国交省、航空系の来年度予算に4200億円、「空飛ぶクルマ」実現へ「航空イノベーションの推進」など

国土交通省航空局は、2019年度の概算要求をまとめた。それによると、要求額は2018年度予算比115億円減の4194億円。歳入は、一般会計からの受入が900億円(前年度785億円)、空港使用料収入が2362億円(同2306億円)、雑収入等が932億円(同1218億円)を見込む。

概算要求にあたっての2019年度の基本方針は(1)首都圏空港の機能強化、(2)地方空港等のゲートウェイ機能強化、(3)航空イノベーションの推進、(4)セキュリティ・セイフティの万全な確保、の4点。

2020年東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催や首都圏の機能強化、増加する訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備を進め、地方空港などのゲートウェイ強化も推進する。また、世界最高水準の旅客サービス実現に向け、先端技術を活用して空港内外の動線を抜本的に革新する取り組みも展開。「テロに強い空港」を目指して保安対策も一層強化。国産旅客機の安全性審査や小型空港気対策、無人航空機対策にも取り組んでいく。

以下、主要な予算項目を抜粋する。

首都圏空港の機能強化

羽田空港では655億円(前年度712億円)を要求。2020年までに空港処理能力を約4万回拡大する取り組みに伴い、飛行経路見直しに必要な保安施設や誘導路の施設整備など実施。また、駐機場、際内トンネルの整備、川崎市と空港を結ぶ連絡道路整備、滑走路の耐震対策などを実施していく。

成田空港では、要求額81億円(前年度52億円)を計上。高速離脱誘導路の整備などを進め、2020年までに空港処理能力約4万回拡大に向けた取り組みを推進。第3滑走路などの機能強化について、実現に向けた取り組みを展開する。また、CIQエリアの機能向上、各種施設の耐震対策などを進める。

地方空港等のゲートウェイ機能強化

関西空港・伊丹空港では、31億円(前年度29億円)を要求。両空港での安全な運航確保に向け、老朽化が進む保安施設の更新などをおこなう。中部空港では、前年度倍増以上となる39億円(前年度17億円)を要求。施設の老朽化対策に加え、LCC専用ターミナルビルのCIQ施設整備を実施。さらに、中部圏の航空需要会拡大や現施設の活用最大化に向けた検討も継続して進めていく。

一般空港では、998億円(前年度1112億円)を要求。前年に続き、那覇空港や福岡空港での滑走路増設のほか、ターミナル地域の機能強化など、受け入れ環境整備をおこなう。

そのほか、空港経営改革推進では、6億円(前年度7億円)を要求。北海道内空港や高松空港、福岡空港、熊本空港、広島空港といった空港を対象に、国が土地などの所有権を留保しつつ運営権を民間に設定する手法(民間委託手法)に関する検討を引き続き進める。

航空イノベーションの推進

無人車両技術の空港運用への導入についての要求額は7000億円(前年度5000億円)。地上支援業務や維持管理業務の省力化を目指し、無人車両技術の活用を検討する。また、新たに次世代航空機の安全性審査方法の調査として新たに8600万円を要求。「次世代航空機(空飛ぶクルマ)」実現に向けた必要な技術開発に着手し、年内にロードマップを策定ほか、垂直離着陸や電動など、これまでと異なる技術について安全性審査などを実施。レーザー技術や画像解析など「先端技術の活用による空港運用・管理の高度化」では1億円を要求した。

セキュリティ・セイフティの万全な確保

保安面では、109億円(前年度59億円)を要求。「テロに強い空港」を目指し、ボディスキャナーや先進的な保安検査機器の導入を推進。特にボディスキャナーについては、2019年ラグビーワールドカップ日本大会開催までの整備完了を目指す。

パイロットの戦略的な養成・確保対策としては、航空大学校の養成規模拡大について、26億8200億円(前年度24億6600万円)を要求。民間と連携した操縦士の養成・確保の推進では1億100万円(前年度9200万円)、整備士の養成・確保対策では3100万円を計上している。

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