コロナ収束後の「3密・感染対策」のツアー企画を、日本旅行業協会が感染予防の行動計画を策定へ

日本旅行業協会(JATA)は2020年4月27日にWEBセミナー「新型コロナウイルスと日本の観光業」を開催した。この中で、JATA理事・事務局長の越智良典氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)収束後に安心して旅行ができる環境づくりのため、観光庁と旅行実施の行動計画の作成に向けた協議を始めていることを明かした。

現在、タイでも同様の取り組みが行なわれているが、「日本の方が細かい準備をしている」と越智氏。日本が予定しているのは、交通機関や宿泊施設、飲食店、観光施設など、それぞれの旅行のシーンや旅行者の動きに応じた安全対策とするもの。感染症の専門家の監修も受ける。越智氏は、「旅行会社は安全対策をとった交通機関や施設を選び、さらに“3蜜”対策を講じたツアー企画を用意することになると思う」とその概要を示した。

行動計画は6月までに策定される予定。現在、政府はCOVID-19収束後に大規模な需要回復キャンペーン「GoToキャンペーン事業」を予定しているが、越智氏は「旅行によって感染が拡大してはキャンペーンどころではない。感染予防策が大前提」と話し、その際には同計画を適用できるようにしたい考えだ。

コロナ危機は3つの期間に分けて対策

このほか越智氏はコロナ危機へのJATAの取り組みや、観光復活への想定シナリオについて説明。COVID-19は前例のない危機としながらも、これまでのSARSやリーマンショック、東日本大震災などの危機時の経験や知識を活用し、関係省庁や国会議員などに陳情を行なっていると話した。

特に観光復活のシナリオについては、2003年のSARS時に早期の回復を実現した香港の取り組みを参考に、観光庁と相談。香港では、SARS流行時に「感染の発生期」「回復の準備期」「回復期」の3段階で対策を用意していたことに倣い、JATAもこの3つの期に基づき、観光復活に向けた政府への要望項目を作成したという。

例えば「感染の発生期」には、当面の経営危機を乗り切るための雇用調整助成金の特例措置と、修学旅行に関する延期実施・取消料への財政支援を要望。「回復の準備期」には、業界による自主的な感染防止策を前提とした旅行実施の段階的な緩和を、「回復期」には大規模な需要回復キャンペーンを要望した。さらに国際交流の回復のためにも、出国時の検温、健康チェックなどの仕組み作りを行ない、可能な国同士での相互交流から再開していくことも要望した。

プレゼン資料より

JATAが描く現時点での回復シナリオとしては、まずは国内旅行から需要喚起に着手し、7月からのキャンペーンを想定。海外旅行とインバウンドは、出入国制限の緩和状況に応じて可能な国から徐々に開始し、東京オリンピック開催年となる来年初めには、全面的な再開に繋げたい考えだ。

中国は旅行再開、夏から秋以降にプロモーション再開の国も

さらに越智氏は、世界各国の状況も共有。感染のピークが過ぎたとされる中国では国内旅行の募集が再開され、多くのホテルがオープンしているとの話を聞いたという。海外旅行は早ければ夏にも再開できるとの見方もあり、太平洋アジア観光協会(PATA)中国支部が実施した中国人の旅行意識調査では、引き続き旅行先の1位として日本が挙げられるなど、旺盛な旅行意欲がうかがえたという。

一方、在日観光局に各国でのプロモーション方針についてヒアリングしたところ、まずは国内から実施し、近隣国、遠方の国へと広げる考えが多かった。当面はオンラインでセミナーや情報発信をし、プロモーションは早くて夏・秋以降の計画が多い。JATAでは10月のツーリズムEXPOジャパン(TEJ)での観光大臣会合を国際観光復活のキックオフとすることを提案しており、それを反転攻勢の機会としたい観光局もあるという。

なお、WEBセミナーは2日にわたる2部構成で実施。初日は経営幹部を対象に、日本旅行業協会理事の原優二氏(風の旅行社代表取締役社長)による「新型コロナ禍を乗り切るための経営術」の講演も行なわれ、約500名の参加があった。4月28日の第2部は企画担当者や地域のDMO向けに、コロナ後の旅行トレンドをテーマにした講演が行なわれた。

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