世界のクルーズ各社が運航を一時停止、業界団体の声明受け、運航中の客船は米国の港に帰港へ

豪華客船「クイーン・エリザベス」などを運航するキュナードは、新型コロナウイルスの感染拡大の防止を目的に、2020年3月16日から4月11日までに出航する新規クルーズの運航停止を発表した。米国国土安全保障省(DHS)が発行した措置を受けて、クルーズ業界団体のクルーズライン国際協会(CLIA)が米国への帰港を促す声明を発したため。米国に関連した旅程で航海するクルーズ船に対して、なるべく早く米国の港に帰港して乗客を帰宅させることを求めている。

CLIAでは3月13日、米国からのクルーズ運航を30日間、各社が自発的に一時停止したと発表した。すでに、キュナード以外にも、クルーズ大手が運航の一時停止を発表している。

ロイヤル・カリビアン・クルーズでは傘下のロイヤル・カリビアン・インターナショナルとセレブリティクルーズ、アザマラクルーズについて、3月15日~4月10日までの運航を停止。ノルウェージャンクルーズラインホールディングスでは傘下のノルウェージャンクルーズライン、オーシャニアクルーズ、リージェント・セブンシーズ・クルーズについて、3月13日~4月11日までの運航停止を発表した。

MSCクルーズは地中海やアジアなど、感染リスクの高い地域での運航を中止しているが、新たに米国ベースのクルーズについても4月30日までの15日間、運航中止を決定した。

クルーズ最大手のカーニバル・コーポレーションでは、すでに船内感染のあったプリンセス・クルーズが60日間の自主的な運航停止していたが、新たに前述のキュナードを含めカーニバルクルーズライン、ホーランドアメリカライン、シーボーンクルーズの4ブランドで、運航の一時停止を発表した。(運航停止の期間はブランドによって異なる)

CLIAによると3月14日時点で運航中のクルーズは、客船数が約40隻・乗客数が約9万人。このうち、3月16日に11隻がクルーズを終了した。30日間の一時停止で影響を受けるのは約500クルーズで、乗客数は120万人に及ぶ。

なお、CLIAでは2018年の調査結果(CLIA Economic Impact Study 2018)から、30日間の米国経済への直接的な影響は、支出が10億米ドル(約1070億円)、賃金が1400万米ドル(約14億9800万円)、雇用が6500人。波及効果を含めると、支出で23億ドル(約2461億円)、賃金は8億ドル(約856億円)、雇用は1万5500人の影響があると推定している。

※円換算は1米ドル107円でトラベルボイス編集部が算出した。

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