Trip.com グループが注力する富裕層インバウンドの地方送客、静岡県の名門ゴルフコースで開催されたVIP向けの特別イベントを取材した(PR)

世界大手OTAのTrip.comグループは、2025年11月5日、同グループの最上位会員を静岡県のゴルフコース「川奈ホテル富士コース」に招き、「2025エリートプライベートゴルフコンペ スーパー・ゴルファー」を開催した。静岡県や観光協会、ゴルフ場協会の協力を得て、予約が困難ということで知られる名門コースでのイベントを実現。最上位会員に対して前日の晩餐会や当日の始球式・表彰式を通じ、ゴルフとともに県産品や観光資源に触れる特別な体験を提供した。

Trip.com グループでは、これを契機に日本の地方への海外富裕層の送客を本格化する考えだ。アジア市場に向けた高付加価値旅行を、招待企画だけではなく、販売商品としても展開する。日本の自治体やDMOなどと連携し、地域の魅力を発掘・磨き上げながら、マナーや消費意識の高い旅行者を地方に送客していく。その狙いと展望を取材した。

Trip.comグループを利用する富裕層とは?

Trip.comグループは、年間の利用動向に応じて特典などを提供する会員制度を運営している。今回、招待したのは、同プラットフォーム上で年間1000万円以上を利用し、既存の最上位会員からの招待などの条件を満たした最上位会員で、極めて限られた層だ。

同グループの日本マーケティング戦略統括責任者の蘇俊達氏によると、同社の最上位会員は「大人数や混雑を避け、静かで落ち着いた環境の中で、アートや建築、美食を深く味わう体験を好む。気に入った場所やテーマは、繰り返し楽しむ傾向が強い」という。

Trip.comグループは近年、最上位会員に対する価値提供を強化している。人気映画の主演俳優を招いた上映会や世界に名をはせた著名人とのパーティ、予約困難な高級レストランでの特別ディナーなどのプレミアムイベントを開催。日本では、2025年4月に香川県直島で、建築家・安藤忠雄氏が登場するイベント参加を募集したところ、即日で満席になった。

今回の静岡でのゴルフイベントも、その一環。蘇氏は「ハイエンドの会員の嗜好にあう日本の地方の魅力を、自治体や観光協会などと連携して掘り起こし、高付加価値な旅行の招待企画や、旅行商品として販売していく」と話す。その有望なテーマの一つが「ゴルフ」だ。

ゴルフコンペ当日の始球式の様子。Trip.comグループのCMOや静岡県知事、静岡県ゴルフ場協会会長のほか、中国の女子プロゴルファーとゴルフのインフルエンサーも

ゴルフは若い富裕層を地方に誘う入口

蘇氏は、日本のゴルフツーリズムの強みを「北海道から沖縄まで多様なコースがあり、それぞれに個性や景観の良さがあること」と話す。静岡県もその好例で、県内に約90ものコースが点在。富士山や駿河湾などを眺めながらプレーできるコースも多く、各地の温泉や食と組み合わせた旅行体験を提案しやすい。

さらに、近年は韓国や台湾に加え、中国でも若年層のゴルフの人気が上昇。「接待に限らず、社交や趣味の場としてゴルフを楽しむ傾向も広がっている」(蘇氏)といい、アジアの若い富裕層を地方に誘う入口となるとして期待できる。

Trip.comグループ 日本マーケティング戦略統括責任者の蘇俊達氏

今回のイベントには、アジア在住のTrip.comグループの最上位会員計40名が参加。前日の晩餐会では、静岡県や観光協会の協力のもと県産食材を使った特別メニューのほか、県内3つの日本酒の蔵元が出展し、地域ならではの美食を提供した。静岡県の鈴木康友知事も出席し、歓迎の挨拶とともに、同県や川奈ゴルフコースの魅力、富士山静岡空港の利便性を紹介した。特に、同空港には上海やソウルなどの近距離アジア都市を結ぶ国際線が就航しているほか、ビジネスジェットの受け入れ体制も整っていることをアピールした。

参加者の満足度は高く、「クラシカルなホテルと名門コースが魅力的。食と景観、温泉も楽しめた。次は家族や友人を連れて訪れたい」と再訪を希望する声も聞かれた。蘇氏は「今回の成功を踏まえ、2連泊・2ラウンド以上のゴルフを基本に、各地の観光を加えた滞在型旅行商品としても販売していきたい」と意欲を示す。

前日の晩餐会では県内蔵元の酒樽で、鏡開きも。桝には川奈ホテルのロゴの焼き印を入れ、記念品に

アジア向けの高付加価値旅行の準備を

Trip.comグループでは、「地方創生」「質の高い海外旅行者の送客」「持続可能な観光」の3つのテーマを重視して事業を推進している。蘇氏は「オーバーツーリズムの発生を回避しながら、マナーや消費への意識の高い旅行者を地方に送客し、地域経済への貢献と地域住民の生活を両立させる、持続可能な送客モデルの確立を目指す」と話す。今回の静岡県での取り組みは、その実践例の1つと位置付けている。

今後、日本各地の自治体や観光協会・DMOなどと連携して、招待企画とともに1名100万円前後の高付加価値なツアー造成を進める予定だ。蘇氏は、静岡県の場合、「静岡空港へ直行便で入れば、県内を周遊の自由度が高まる。まだ訪れたことのない魅力的な場所は多いはずだ」と話し、地域との観光開発に意欲的だ。

また、プライベートジェットを活用する可能性も探っていく。すでにグループ傘下の旅行会社では、プライベートジェットを使った訪日旅行とハワイを組み合わせたツアーを販売。日本の冬とハワイの夏を一度に楽しむツアーは、高い人気を集めたという。

一方で蘇氏は、「自治体からのプロモーションの相談は多いが、情報発信だけでは送客に結びつかない」とも指摘する。日本の高付加価値旅行の誘客では、欧米市場向けにFAMツアーなど実地型の施策が進んでいるが、アジア市場向けはまだ少ない。Trip.comグループはアジアの富裕層の嗜好に合致した、地方送客モデルを構築していく考えだ。

静岡県の鈴木知事は、晩餐会で自ら説明した県内のゴルフ場や日本酒などの地域資源が「世界の富裕層を惹きつける力を持つ」と実感したという。今後も「Trip.comグループの国際的なネットワークを活かし、インバウンド富裕層の誘致をさらに加速したい」と手ごたえを感じている。

また、今回のイベントに参加するために来日したTrip.comグループCMOのSun Bo(スン・ボー)氏も「静岡での高付加価値なゴルフ体験を通じて、地方の食と文化の魅力を世界へ発信していく。自治体や観光事業者と協力し、地域の持続可能な観光の発展と国際的な認知拡大に取り組む」と意欲を語った。

左から)Trip.comグループCMOのSun Bo(スン・ボー)氏、鈴木康友・静岡県知事広告:トリップ・ドットコム

お問い合わせ:jpinfo@trip.com

記事:トラベルボイス企画部

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