コロナ禍中にDMO・観光局が発信する「ステイホーム」事例をまとめてみた、「バーチャル」「リモート」観光の新境地も【海外編】

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行で、国境封鎖や国際線の休止などの旅行規制を行なった国・地域は200超に及ぶ。海外渡航の制限はもちろん、ロックダウンの措置をとった都市も多いなか、世界のDMOや観光局は自宅で過ごす人々にどのようなアプローチをしたのか。国内編に続き各地の取り組みを、公式ホームページや在日観光局から発信された情報をもとに、取り組み事例をピックアップしてみた。

海外のDMOや観光局は、情報発信を自粛したり、外出自粛下の人々を元気づけようとする趣旨の動きが多い国内に比べると、より力強い情報配信を行なう機関が多い。また、自宅で楽しめる動画やVRのコンテンツも豊富で、従前からデジタルマーケティングが進んでいたことも、改めてわかる。

バーチャル体験あれこれ

海外では、ホームページのトップ画面、または特集ページを設けて、ステイホーム中の人々に向けた情報発信をする観光局が多い。「Discover Great Britain from home」(英国政府観光庁)や「Travel to France from home」(フランス観光開発機構)などのキャッチコピーを付け、そのリンク先では、現地の風景のほか、縁のある映画や音楽、料理のレシピなど、自宅でもその国らしさが楽しめるコンテンツが掲載されている。

「Dream now - travel later Get inspired now!」と掲げたスイス政府観光局では、トップページの一面にスイスらしい圧倒的なパノラマ映像を掲載。旅行への憧れを誘いながら、ところどころにその場所の説明と詳細リンクを表示している。

英国政府観光庁(英語サイト)

フランス観光開発機構(英語サイト)

スイス政府観光局(英語サイト)

英国政府観光庁公式サイトのトップページ

こうした特集に多く見受けられるのが、「バーチャル」を冠したコンテンツ。観光地や観光施設のVR映像などのほか、タヒチ観光局のように、Youtubeを活用して、気軽に現地を疑似体験する気分を味わえる工夫をしている機関もある。

タヒチ観光局(英語サイト)内バーチャルシリーズ Tahiti Comes To You 

さらに、より旅行らしい体験を届けようという取り組みもある。オーストラリア政府観光局では、5月16日と17日の週末に、ガイド付き観光体験をライブ配信する「Live From Aus」を実施。グレートバリアリーフの水中ツアーから南オーストラリア州でのワインとアートのペアリングなど、広大なオーストラリアの各地の魅力を、離れた場所からも楽しめるプログラムを用意した。

オーストラリア政府観光局(英語サイト)内「Live From Aus」

また、バーチャルツアーで注目されているのが、デンマークのフェロー諸島の「Remote Tourism」。カメラを付けた現地のガイドと参加者がオンラインでつながり、ガイドのカメラを通して現地の観光を遠隔で体験できるようにしたものだ。

デンマーク・フェロー諸島 観光局(英語)

デンマーク・フェロー諸島 観光局(英語) リモートツーリズム

世界中で行なわれた外出制限で、買物や仕事、コミュニケーションなど、自宅に居ながらできることを体感した人が増えた。すでに一部の体験予約サイトや観光アトラクション等では、バーチャルツアーが行なわれ、販売をしているケースもある。コロナ後は、観光での「バーチャル」「リモート」が、プロモーションはもちろん、旅行形態の1つなりえそうだ。

フェロー諸観光局トップページ

力強い情報発信、オンラインセミナーの実施も

また、海外DMO・観光局では、すぐの誘客ができない困難な状況であっても、情報配信を積極的に続けている機関が多い。

例えば、ニューヨーク市観光局は、「Stronger. Brighter. Together. New York City」のコピーのもと、「Show NYC Your Love」として、オンライン上で楽しめる「Virtual NYC」から宅配や持ち帰り可能なレストラン情報、さらには業界向けサポート情報、医療従事者向けホテル情報まで、幅広い情報発信している。市民や観光客、業界関係者などに力強いメッセージを発すると同時に、この状況下でも同観光局が活動を続け、必要な時にいつでもサポートができる体制であることを示している。

ニューヨーク市観光局(英語サイト)

ニューヨーク市観光局トップページ

タイ国政府観光庁でも積極的な情報発信を実施。トップページのカルーセル表示で、タイ全国9県の3Dバーチャルツアーや現在のタイでのCOVID-19対応状況などを掲載。業界向けのウェビナーページを設け、各市場トレンドのみならず、コロナ後の市場展望、リカバリープランなど、多様なテーマで多数のオンラインセミナーを実施している。

タイ国政府観光庁(英語サイト)

なお、コロナ禍のマーケットに向けたホームページ上での情報発信は、欧米圏の方がより積極的で、アジア圏のDMOや観光局は、日本政府観光局(JNTO)を含め、少なかった。また、在日のDMO・観光局が日本市場向けに行なう情報発信では、在宅時間に観光地の歴史や文化、ライフスタイルなどを学べるコンテンツが多いように見受けられた。

このほか、DMOの対応一例は以下の通り。

ハワイ州観光局(HTJ)日本語サイト内「在宅タイムにお届けする『おうちでハワイ』」

※ハワイ各島のアクティビティや街歩きなどがVRで楽しめる「バーチャルハワイ」や、公式ラーニングサイトを活用した「学ぶハワイ」、映画コメンテータが選ぶ「映画でハワイ」など、6つのカテゴリーのコンテンツを週替わりで更新。

イタリア政府観光局(ENIT) #イエタビイタリア! 

※イタリア旅行での写真のシェアを呼び掛ける「#イエタビイタリア」。Twitter、Instagramで募集。

台湾観光局/台湾観光協会東京事務所 “在宅中に台湾を遊ぼう”企画第3弾 目指せ!“台湾通!”検定(2020年5月1日~31日)

※ステイホーム中の人々に、家族で楽しみながら台湾を知るクイズ検定企画を実施。トップ100に入った人には、台湾観光局のオリジナルグッズをプレゼント。

マレーシア政府観光局 Stay Home企画

※Stay Home企画として、第1弾「#ぬりえでマレーシア旅行」第2弾「#クイズでマレーシア旅行」を実施。いずれも国内在住者が対象で、第1弾は抽選で100名にマレーシアグッズのプレゼントも。

なお、マレーシア政府観光局ではグローバルサイトで、「Cuti-Cuti at Home」(Cutiはマレーシア語で休みの意味)と題し、動画投稿コンテストのキャンペーンも実施。今年1月からの観光年「VisitMalaysia2020」は中止したが、同コンテストは自粛せず、収束後の旅行に思いを馳せて動画投稿を呼び掛た。(5月12日まで)

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