世界の宿泊市場、民泊が4割増と予測、「旅しながら仕事」の浸透が背景、サステナビリティへの取り組みも必須に —EY Japan

コンサルティング企業のEY Japanは、インバウンド回復期における日本のツーリズムの検討課題を分析したレポートを発表した。レポートでは、グローバルトレンドへの対応として2023年の世界の宿泊市場の成長と課題を紹介。観光産業ニュース「Skift(スキフト)」は、世界のホテル市場の収益が2019年比1%減程度までの回復が見込まれている一方、短期滞在者を対象とした宿泊施設の短期レンタル(STR:Short Term Rental/いわゆる民泊)市場は41%成長すると予測している。

その背景として、リモートワークの浸透で、旅をしながら仕事する形態が増加し、デジタルノマドが活発化していると分析。ただ、課題として、地域の一部に滞在する形態のSTRと地域住民とのトラブルも指摘した。

報道資料より

欧州全体では、2019年には宿泊の4分の1程度がSTRで提供され、140万人が利用、延べ5.12億泊の利用があったが、住宅価格や物価の上昇、過剰な観光客の流入など弊害が生じている。EUの規制当局は2023年3月、ブッキングドットコム(Booking.com)、エアビーアンドビー(Airbnb)、トリップアドバイザー(Tripadvisor)、バーボ(Vrbo) などのSTRプラットフォームからのデータ収集と共有に対する共通のアプローチに合意。EU加盟国は、共通の枠組みにより、データ収集の強化および透明性の確保を担保できるようにした。

EY Japanは、日本でも欧州の動きを参考に、STR市場の透明性を確保することで、特に地方における宿泊施設の不足を解消するほか、滞在日数の長期化に伴う人材の交流促進が期待されるとしている。

また、宿泊施設によるサステナビリティへの取り組みの必要性にも言及。欧州委員会は、2022年に循環型経済推進の一環として、「持続可能な製品のためのエコデザイン規則案」を発表した。家電が主な対象となるが、将来的に対象製品が繊維製品にも広がると、観光産業への影響は大きいと指摘した。

EY Japanは、ツーリズム関連産業が主導して廃棄を避け、回収された製品のリサイクル製品を積極的に導入し、静脈物流を変えていくことで先進的な動きをつくっていくことが重要な視点と位置づけている。

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