日本政府観光局(JNTO)は、定例のメディアブリーフィングでインバウンド市場の最新動向について説明した。
2026年1~6月の訪日外国人旅行者数は前年同期比2.0%減の2108万4800人。前年割れとなったものの、6月は15市場で6月として過去最高を更新した。
特に、欧米豪市場(米国、カナダ、オーストラリア、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインの8カ国)からの訪日客の成長が続いており、2015年から2025年までの10年間で、その数は245万人から約3倍の703万人に成長し、国・地域別の構成比でも12.4%から16.5%に拡大。JNTO理事の出口まきゆ氏は「市場の多様化が進んでいる」と評価した。
JNTOが2024年度に6カ国(フランス、イタリア、スペイン、オーストラリア、米国、カナダ) で実施した調査でも、「今後行きたい国」で日本が1位となった。2023年度の比較では、7カ国で日本の順位が上昇した。
そのなかでも、出口氏は子どもを伴う家族旅行が増えていると指摘。訪日旅行の同行者の調査では、2015年との比較で2025年は「一人旅」が3.7ポイント減少したのに対して、「家族・親族」は2.6ポイント増加。10代までの訪日客数の伸び率も高く、0~9歳が3.2倍、10~19歳が4.0倍と全体平均の2.9倍を上回った。
その背景について、出口氏は、日本の認知度が上がったことを挙げたうえで、「日本はこれまで『ニッチな目的地』だったが、今では『スタンダードな目的地』に変わった」と説明した。また、海外プロモーション部の欧米豪・中東グループ次長の熊野伸彦氏は、米国市場で「日本は安全な旅行先として認知されているのではないか」と分析した。
米国市場向けに「日本らしいウェルネス」を訴求
成長が続く欧米豪のなかでも、米国市場が好調だ。2025年の訪日米国人は前年比21.4%増の330万6823人。2026年1~6月でも同7.1%増で推移している。また、2025年の1人当たりの旅行支出額は2019年比約79%増の33万9708円。2026年4~6月期を見ると、総消費額で1位となった。さらに、地方部の宿泊率も20%前後で推移している。
こうした動向と米国でウェルビーイングへの関心が高まっていることを踏まえ、JNTOは、日本ならではのウェルネスツーリズムの訴求を強化していく。一般的にウェルネスとしてイメージされるヨガやスパを超えたコンテンツとして「伝統文化体験」「地域住民との交流」「食文化との触れ合い」「自然の中での滞在」に焦点を当てる。
日本の自然・文化・地域とのつながりを通じて心身を整え、内面的な充足感や自己回復につなげるウェルネスを訴求することで、地方誘客と滞在日数の延伸を目指していく方針だ。
具体的には、「Breathe in JAPAN」をタイトルとして動画広告を配信。「片付けを通じて心を整える」ことを提唱する近藤麻理恵(こんまり)さんを起用し、日本で内面から整う体験価値を伝える。まず、「日本古来の祈りや感謝、ご縁の文化に触れる旅」として島根県、「地域の人々との交流を通じて伝統文化を体験する旅」として三重県の動画を制作した。
さらに、「Breathe in JAPAN」をテーマにしたイベントもニューヨーク・ブルックリンで開催。現地メディアを招待し、日本のウェルネスを発信する機会を設けた。

