カナダ観光局が開催した「バーチャル商談会」を取材した、コロナ時代のMICEの課題と展望

カナダ観光局(デスティネーション・カナダ)は今年、旅行業界向けトレードショー「ランデブーカナダ+(RVC+)」を初めてオンラインで開催した。イベントだけでなく、バイヤーとセラーとのアポイントメントもバーチャルで実施。参加者からはオンラインでのメリット、デメリットさまざまな意見が聞かれた。

RVC+では、オンライン上にバーチャルマーケットプレイスを設置。ロビーには、マーケットプレイスが置かれ、そこに入ると各州/準州の各種資料がダウンロードできる仕組みを構築した。また、カナダ観光局、カナダ旅行業協会、スポンサーのゲートウェイも設け、入場すると同様に資料の入手や動画の再生を可能とするなど、情報収集の機会を充実させた。

カナダ観光局のバーチャルブース各マーケットの最新状況報告、各団体代表や大臣のスピーチなどのイベントはオンラインプラットフォーム「Explore Canada Showcase」で視聴。RVC+開催終了後も一定期間オンディマンド配信された。

商談はプラットフォーム上のアポイントメントの画面に移動。事前に予約を入れた時間になると自動的に相手とつながる。時間は20分。残り時間30秒になると、カウントダウン画面が表れ、時間がくると自動的に(強制的に)接続が切れ、次のアポイントに移る。

アポイントメントは残り30秒からカウントダウン初のオンライン開催となったが、参加者の反応は概ね良好のようだ。メリットは、言うまでもなく移動の手間がないこと。ただ、デメリットの声もある。そのひとつとして、ネットワーキングの機会がないことを指摘する意見が聞かれた。

「リアルのイベントでは、商談以外のランチやパーティーで新しい情報を得ることが多いが、それがオンラインでは不可能」(ケベック州観光局ジョイ・プロボスト氏)。「現地に行く意味のひとつは、現地のパートナーとの情報交換だが、それができない」(アルバータ州観光公社市場開発担当ディレクターの小西美砂江氏)など。リアルでの自由な「余白」の意義は大きいようだ。

また、リアルタイムでの時差の問題も大きく、「時間の調整が不便」との声もあがる。カナダも含めて欧米での開催は、この時間調整が難しい。特に半日にわたる個別の商談では、お互いに適切な時間に合わせることが難しい場合もある。たとえば、カナダ西海岸14時は日本時間早朝6時。カナダ東海岸20時は日本時間朝9時。実際に日本時間朝6時20分のアポイントも入った。二国間だけならまだしも、世界と調整しなければならないため、オンラインでのリアルタイム商談の限界も見えてくる。

また、やはり個人の通信環境によって、スムーズさに差が出てしまうようだ。パワーポイントなどの画面共有もできるが、そのときの状況によって反応が鈍くなる場面もある。

来年はリアルあるいはハイブリッド?

カナダ観光局では、来年のRVCについて、ワクチン接種が進むものの、国によってその進捗が異なり、今後の変異株の拡大など不透明な部分もあることから、ハイブリッドでの開催も検討しているという。

プリンスエドワード島州政府観光局日本代表の高橋由香氏は「旅行は、最もオンラインでできないことのひとつ。旅行業界はリアルのイベントを開き、旅行会社は現地を訪れるべき」と話し、できるだけ早いリアルイベントの再開に期待を寄せた。

昨年、各国のトレードショーはコロナ禍で軒並み中止。今年はバーチャルイベントに切り替えるところも多い。ワクチン接種の拡大によって、すでに秋以降のリアル開催にチャレンジしようとしているイベントもある。「旅行」というリアル体験をビジネスとする業界として、秋以降、また来年はどのようなスタイルで商談やネットワークを構築する場を設けるのだろうか。

トラベルジャーナリスト 山田友樹

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