2020年はどんな年? 旅行・観光ビジネスで知っておきたいオリンピックの影響から連休・日並びまで

ついに2020年、オリンピックイヤーが幕を開けた。世界から集まる注目をいかにそれぞれのビジネスに繋げ、地域の利益に還元できるか。旅行・観光関係の地域・事業者の期待が高まるところだが、東京オリンピック・パラリンピック以外にも羽田国際線拡張や個人化・多様化など、旅行需要に影響が予想される予定や傾向がある。2020年はどのような年になるのか。JTBが発表した「2020年旅行動向見通し」からまとめてみた。

連休(日並び)とオリンピックの影響

旅行需要に影響する連休の数は、2020年は3連休以上の休みが7回で2019年より1回減少。ただし、2019年にはなかった4連休が2回あるのが2020年の特徴だ。ゴールデンウィークは5連休で、10連休で沸いた2019年よりは低調になると見込まれる。

これに今年は、オリンピック開催の影響が絡んでくる。期間中は多くの大会関係者や観戦客の移動が行なわれるため、JTBでは夏の国際航空券の運賃のピーク期間は、例年の旧盆前後だけでなく、7月後半から旧盆終了まで広がるとみる。あわせて、首都圏の宿泊料金の高騰や交通機関の混雑が見込まれることから、観戦目的の日本人国内旅行や訪日旅行を控える動きが多いと考えられるとする。

そのため、JTBではオリンピック期間を含む夏休みを避け、ゴールデンウィークに前倒しする人もいると見る。その際は、「年5日以上の有給休暇取得の義務化」をはじめ、政府のワークライフバランスの推進による有給休暇の活用や企業の連続休業の取り組み次第では可能性があるとみており、政府が目標として掲げる「2020年に有給取得率70%」に向け、連休を活用した需要増加も期待できそうだ。

過去のオリンピックでは、大会期間中は開催地を中心に宿泊旅行需要が抑制された。2012年のロンドン大会では、期間中の英国への訪問者数は前年と比べて4.2%減少しており、インバウンドにも影響を与えそうだ。しかしJTBでは近年、技術革新の進行で「ワーケーション」や「ブリージャー」などの柔軟な働き方が生まれていることも指摘。世界で広まり始めているこうした考え方が、旅行需要に繋がるとの期待も示している。

なお、2020年の祝日は、東京オリンピック・パラリンピックにあわせて変更がある。「スポーツの日」(旧称:体育の日)は東京オリンピック開催日の7月24日となり、「海の日」をその前日7月23日にすることで、4連休に。「山の日」を、東京オリンピック最終日の翌日8月10日とし、3連休とした。また、天皇誕生日は2月23日で3連休となる。

2020年の連休

  • ゴールデンウィーク

    5月2日(土)~5月6日(水)の5連休

  • 夏期休暇

    7月23日(木:海の日)~7月26日(日)※7月24日はスポーツの日
    8月8日(土)~8月10日(月:山の日)
    9月19日(土)~9月22日(火:秋分の日)※9月21日は敬老の日

  • 3連休以上の回数:ゴールデンウィーク除き7回
  • 内閣府「国民の祝日について」
  • 参考:中国の大型連休の春節は1月24日~1月30日、国慶節は10月1日~10月8日 ※中国国家国務院の発表より

オリンピックが新たな旅行体験を広げるきっかけに

さらに東京オリンピックは、社会生活や意識にも大きな変化をもたらし、それが旅行需要にも影響する可能性もある。

もともとオリンピックには、その時々の最新技術の“ショーケース”の側面があり、1964年の東京オリンピック開催時は、オリンピック史上初のカラー映像配信で、カラーテレビの普及を後押しした。

2020年の東京オリンピックでは、AIや5Gなどの最新のデジタル技術のサービスの広がりが予想されており、JTB総合研究所の調査によると、回答者の約4割が5Gのスマホ購入に関心を持っていることが判明。五輪後には急拡大する可能性もある。消費者側からも5Gによる高画質な動画配信や多視点による試合観戦、その他、ARやVR活用による新しいサービスへの期待が高まり、旅行やレジャーにおいても新しい体験が一気に広がる可能性も感じられる。

強まる「個」の力、変わるニッチマーケット

このほか、JTBの旅行動向見通しで今後の旅行トレンドのポイントとしているものの1つが、「個」の力。スマホを手にした消費者のSNS発信などが当り前になったことで「個」の力が強まり、個人の価値観や志向が強く反映されることで、特定の目的を持った旅行が増えていると指摘する。例えば、御朱印集めや城巡りなどだ。

一つ一つのマーケットは大きくないものの、その根は深く、強固で、SNSの繋がりによっては大きく育つ可能性もあると見る。今年は大河ドラマ「麒麟が来る」は3年ぶりの戦国時代を舞台にしており、歴史好きのファンによるニッチな旅行の動きも増えそうだ。

また、個人旅行の増加やスマホによる現地情報収集の容易化で、旅行形態も変化。JTB総合研究所の調査では、海外旅行でも同行者と現地集合・現地解散をした経験がある人が3割程度もいたという。

昨今の価格変動型料金(ダイナミックプライシング)への流れは、航空券やホテルといった旅行素材やダイナミックパッケージ、店頭販売向けツアーに留まらず、タビナカ商品にも広がりつつある。観光地においては、価格だけに左右されない魅力づくり、関係事業者にとっては旅行者との関係づくりが、さらに重要な時代になりそうだ。

羽田の国際線、1日50便増便に

2020年夏期スケジュール以降の羽田空港国際線の発着枠増加では、合計1日50便の増便が予定されている。方面は、米国、中国、ロシア、オーストラリア、インド、至り、トルコ、フィンランド、スカンジナビアで、ビジネス需要のみならず、レジャー需要の拡大も期待できる。

羽田空港以外にも、成田空港ではウラジオストク、ベンガルール、関空ではイスタンブール、チューリッヒの各路線の新規就航が予定される。中部国際空港では9月にLCC用の第2ターミナルのオープンも予定され、近距離方面の路線拡充が期待されている。


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