HIS子会社のGoTo不正受給疑惑、調査委員会が事実と認定、不正の関与は2社に差異か

エイチ・アイ・エス(HIS)は連結子会社2社のGoToトラベル給付金の不正受給疑惑を受けて設置した調査委員会の調査結果を記者会見で発表した。

調査委員会は、子会社のミキ・ツーリストとジャパンホリデートラベルの不正受給の疑惑を事実と認定。不正受給の金額は、ミキ・ツーリストが4080万円、ジャパンホリデートラベルが最大約6億4249万円で、合計で最大6億8000万円超に及ぶ。両社とも、ホテル運営会社JHATの宿泊施設での実体のない宿泊契約が関係する不正受給であるが、調査委員会では不正に関する両社の関与度合について差異があることを指摘した。

ミキ・ツーリストの場合は、ミキ・ツーリストとJHATが共謀し、主体的に関与したと説明。ジャパンホリデートラベルに関してはJHATの主導によるもので従属的な立場であり、ジャパンホリデートラベルが当初から宿泊実態のない旅行の手配であることを認識し、不正に給付金を得ようとした主観的意図が存在したとは認められないとした。

調査委員会は、委員長の荒竹純一氏(さくら共同法律事務所・弁護士)と矢田素史氏(HIS取締役上席執行役員・最高財務責任者)、梅田常和氏(HIS独立社外取締役監査等委員・公認会計士)の3名。2021年12月9日~12月23日の15日間、調査を実施した。委員長の荒竹氏は不正受給額について、「返還すべきもの」と言及。また、HISの関与については「今日現在で確認できていない」と述べた。当該子会社2社以外にもHIS国内グループ全社でのGoToトラベル事業の給付金申請状況等も調査したが、HIS本社を含め不適正なものはなかったという。

調査委員会の発表後、会見したHIS代表取締役社長兼会長の澤田秀雄氏は、子会社の不正を陳謝し、給付金の返還に対応する考えを示した。ミキ・ツーリストの社長は解任し、HIS本社から社長を送り、再建する考え。ジャパンホリデートラベルの社長も「厳しく処分する」と述べた。HIS本社の関与は強く否定。ただし、子会社に関係する役員について「若干の処分」を検討している。

澤田氏は、「ガバナンスが甘かった」と反省を述べ、改めて子会社の管理、コンプライアンス強化に努める考えを示した。今後、グループ会社全社の社長と面談し、考え方や倫理観などについても協議したいとも述べた。

なお、年明けにはGoTo再開が期待されている。GoToに対しては「観光客にとっても観光産業にとってもプラス。旅行で地域活性化になる」(澤田氏)、「海外旅行も訪日旅行も止まり、観光産業が苦労している。制度的に観光産業を助けるものになる」(HIS取締役専務執行役員・中森達也氏)との認識だ。HISでは再開後のGoTo活用を目指す考えだが、問題の子会社2社は申請をしない方針。「当該2社は参画できないと思っている。当社は活用したいが、これは当社が決められることではない」(中森氏)と話した。

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