中国大手OTA「Trip.com」とJTBが「冬スポーツ」旅行で協業へ、中国人訪日客向けの有力コンテンツに

JTBとTrip.comグループ(旧シートリップ)は、訪日旅行者向けのウィンタースポーツ関連商品の開発、販売で協業する。2019年12月3日、両者は協業の合意書を締結し、記者会見を開催した。

協業の第1弾として、北海道や本州の各スキー場と連携した特別プランを開発。まずはTrip.comグループのウェブサイトとアプリで、中国市場を中心に販売・プロモーションを行なう。

JTB執行役員訪日インバウンドビジネス推進部長の坪井泰博氏は、ウィンタースポーツでインバウンド拡大を図ることについて、特に中国政府が2022年北京・冬季オリンピックに向け、国内のウィンタースポーツ人口を3億人に、同競技人口を5000万人とする「冬季スポーツ発展計画(2016~2025年)」を掲げていることに言及。「中国国内でのウィンタースポーツに対する注目と需要の高まりは、インバウンドのさらなる拡大が期待できる。日本政府が掲げる2030年6000万人の達成には、中国からのウィンタースポーツ市場が重要」と語り、中国市場で圧倒的シェアを持ち、オンラインだけでなく7000の実店舗を持つTrip.comグループとの協業に大きな期待を示した。

協定締結にあわせて来日したTrip.comグループCMOの孫波氏は、中国の訪日旅行について、「将来は2000万人になると見込んでいる」とポテンシャルをアピール。その上で、中国人旅行者の観光志向が買物から体験・レジャーへと変化しているなか、「冬季にスキーや温泉を楽しむのは一つのトレンドになった。同時に、スキー場や宿泊施設に対する新たな要求も生まれている」と指摘し、JTBのリソースを活用しながら、ユーザーのニーズにあわせた新しい商品やアクティビティ、サービスの開発ができることに期待を示した。

左から)Trip.comグループ日本代表・蘇俊達氏、同CMO・孫波氏、JTB執行役員訪日インバウンドビジネス推進部長・坪井泰博氏、JTBグローバルマーケティング&トラベル中国アジア営業部中国課 課長・野田昌氏

さらに「日本には素晴らしいスキー場が多くあるが、中国市場にはまだまだ知られていない」とも述べ、協業を通し、同社ユーザーに新たな目的地を提供することで、「日本の観光産業はもちろん、地方自治体や地域事業者にも大きなチャンスをもたらす」とアピール。本協業ではグローバルブランドのTrip.comを通し、中国以外のグローバル市場向けにも展開するため、「全世界のユーザーにコンテンツ提供ができる」との意気込みも語った。

なお、JTB坪井氏は、記者会見後に開催された「第1回日中ツーリズムサミット2019」の基調講演に登壇し、訪日インバウンドの中国市場で注目分野の1つに「ウィンタースポーツ」を提示。日本のスキー場の特徴として、「世界で2番目に多い305か所」、「高低差が1000メートル以上のスキー場が多い」、「極端に寒くないが雪質はパウダースノーで高品質」と説明した上、特に中国市場に対しては「上海や北京、広州の大都市から、中国のスキー場の多い黒竜江省や吉林省に行くのと日本までの移動時間はほとんど変わらない」と誘致における優位性を示した。

現在の協業内容は以下の通り。記載は一例で、ユーザー限定の特別感を訴求するプランのほか、スキーの資格取得は中国でも「日本での特別な体験をした」として人気となっている。

JTBとTrip.comグループ ウィンタースポーツでの協業・検討内容

1. 中国からの訪日旅客向け今シーズン向けの商品の発売
2. 北海道・本州の各スキー場と連携した商品開発
3. さまざまな特別プランを企画(一例)

  • スキー場のゲレンデ貸し切りプラン(Trip.comグループのユーザー限定でゲレンデを貸切)
  • 資格取得ができるスクール研修プラン(資格テストを講習付きで受験できるプラン)
  • 雪合戦の施設貸し切りプラン(雪合戦体験コンテンツをセットで提供)

4. 旅マエでレンタル用品をWebで申込み販売

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