民泊ルール検討会、旅館業法の「簡易宿所」扱い検討、3月末に中間報告

観光庁と厚労省が行ってきている民泊サービスのルール作りの会合、第4回目の「民泊サービスのあり方に関する検討会」が行われた。今回の検討会では、規制改革会議からの民泊サービス推進に関する考え方、関係者からのヒアリングとしてスペースデザイン社の事業と民泊に対する取り組みが説明されたほか、事務局からこれまでの議論を踏まえた論点整理と検討の方向性が示された。


規制改革会議の見解、旅館業法適用除外での検討も

規制改革会議は、民泊サービスの実態や宿泊ニーズを踏まえれば、できる限り早期に成案を取りまとめるべきとの考えを示した。そして、旅館業法、建築基準法、消防法、旅行業法などの現行法との関係において、一定の民泊サービスは旅館業法の適用除外としてうえで、新たな規制を定めることも検討すべきとの意見を明らかにした。

「業法で消費者と消費者を結ぶ民泊に安心を担保するのは難しい。業法とはフィロソフィーが異なるため、ある程度は自己責任に委ねざるをえないのではないか」との視点から、今までの業法の外に出すことも検討する必要があるのではないかとした。

また、現行法の中で、最大の論点になるのは用途地域になるとの考えも示し、「民泊はローカル体験を求めるため、住宅地での宿泊が好まれる」とし、用途地域のなかでバランスを取っていく必要性を指摘した。

さらに、規制のあり方についても言及。ホストに対する規制については、「緩やかであることが好ましい」との意見。一方、仲介業者については、サービスの提供を適切に管理することが必要であり、届出制や登録制のほか許可制など幅広く検討していくことを求めた。

このほか、昨年11月に実施した「規制改革ホットライン」で受け付けられた民泊サービスに関する規制改革提案についても紹介。そのなかには、現行法の改正/緩和のほか、「まずはホスト在住の戸建住宅から民泊を認めるべきという意見が多かった」ことも明らかにした。


サービスアパートメントを民泊に

今回のヒヤリングには、サービスアパートメント事業を行うスペースデザイン社が参加。現在の利用者の実態を説明した。

同社では、利用者の滞在期間がホテルよりも長く、賃貸マンションよりも短い2ヶ月から2年の顧客をターゲットとしており、利用者の80%が外国人、そのうち50%が日本でのプロジェクトに参加するインドと中国からIT技術者であると明らかにした。

こうした実績を踏まえ、民泊利用でのサービスアパートメントの利点を強調。現在、マンションなど集合住宅で不特定多数の外国人が出入りすることでクレームが増えている現状について、スペースデザインのサービスアパートメントは「一棟借りのため、その心配はない」と説明した。

また、不法行為や不法滞在になどについても同社の法務審査部による審査体制によるチェック体制が整備されていることや、バイリンガルスタッフやコールセンターなどによるソフト面のサービス提供なども利点として挙げた。


今後は現行制度の中と外に分けて課題を検討

検討会の事務局は、過去3回の議論を踏まえ、今後の検討の方向性をまとめた。早急に取り組むべき課題と中期的に検討すべき課題とに分け、それぞれ議論を進めていくことを確認した。

法改正を伴わない早急に取り組むべき課題としては、旅館業法の簡易宿所の枠組みを活用することも議題に。構成員からも、客室床面積33㎡以上の規制の合理性について疑問が残るものの、「グレーから明確になる」と賛成の意見も聞かれた。

このほか、宿泊者の本人確認、緊急時の対応体制などの管理体制、賃貸借契約や管理規約(共同住宅の場合)の確認を前提とした旅館業法の適用なども含まれる。

中期的に検討すべき課題としては、現行制度の枠組みを超えた検討が必要とれるとして、ホームステイタイプの民泊を旅館業法に適用すべきかどうかも議論される。この点については、構成員から「明確な目的を持つホームステイは業法から外すべきではないか」との意見も聞かれた。このほか、仲介事業者に対する規制について、旅行業法との関係を整理していくことも方向性で示された。


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取材・記事: トラベルジャーナリスト 山田友樹

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