国土交通省は、モントリオールの国際民間航空機関(ICAO)で開催された次期理事会議長選挙でICAO日本政府代表部特命全権大使である大沼俊之氏が選出されたと発表した。理事会議長にアジア・太平洋地域から選出されたのは、ICAOの約80年の歴史では初めて。任期は2026~2028年の3年間で、最大2期(6年)までとなる。理事会議長は、国際民間航空の主要な政策決定に加え、ICAO事務局の幹部職の任命権限を持つ。
ICAOは1944年に採択された国際民間航空条約(シカゴ条約)に基づき、国際民間航空の安全かつ秩序ある発達を目的として設立された国連の専門機関。航空の安全基準(事故調査、運航技術)、セキュリティ、環境対策、経済規制など、国際線にかかわるルールを制定・調整しており、2025年11月時点の加盟国は193カ国。常設理事会は選挙で選ばれた36の加盟国から構成される中心的な意思決定・執行機関で、日本は1953年に加盟国となり、1956年以降、現在まで連続して理事国に選出されている。
金子恭之国土交通大臣は、大沼氏の理事会議長選出を受け、「国交省・外務省をはじめとする政府関係者、関係業界が一丸となった成果。今後、大沼氏が率いるICAOとの協力関係を一層強化し、日本政府としても彼の活動を支えていく。これをきっかけに、日本が航空分野において世界をリードできるよう飛躍し、国際民間航空の持続可能な発展に積極的に貢献したい」とコメントを寄せた。
大沼氏は1969年生まれ、東京大学法学部卒業後、1992年運輸省(当時)入省。国交省で、航空事業課長、国際航空課長、航空局審議官、航空局次長を歴任し、日本のみならず国際的な場で航空政策を主導してきた。
