観光庁、2017年度当初予算とりまとめ、文化財活用やWiFi環境整備などで大幅増額に

観光庁は2017年1月31日、2017年度(平成29年度)の観光ビジョン関連当初予算などをとりまとめた。昨年3月に発表された「明日の日本を支える観光ビジョン」の実現に向けた取り組みについて整理したもの。

主な取り組みのうち、「文化財活用・観光振興戦略プラン等」には2017年度当初予算として219.9億円を計上(2016年度当初予算は201.9億円)。特に、魅力のある公的施設やインフラをひろく国民に開放する施策では、赤坂迎賓館の通年公開に加え、京都迎賓館の通年公開を開始。京都迎賓館では、時期に応じて自由参観方式やガイドツアー方式を採用。皇室関係の7施設の通年公開を前倒しするほか、インフラツーリズムの受け入れ環境改善をおこなう。

「国立公園満喫プロジェクト推進事業」では、2016年度補正予算102.9億円の内数および2017年度当初予算として100.2億円の内数を計上(2016年度当初予算は84.1億円)。国立公園をナショナルパークとしてブランド化するため、地域資源の整理や人材育成といったプログラムの策定・実施予算を新たに組み込んだ。

「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業等」については、2016年度補正予算155億円および2017年度当初予算として85.3億円に増額(2016年度当初予算は80億円)。外国人旅行者の地方への誘客を拡大するために通信・交通利用環境を整備。さらに、SNSなどを通じたビッグデータも活用し、旅行者の要望把握の取り組みも進める。

また、「円滑かつ厳格な出入国管理体制の整備」では、2016年度補正予算41.0億円の内数 および2017年度当初予算146.0億円の内数を計上(2016年度当初予算は128.4億円の内数)。バイオカートや顔認証ゲート、ボディスキャナーといった世界最高レベルの技術を活用するほか、不正薬物や爆発物探知装置などの設置予算も組み込んだ。

そのほか、「クルーズ船の受け入れ環境整備推進」には2016年度補正予算166.0億円および2017年度当初予算2320.6億円の内数を設定(2016年度当初予算は2317.1億円の内数)。「公衆無線LAN環境整備支援事業」の2017年度当初予算は31.9億円に大幅増額(2016年度当初予算は2.6億円および12.6億円の内数)となっている。

なお、2017年度税制改正事項としては、インバウンド向けの新たな酒税免税制度の創設などを予定。法律制定・改正検討としては、通訳案内士の業務独占廃止や旅行業法制の総合的な見直し、民泊サービスに関する法律の制定、クレジットカード利用環境整備を含む割賦販売法の一部改正などが掲げられている。


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