注目すべき世界の旅行業界リーダー12人、彼らの最新動向を整理してみた【外電】

世界の旅行業界のリーダーたちは2020年をどのように迎えるだろうか。大きな戦略的な決断をする人もいるだろうし、解決が必要な問題をただ眺めているひともいるだろう。あるいは、2020年中に別の仕事を見つけている人もいるかも知れない。

フォーカスライトは、2019年12月に掲げたテーマ「2019年、そしてその先」企画のひとつとして、2020年に業界を揺るがす可能性のあるリーダーたちの今と今後を取りまとめた。そのなかから、日本市場からも注目しておきたい人物を紹介する。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

Anthony Tan(グラブCEO)

2012年にライドシェアアプリを立ち上げたグラブは、さまざまなライフスタイルサービスにまでビジネスを広げ、東南アジアで急速に成長。その勢いに減速の兆しは見えない。Anthony Tanは、設立当初から同社を率い、91億米ドルを超える資金を調達。サービスやパートナーを拡大させていくことで、資産価値を140億米ドルにまで増やした。

グラブは、旅行系ではクルック、アゴダ、ブッキング・ドットコムなどさまざまなブランドとパートナシップを組み、フードデリバリー、デジタル決済、エンターテイメントの他にもホテル取引、空港送迎、ローカル体験にまで事業領域を広げている。グラブは、ユーザーのニーズを直感的かつ簡単な方法で満たす総合プラットフォームに向けて順調に進んでいるように見える。

Axel Hefer氏(トリバゴCEO)

トリバゴは15年の歴史で初めて、新しいCEO としてCFOだったAxel Heferを迎えた。彼は共同設立者のRolf Schrömgensが果たしてきた役割に近づこうとしている。トリバゴは、減収減益に苦しんでいるが、Heferに必要なことは急いでホテル検索エンジン・ビジネスを好転させることだろう。また、エクスペディアは過去7年間で6億3200万米ドルをトリバゴに投資しているが、その関係をどのようにしていくのかも重要なテーマになる。ただ、トリバゴは変わらずメタサーチモデルだけに関心を示しているようだ。

Barry Diller氏(エクスペディア・グループ会長)

巨大ネットメディアInterActiveCorp (IAC)も率いる77歳のBarry Dillerは、ここ数年あまり積極的にエクスペディアについて語ってこなかったが、影響力が失われたわけではない。それ以上だ。

2019年12月上旬、同社の戦略を進めるリーダーの何人かを公然と批判。Mark OkerstromはCEOを辞したが、その後の釜を探すのがDillerの大きな仕事となった。それは、熟練した経営者であるDillerにとってさえも容易なことではない。彼にはエクスペディアの市場での地位を維持し、しかも進化させていくプレッシャーがある。

Dara Khosrowshahi氏(ウーバーCEO)

「どんな会社でも運営していくことは簡単なことではない」。そんな当たり前のことを、そういう状況にならなければ、誰も教えてくれない。しかし、ウーバーの場合、市場から健全な警告を受けている。数々の困難に直面しているからだ。Khosrowshahiは、2017年の夏にCEOに就いたとき、そのすべてを知っていたはずだ。だから、彼に同情する必要はないのだが、ウーバーが、ロンドンの免許剥奪、カリフォルニアでのドライバーの権利に関する住民投票などの課題をどのように克服していくのか、そして彼が約束した2021年までの黒字化を、距離をおいて注視していきたい。

Gillian Tans氏(ブッキング・ドットコム会長)

Gillian Tansは、旅行業界でも数少ない女性CEOだったが、昨年6月にその職を辞して会長になった。彼女が次に何をするのだろうか。2002年に初期メンバーとしてブッキング・ドットコムに入り、非常に尊敬を集めたリーダーになったが、CEOと同様の責任(企業ビジョン、オペレーション、成長戦略など)を持ちながらも会長になったことは多くの人にとって予想外だったし、混乱も招いた。彼女がそうした周辺的な役割をどれほど続けるのかは興味深い関心事だ。それは明らかに彼女にとってマイナスだとは思うが、今年(おそらく6月以降)、再び表舞台に現れても何の不思議もない。

Greg Webb氏(トラベルポートCEO)

Gordon Wilsonは今年初め、未公開株式を手に入れたのちにトラベルポートを離れた。それは特に驚くべきことではなかった。しかし、前セーバー幹部のGreg WebbをCEOとして迎え入れたのは予想外だった。Webbは、トラベルポートがもともと持つ複雑性と未公開株式の所有権という課題とともにCEOを引き継いだ。依然として、2大ライバルとの競争やエコシステムの根本的な改革において自分の役割を探しているようだ

Jane Sun氏(トリップ・ドットコム・グループCEO)

旧シートリップは、2019年後半に、トリップ・ドットコム・グループに社名を変更したが、それは多額の資金を投じたマーケティングの結果として行ったわけではない。ここ数年にわたって明白だったのは、共同創設者で会長のJames Liangkの庇護を受けているJane Sunは、中国市場を席巻したあと、国際市場に目を向けていたことだ。

彼女は徐々にトリップ・ドットコムのポジションをグローバル市場に移し、今ではエクスペディア、ブッキング・ドットコムと並ぶ3大OTAとなった。ブッキング・ドットコムはシートリップに多額の投資をしているが。今や、世界中の地域企業への投資や買収が可能になった。2020年、彼女がビジネス拡大を行う大きな決断をするかどうか注目される。

Jeff Bezos氏(アマゾンCEO)

アマゾンには旅行事業を担当する幹部はいないが、実際のところ、旅行業での野心を実現すべく背後で糸を引く人物は数人知られている。彼らが行っていると見られる仕事も次第に形になってきた。2019年にインドのウェブサイトで航空とバスのサービスが加わったのもそのひとつだ。それは現地マネージャーの判断だったかもしれない。しかし、アマゾンが世界最大産業のひとつである旅行産業に参入すれば、Bezosはそのビジネスを深く広く展開することができる人物だ。こうした決断は、旅行以外でも見られるかもしれない。

Jeff Hurst氏(Vrbo上級副社長兼ジェネラル・マネージャー)

最近現職に就いたばかりのHurstは、エクスペディア・グループ全体で強い影響力を持つ会長Barry Dillerのもとで、Vrbo(旧HomeAway)を監督しなければならない。Vrboはずっと困難に直面しており、気軽に公園を散歩している状態ではない。まず、注目を浴びたリブランディングを成功させなければならない。

加えて、Hurstは戦略の微調整もしなければならないし(たとえば、100%インスタントブッキングへの移行)、消費者の入口であるエクスペディアに合わせたブランドの役割も見なければならない。そして、もちろん、ブッキング・ドットコムやAirbnbとの競争も忘れるわけにはいかない。Hurstにとって幸運なのは、同社で9年間の実績があることだ。

Lindsay Nelson氏(トリップアドバイザー・コア・エクスペリエンス担当社長)

Nelsonがトリップアドバイザーに加わったのは2018年11月。それ以降、彼女は同社での影響力を強めてきたと言えるだろう。しかし、その役職は彼女の役割を正当に反映しているとは言えない(彼女はチーフ・マーケティング・オフィサーであり、チーフ・プロダクト・オフィサーであり、チーフ・コマーシャル・オフィサーでもある)。

しかし、トリップアドバイザーの従業員や仕事で彼女に関わる多くの人は、同じような考えを持っているのではないか。Nelsonは非常に賢く、モチベーションが高く、公平で、想像力に溢れ、大きなことをすることを運命づけられていると。トリップアドバイザーで引き継いでいくことが少しはあるだろうが、一方で非常に高いレベルの役割も出てくるはずだ。才能豊かな経営者として、さまざまな決断が求められるだろう。

Ritesh Agarwal氏(OYOルームズ&ホテルズCEO)

2019年、OYOのニュースは業界を賑わせた。2020年も同じ事が起きそうだ。OYOは、ウェブサイト上で800人の人材を世界中で求めているが、そのこと自体がOYOの野心を表している。Agarwalは、3日間ごとに2つのOYOブランドホテルを開業すると言っているが、OYOのビジネスモデルが持続可能なものなのかと疑う声もある。

また、大株主のソフトバンク・ビジョン・ファンドに支えられているが、100億米ドルの資産価値は本当なのか。Agarwalは「収益は急速に増加しており、当期損失も減少している。少なくとも最も成熟しているインド市場では」と話す。しかし、OYOは、その銀行口座を超える困難に直面している。値上がりする手数料や心もとない支援に不満を持ち、同社との関係を断つホテルパートナーも世界でで出できている。

Tony Fernandes氏(エアアジア・グループCEO)

Fernandesは、エアアジアを伝統的な航空会社以上に発展させていくと公言してきた。Airasia.comを旅行やエンターテイメントのサイトだけではなく、さまざまなライフスタイルを扱うサイトにするという話がある。しかし、Fernandesは、核となるビジネスの方向性を見失わないためにも、そのプラットフォームの立ち位置を考える必要がるだろう。

スーパーアプリではなく、何か他に違うものを。確かなことは、大局的な視点を持つFernandesは、この戦略的なビジネスチャンスを素早く進めていくだろうし、エクスペディアグループとのジョイントベンチャーなど、過去の航空事業以外の経験から学んだことを生かしていくだろう。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:2020 Vision: Travel's movers and shakers to keep your eyes on

著者:フォーカスワイヤ

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