政府、観光業界に新型コロナの影響と要望をヒアリング、日本旅行業協会や日本バス協会などから8名が参加

政府の新型コロナウイルス対策本部はこのほど、新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリングを開催した。数日にわたり、さまざまな産業、企業、個人について、影響度合いや意見、要望を聴取するもの。

観光分野では、2020年3月23日にヒアリングを実施。日本旅行業協会(JATA)副会長(東武トップツアーズ取締役社長)坂巻伸昭氏、全国旅行業協会(ANTA)副会長(全観トラベルネットワーク代表取締役社長)近藤幸二氏のほか、日本旅館協会会長の北原茂樹氏、日本バス協会貸切委員長(はとバス代表取締役社長)中村靖氏、定期航空協会会長(全日空(ANA)代表取締役社長)平子裕志氏、ジャンボフェリー代表取締役会長(日本旅客船協会副会長)加藤琢二氏、JR北海道代表取締役社長島田修氏、伊勢屋商店取締役会長山本善規氏の8名が参加した。

以下、分野別の影響や要望などを抜粋してまとめた。

旅行業界:

JATA坂巻伸昭氏は資料として、主要旅行業者総取扱額データの2019年と2020年(予測値)の比較と2019年旅行消費額(月別・旅行動態別)を示して説明。

また、ANTA近藤幸二氏は新型コロナの影響について、会員への緊急調査結果として予約減少状況提示すると同時に、「現状が続いた場合、資金繰りがどれくらい持つか」との問いに対し、4割が「2~3か月」、3割が「3~6か月」と回答した状況などを提示した。

合わせて、国内旅行・海外旅行・訪日外国人旅行の分野別に、キャンセル・延期数の実績調査結果を公開。例えば国内旅行では、2月7日段階では397社が2万2000人のキャンセル・延期数を回答していたが、2月28日には2796社の35万6000人に急拡大した状況を示した。

旅館業界:

日本旅館協会北原氏は、「今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、日本人・外国人ともに宿泊キャンセルや予約控えが進み、リーマンショックや東日本大震災以上の甚大な被害になっている」「元気な日本を取り戻すため、リーマンショックや東日本大震災以上の大胆な支援措置を講じていただきたい」と説明。

要望として、資金繰り支援の大幅拡充、既往債務の返済猶予、雇用調整助成金の大幅な拡充・申請手続きの迅速化・簡素化、公租公課やNHK受信料の減免、旅行需要喚起策の大規模な実施などの項目を挙げ、それぞれについて具体的な内容を示した。

バス業界:

日本バス協会の中村靖氏は、新型コロナの影響による貸切バスの運送収入減の状況として、2020年3月は前年比79%ダウン、4月は64%ダウン、5月は55%ダウンとの見込みを提示。同時に、3月のキャンセル数やキャンセルによる被害額として、1万9259件で19億9552万円にも上る見通し(3月中旬時点)を明らかにした。

また、訪日外国人旅行者の減少に加え、イベントの中止や休校措置によるスクールバスの運休などによって急激に利用者が減少していることも説明。要望として、雇用調整助成金やセーフティネット貸付、車両購入リース料などに関する資金繰り支援、マスクなどの優先的な供給といった感染予防の2点を軸に具体的な内容を提示した。

航空業界:

定期航空協会会長(ANA代表)平子裕志氏は、国内航空会社の現状として、「旅客数が1ケタ台の便も散見されるほど危機的な状況」であることを説明。各社が運休・減便を実施しても旅客数の下落に歯止めがかからず、過去に例のない未曾有の危機であると示した。

また、2020年5月までの減収見込みは、リーマンショック発生時の減収額(約3000億円)を超える約4000億円以上が見込まれ、さらに拡大すると予想されるとした。

要望としては、空港使用料や各種税などの支払い猶予や還付・減免、助成制度の創設、各社に対する政府保証付き融資、雇用調整助成金の上限額や補助率の引き上げを明示。また、新型コロナの終息を見据えた大規模な需要喚起策への助成も必要だとしている。

フェリー業界:

日本旅客船協会副会長の加藤琢二氏は、旅客船に関する新型コロナの影響について、約半数のフェリー・旅客船事業者が3月上旬時点で予約件数が7割以上減少、売上金額が7割以上減少していることを提示。

要望では、「雇用を守り、難関をしのぐ」施策として、雇用調整助成金の拡充、無利子無担保融資の拡充のほか、離島航路への手厚い支援、造船所支援への配慮などを提示。また、「終息後にV字回復で盛り上げる」施策として、例えば高速道路料金の引き下げが物流を担うフェリーへの甚大なマイナス影響がある点などを説明。海運・観光・物流業界それぞれのバランスがとれた施策を望む旨を説明した。

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