フランス、外国人旅行者数の新目標を「1億人」に設定、パリ五輪決定で観光施設への再投資など推進へ

2024年にパリでオリンピック開催が決まったフランス。観光大国で知られるフランスが、それを契機に1億人の外国人観光客誘致を目指している。このほど来日したフランス観光開発機構のクリスチャン・マンテイ総裁が明らかにした。フランスへの観光客は、近年、年間約8300万人前後を推移してきた。1億人の目標に向けて、「都市も地方も観光素材を刷新するために総力を挙げて活動している」と話す。

2017年9月に開催されたツーリズムEXPOにあわせて来日したマンティ総裁は、オリンピック開催が決定した後の政府の動きを説明。政府にとって観光は最優先の課題として、首相が閣僚を集め専門閣僚委員会を立ち上げた。オリンピック開催までに、ホテル、博物館、スポーツ文化施設など既存観光施設への再投資や準備がすすめられるという。また、交通インフラの整備・改善もすすめており、フランス国鉄(SNCF)や高速鉄道TGV路線の時間短縮や路線の見直しなども行われている。こうした動きで、マンテイ総裁は「住民と観光客にとってアクセスがよくなる」と自信を見せた。

2016年以降、フランスではテロの影響で観光客の減少がみられた。2016年は前年の8450万人から約200万人減少。マンティ総裁によると、この落ち込みはパリとニースに限定的だったという。他地域のホテル宿泊数では4.5%増だった。

こうした状況を受けて、テロ後のフランスでは、観光客の回復に向けて40か国・地域の市場で約2000万ユーロ(約26億円)をかけたプロモーションを実施。国の財源から約半分、残りは観光開発機構の会員(交通、DMOなど)が拠出し、その約7割をデジタルマーケティングに費やした。その内容は、地方の多様性を打ち出すことに注力。ボルドーやブルゴーニュなど地域の名前自体をブランドとして前面に打ち出した。

結果、最近の数値では、2017年は8900万人を見込む規模まで回復。特に英国を除く欧州各国、米国、ロシアの増加が顕著に。回復が遅いと言われる日本人も回復傾向を見せており、2015年レベルに回復の見込みもあるという。2024年までの7年間で1億人を目指すのは当然ともいえるだろう。オリンピックを契機にさらなる観光客の拡大を目指す。

なお、マンティ総裁は、日本市場についても言及。観光客として「日本人は重要」と強調し、その理由をライフスタイルや美食などフランス人が守る伝統に興味を示す「質の高い客を大事にするのが観光にとって重要」と話した。

ツーリズムEXPO会場にて、マンテイ総裁とフランス観光親善大使のくまモン(熊本県営業部長兼しあわせ部長)

取材・記事 トラベルボイス編集部 山岡薫

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