世界の民泊ルールをまとめてみた、Airbnbの納税代行から近隣住民への事前告知まで

観光庁と厚生労働省は、「民泊サービスのあり方に関する検討会」を進めている。これまでは、民泊サービスの実態や現行法との整合性などが議論され、3月の中間報告に向けて課題の抽出と議論の方向性をまとめたところだ。民泊ルールの問題は日本に限ったことではない。プラットフォーマーを介した新しいビジネスモデルに対する規制について、各国も知恵を絞っている。検討会で提示された資料をもとに、主要都市/国の現状をまとめてみた。

貸し出し期間規制は年間30日から90日までさまざま

貸主に対する規制については、多くの都市・国で許認可、届出、登録などの事前許可を義務付けているが、その適用には強弱がある。例えば、パリの場合、貸し出す住居が貸主の居住本拠である場合は届出の必要はない。また、オリンピック開催時に民泊が大きく伸びたロンドンでは、建物の使用目的を変更する場合には、自治体からの事前転用許可が必要だったが、2015年3月に住居を一時宿泊施設として使用する日数が年間90日以内の場合には、転用許可を必要としないとする法改正が行われた。

ロンドンの年間90日以内のほかにも貸し出す期間を規定している都市も多い。アムステルダムでは年間60日まで、ポートランド(アメリカ・オレゴン州)では年間30日までなど。

貸し出すにあたって貸主の居住期間を定めている都市もあり、パリでは年間8ヶ月以上。ハンブルグでは住居の所有者あるいは使用権者が1年のうち4ヶ月以上当該住宅を使用することを条件に、その住居空間の50%未満を観光客に有償で貸し出すことが可能になっているほか、ポートランドでは年間270日間以上居住していることを求めている。

近隣住民への対応、宿泊者の情報管理、納税は各国共通の課題

日本での検討会でも議論に上がっている近隣住民との関係では、アムステルダム、ポートランドなど近隣住民への事前告知を義務付けている都市もある。また、ロンドンでは、特例措置に関してトラブルがある場合、ロンドン内の自治体が適用除外を行うことが可能となっている。ナッシュビル(アメリカ・テネシー州)では、利用代表者が21歳以上であることや一度に4部屋以上の貸出禁止を規定することで、近隣トラブルが起こる可能性を最小限化している。

治安面の対策としては、パリでは到着時に氏名や連絡先などを登録させ、それを6ヶ月間保存することが義務付けられているほか、ポートランドではゲスト募集時の許認可番号掲示やゲスト情報の記録と保管を規定することで、必要な場合の身分照会を可能にしている。

民泊は個人事業主になりうるため、納税の義務も生じるが、その対応は都市・国によってさまざまだ。ポートランドでは、貸主に対してゲストからの宿泊税の徴収と自治体への納付が義務付けられている。一方、アムステルダムでは、仲介業者による対応を実施。Airbnbについては、2015年1月から旅行者税の自動支払いに関する契約を結んでいる。また、パリでも、2015年10月からAirbnbが仲介する民泊に対しては、同社が滞在税(民泊の場合一人一泊につき0.83ユーロ)納付の代行を行っている。

法整備は新条例、改正など対応分かれる、韓国では文化体験として位置づけ

日本では、民泊を現行の旅館業法にある簡易宿所の枠組みを活用することも議論されているが、国によって業法の中身に違いはあるものの、既存の宿泊業規制を適用していない都市・国もある。たとえば、ナッシュビルでは、宿泊業に対する規制は適用せず、2015年2月に「短期不動産レンタルに関する条例」を制定。貸主は毎年市から許可を取ることを義務付けた。シンガポールでも宿泊業に対する規制は住居を利用した宿泊サービスには適用されず、現在居住用住宅で余っている部屋のリースについて政府が検討に入っているという。

また、ロンドンやハンブルグ(住居空間保護法)など既存法の改正で対応している場合もある。ポートランドでは、住宅の一部を宿泊事業として利用する場合、以前はB&Bライセンスが必要だったが、2014年9月に市条例を改正。民泊サービスについては、開始前に市からの許可取得(更新2年ごと)が必要となった。

韓国では、民泊を文化体験として位置づけた法整備を行っている。観光振興法施行令などで「外国人都市民泊業」を規定。業を行うには自治体の長の指定が必要となり、貸出面積230㎡未満、外国語案内が可能な体制、消火器・感知器の設置など指定基準を定めた。

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記事:トラベルジャーナリスト 山田友樹


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