にジャーマンウィングスをユーロウィングスに統合。ガナートCEOは、現在の欧州域内では95%が地方空港と地方空港をつなぐP2Pビジネスとなっている点を指摘し、このビジネスに大きく注力する方針を明らかにした。「今後成長の牽引するのはユーロウィングスになるだろう」との考えだ。

さらに、経営効率化を進めるにあたり、2016年1月1日の段階で傘下のスイス・インターナショナル・エアラインズ(LX)、オーストリア航空(OS)の株式を100%取得。各社のブランドは維持するものの、統合によって機材や燃油の調達、空港オペレーションなどのプロセスを共通化する。また路線、価格、マーケティング、営業、新プロダクトの開発の領域で協力することで効率化を図る。

ユーロウィングスは、ルフトハンザ航空がヨーロッパ域内の二地点路線(P2P)でLCCとの激しい価格競争に直面してきたことから長距離路線を視野に立ち上げたLCC。ここにLCCジャーマンウィングスを統合することで、P2P市場でコストの優位性を高める。ガナートCEOは「独立させることで、LCCに合った形をつくるこができる」と自信を見せ、価格競争力が高まることに期待している。ガナードCEO自身も、来年からユーロウィングの経営に参画。今後、P2P市場、いわゆるLCCとして欧州3位のポジションを狙う。

ただし、将来的な展望としては、従来のフルサービスキャリアとしての事業を収益の柱とする方針でもあるという。プレミアム的なサービスへの投資や取組みは継続していく。

なお、同社グループでは2015年10月1日から欧州内路線で新運賃体系を導入。座席予約や予約変更、キャンセルや受託手荷物などの面で差別化された3つの運賃オプションからなるもので「ライト」「クラシック」「フレックス」がある。7月から販売状況では、低価格の新「ライト」運賃オプションが一番人気だという。

左からカール・ウルリッヒ・ガーナートCEO、オットー F. ベンツ前日本支社長、ドナルド ブンケンブルク新日本支社長、イェンス・ビショフCCO

顧客との接点増加へ、個人化サービスで満足度と収益アップ

ガナードCEOは、マーケティング面では近年の顧客の変化に対応し、パーソナライズ化(個人化)したサービスを提供することで満足度向上と収益増加につなげる方針も明かした。このために予約前から航空機搭乗までの動線で顧客との接点を増やしていく。

その展開を表したのはプレゼンテーションで利用された以下の画像だ。顧客のモバイルなどを接点として、あらゆるプロセスでサービスを提供。オンラインで目的地を探し始めた旅行者が予約にいたるプロセスから、座席指定、アップグレードを促す場面、空港でのチェックインや手荷物の扱い、ラウンジへのアクセスなどに至るシーンが想定されている。

ガナートCEOは、「様々な選択肢の中から、カスタムメイドのサービスが可能になる」として、地上・機内・自宅でもアクセスできる仕組みを数年で磨きをかけていくことに自信。「チケット購入のタイミングでもNo1の選択肢になれるようにする」と意気込みを見せた。

LHプレゼンテーション資料より

トラベルボイス編集部:山岡薫


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