【対談】スカイマークが描く未来図とは? 佐山会長が語った国際線への意欲からANAとの関係性まで

スカイマーク佐山会長 × 航空ジャーナリスト秋本俊二氏(後編)

機材をB737-800に統一し、再生を図るスカイマーク。当面の目標は2020年の上場だ。

社員からアイデアを募り、新しいサービスも続々登場。今年中には国際線チャーターを目指し、将来的には機材拡大も視野に入れる。佐山氏と秋本氏の対談、その後編では、第三極の航空会社として前進する新生スカイマークの未来について熱く語り合った。

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【対談】スカイマーク佐山会長が明かした再生の舞台裏、航空専門家・秋本俊二氏と語った復活への道のりと「第三極」を守る意義

定時出発率、欠航率トップクラスも「マラソンで言うとまだ10km地点」

スカイマーク佐山会長(右)と航空ジャーナリスト秋本俊二氏による対談の模様

秋本俊二氏(以下、敬称略) 1990年代末、日本国内では規制緩和で新しい航空会社4社が生まれましたが、大手は重複する路線に露骨な料金値下げをしました。結果的に、3社はANAの傘下に入ることに。そのなかで、スカイマークだけは独立系として頑張った。やはり第三極がないと運賃の高止まりが起こってしまいますよね。

佐山展生氏(以下、敬称略) そのとおりですね。たとえば、米子、仙台、宮古、石垣から撤退すると、その路線の運賃は途端に上がった。そういう意味でも第三極の存在価値は大きいと感じています。

秋本 現在はB737で国内9都市に飛んでいますが、かつての元気なスカイマークに戻ったと感じています。これからが楽しみですね。

佐山 マラソンで言うとまだ10km地点ですね。2016年度はいい結果を上げることができ、ボーナスも3回出すことができました。

今年4月1日からは人事体系も変えて、新たにスタートします。足場固めはだいぶ進み、次のフェーズに来ていると感じています。

運航面で言うと、2016年度上半期で定時運航率は90%以上でトップ3に。欠航率は0.55%で最も欠航​しにくい航空会社となりました(国交省発表、​国内航空11社ランキングによる)​。現在B737-800型26機のうち2機は予備機にしており、天候は仕方ありませんが、機材の不具合による欠航は避けるスケジュールを組んでいます。

そのなかで、高い搭乗率を維持しており、直近の3月も90%を超え、ほぼ満席の状況です。搭乗者数は16ヶ月連続で前年同月比を超えています。今後も欠航率トップは維持していき、定時運航率でも日本一を目指していきたいと思っています。

秋本 特にビジネス客には、余計なサービスはいらないから、時間通りに出発して時間通りに到着して欲しいと思っている人は多いです。

佐山 私はよく神戸に行きますが、結構、満席が続いている。市江社長を本部長に定時性向上対策本部というものをつくり、パイロット、CA、地上なども含めて、遅れの原因を追求してきました。その積み重ねの結果だろうと思っています。

秋本 最終的には現場のやる気なんだろうと思いますね。どの会社も定時出発率は高めたいが、トップダウンではなかなかできない。現場が先読みしてアクションを起こすことが大事ですよね。

まだまだ高いポテンシャル、路線認知度向上がカギ

秋本 まだまだスカイマークを知らない人もいますね。その分、伸び代はあると思うんですが。

佐山 弊社の市場調査によると、再生でメディアにもたびたび登場したので99%以上の人がスカイマークのことを知っている。しかし、ドル箱の羽田/福岡線を飛んでいるのを知っているのは7割で、3割の人がまだ知らない。北海道での羽田/新千歳線の認知度についても同じ程度です。

ここにポテンシャルがある。また、搭乗率が高いために、乗りたいのに乗れない人もいる。ここもポテンシャル。さらに、訪日外国人旅行者もポテンシャルだと思っています。

秋本 スカイマークの運賃であれば、飛行機を利用して旅に出てみようと思う人はまだまだいると思うんです。そういう人たちが乗り始めると、業績もさらに上がりますよね。

佐山 たとえば、2年前、茨城空港からの撤退の話もありましたが、茨城県のサポートもあり県内での認知度が上がり、搭乗率も高くなった。羽田までは遠いので飛行機での移動を避けてきた北関東の需要を取り込めたのです。

首都圏でさえも、新生スカイマークに乗ったことがある人はたった1割。約3割が昔のスカイマークは乗ったことがある。6割が乗ったことがない。私はいつも時刻表を持ち歩いて、皆さんにお見せするのですが、ほとんどの人が言うのは「こんなに飛んでいるんですか」。1日130便以上飛んでいることをご存じない。知らないから乗らないというのが大半なのです。まずはこれを変えていきたい。

秋本 LCCの運賃は安いですが、遅れても文句は言えない。荷物で追加料金も取られる。スカイマークはそういうことはないですよね。

佐山 スカイマークは手荷物20kgまでは無料。欠航した場合の保証もしっかりしています。そうしたフルサービスに加えて、大手より約4割安い運賃を考えると、選ばれないわけがない。その点で言うと、コスト意識の高い会社とは法人契約をしてもらっています。

いずれは、スカイマークを利用すれば、かなりのコストダウンができると気づく会社も増えくると思います。そこも需要のポテンシャルになりますね。

大手を利用する理由のひとつとしてマイルを挙げる人も多いですが、スカイマークでも顧客の囲い込みについて検討しています。

「タカガールジェット」で福岡県民にアピール

秋本 認知度向上の戦略のひとつが「タイガースジェット」や「ヤマトジェット」、今年5月から就航する「タカガールジェット」なんでしょう。

佐山 福岡県民の3割が(スカイマークの)羽田/福岡線を知りませんが、タカガール(※)を知らない人はいない。ソフトバンクホークスは大手2社ともスポンサー契約していますが、他の球団との関係でホークスがらみの飛行機は飛ばせない。スカイマークだからこそできる企画ですね。

※タカガールとは、プロ野球球団「福岡ホークス」を応援する女子のこと。ピンクを基調にしたファッションで、九州のトレンドのひとつになっている。

「タカガールジェット」の機体塗装イメージ(提供:スカイマーク)

秋本 タイガースジェットは機長の発案でしたよね。それ以外に社員の提案から社内改革で実現したものはありますか。

佐山 新体制で経営理念の議論をしたとき、客室乗務員になりたい人はポロシャツではなく、やはり制服を着たいだろうという話になり、デザインを社内公募したところ40ほどのアイデアが集まりました。そのなかから、ひとつに絞って、ユナイテッドアローズに監修いただいた。2016年11月12日の創立20周年から着用を始めました。最近は「ミニスカートの航空会社ですか」と言われなくなりましたね(笑)。

国際線へも意欲、フリート拡大で国内路線網の拡大も視野に

秋本 支援の過程のなかで、国際線進出への期待からデルタ航空と組むべきという話もよく聞きました。今後、国際線への意欲はいかがですか。

佐山 今年中にまず国際線チャーター便を飛ばしたいです。定期便もできたら来年度にやりたいと思っています。

そして、2020年度の羽田増枠では国際線枠の配分をできればお願いしたい。アライアンスについては、スカイマークにとってプラスになれば前向きに考えていきたいと思っています。

来年から民営化される神戸にも期待しています。将来的には運用時間制限が緩和されれば、神戸から海外という手もありますね。民営化されれば、利用者の視点から改善も進んでいくのではないかと期待しています。

秋本 国際線でもB737-800で飛べる距離になりますか?

佐山 最初はそうなるでしょう。ただ、LCCと同じ路線は面白くないですよね。将来的に大型機を導入することはないでしょうが、B737の最新型については議論にのぼっています。

秋本 地方が伸びないと、ビジネスも拡大していきません。国内の就航地拡大についてはいかがですか。

佐山 それも議論しているところですね。今の26機体制では、仙台を復便するのがやっと(2017年7月1日から仙台/神戸復活)。すでに将来の機材計画の検討に入っていますが、

機材が増えたときには、路線網拡大も視野に入れています。神戸や茨城の利用時間が伸びれば、増便もありえると思います。

秋本 共同スポンサーでもあるANAとは、今、どんな関係になりますか。

佐山 我々は、コードシェアをしないとは言っていません。ただ、予約システムには入りません。入らなくてもコードシェアはできます。これは大きな違いです。

コードシェアは簡単ではありません。現在スカイマークの搭乗率も高いですし。今は難しいですが、将来お互いに合意できるところはあるのではないかと思っています。

一方で、ANAには機体整備で大きな力になってもらっているほか、客室、マーケティングでもいろいろなノウハウも頂いています。今年1月に行った社内アンケートでは、ANAからの出向者への評価は非常に高かった。これは嬉しかったですね。

秋本 現在はマラソンで言うと10km地点だとおっしゃいました。これからの道筋をどのように描いていらっしゃいますか。

佐山 まず安全はすべてに優先します。次に、定時出発率にもこだわりたい。さらに低価格も譲らない。そのうえで、もう一回乗りたいと思ってもらえる楽しいサービスを提供していきたいと思っています。

今年度は125名の新卒者を採用しました。来年度以降も安定的に採用したいと考えています。パイロットの自社養成も進めていきます。経営的には、2020年の上場を目指していきます。そこがひとの区切りになるでしょう。上場は収益が上がっているだけではダメで、そこに成長性や夢が必要になってきます。現時点では、次の飛躍に向けた戦略はまだ足りないと思っています。

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【対談】スカイマーク佐山会長が明かした再生の舞台裏、航空専門家・秋本俊二氏と語った復活への道のりと「第三極」を守る意義

取材・記事 トラベルボイス編集部 / トラベルジャーナリスト 山田友樹


写真 フォトグラファー 赤崎えいか


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